晴天の霹靂
ーー
転生してしまったものは仕方がない。神様からお許しも出たし好きに生きよう。てか普通に長生きしたい。
とりあえずもう少し大きくなったら旅に出たいな。
それまでここで世話になろう。
ーー
あれから10年。
それは突然のことだった。
なかなか眠りにつけずにいた俺は孤児院を抜け出し、近くの雑木林で夜の散歩をしていた。
ここの孤児院の周りは自然豊かでとても落ち着ける。
「今日は満月か」
孤児院の方から声が聞こえる、俺が居ないのがバレたのか。まぁ抜け出したのは今回だけでは無いから大丈夫だろう。それに今帰ると院長様に叱られる。
もう少し散歩してから帰ろう。
そう考えていた矢先。
孤児院の方から爆発音が聞こえた。孤児院は村から少し離れた位置にいるため、すぐに助けを呼べない。
早く戻りたいが移動魔法を使えば目立ってしまう。
孤児院に近づくにつれて煙の匂いが強くなった。
着いた頃には孤児院は炎の中に包まれていた。そして犯人も撤収したようだった。
「...クソ」
16年も一緒に過ごした人達だ。それなりに愛着も湧いていた。
とりあえず水魔法で火を全て消した。
次に索敵魔法で生存者がいるか探す。
誰かいないのか...。
とても小さいが魔力の反応があった。
このマナは...院長様だ!
すぐに反応があった場所へ行く。
「院長様!」
「...おぉ、ギルフォード...生きていてよかった」
頭部からの出血が酷い...。
「村へ運びます」
「...良い、自分の限界くらいわかっています、最後にこの老いぼれの頼みを聞いて欲しいのです」
「何でしょう」
「子供の面倒を...見てもらいたいのです」
子供...?!
「孤児院に併設されている教会の地下...そこにいます、その子は尊い方の子です...ぜひギルフォードに育て、守ってやって欲しいのです...」
「分かりました、元は院長様に助けていただいた命、今こそ恩を返させていただきます」
院長様は優しく微笑んでそのままこと切れた。
「...今までありがとうございました」
さて、地下か。