反抗期です
ライ視点です。
ーー
最近はフォードに構われるのが嫌だ。
フォードが俺のためを思ってやってくれてるのはわかるけど子供扱いされるのをやめて欲しい。
俺だって魔法使えるようになったしもう一緒に戦えるのに。
前に俺には何も伝えずにドラゴンを倒しに行ってボロボロになって帰ってきたときがあった。その時は本当に心配したし、それと同時に俺に何も教えてくれなかったことにすごく腹が立った。
やっぱり俺が子供だから...
今日は俺の誕生日だとフォードがケーキを用意してくれた。
けどついいらないと言って宿屋を出てしまった。なぜかフォードにしてもらうことが全て鼻に付いてしまう。毎回あとから後悔する。
帰りずらくなって結局夜中に帰ってしまった。
さすがに寝てるだろう。
「おかえり、帰るのが遅いよ」
びっくりした。
フォードが続けて言う。
「何かあったらどうするんだ」
怒ってる...?
「ライはまだ子供なんだ、こんな遅くまで外に出るのは危ないよ」
やっぱり子供扱い...。
「...子供じゃない」
「え」
フォードの困惑したような表情に腹が立った。
「魔法だって前より使えるようになったし強くなった」
まくし立てるように言ってしまった。
「確かにそうだけど、まだライは俺に守られる立場だよ、一応俺は保護者だからね」
「...」
一応...。じゃあフォードは仕方なく俺と一緒にいるんだ...。
「門限を決めようか、日が落ちる前までに帰ること、いいね?」
信用もされてない...。
「...」
「ライ、返事くらいしなさ___」
「っ子供扱いしないで!」
もう気持ちがいっぱいで限界だった。
部屋を飛び出してすぐに首飾りと同時に移動魔法を使う。
着いた場所は森だった。近くに洞窟がある。
前にフォードと行ったゴブリンの巣だ...!
そうだ、ここでもっと魔法を教えて貰えるように頼んだのを思い出した。あのときは練習きつくてもいい、なんて言った自分を恨んだ。いざ始まってみると今まで以上に大変で...怖かったな。フォードが。
「懐かしいなぁ」
今頃フォードは俺を探してるのかな。
「そんなことないよね...」
フォードは仕方なく俺と一緒にいるだけだし。
とりあえず今日はその洞窟で寝よう...。今はフォードに会ってもなんて言えばいいか分からないし...。
そのとき、獣の咆哮が聞こえた。
狼の遠吠えだ...。かなり近い。
索敵魔法を発動する。
精度が低くて上手く感知できない...。でも周りを囲まれているのは分かった。
出てきたところを狙うしかない!
狼の唸り声と地面を踏みしめる音が聞こえた。
来る!
狼が一斉に飛びかかってきた。
その瞬間土魔法で防御、同時に火魔法で攻撃。
「...やった...!」
勝てた!いつもはフォードと戦って勝ってたけど一人で勝てたのは初めてだった!
狼が倒れている。
「ごめんね」
今日の夕飯は狼にすることにしよう。
背後に気配を感じる。
「?!」
狼がまだ残っていたんだ!にしても大きすぎる...!
他の狼より一際大きい身体、鋭い爪。
...フェンリルだ!
さっきの狼はこのフェンリルの子供だったのか!
フェンリルが前足を振りかざしている。
まずい...!!
...?
防御魔法が発動してる...。俺の魔法じゃない...じゃあ誰の...?
まさか...
「!!」
そんなことを考えてる場合じゃなかった!攻撃を防がれたせいで火に油を注いでしまったようだ!
次の攻撃が来る...!
防御魔法を発動。
よし、これで防いだら攻撃を__
防御魔法が砕けた...?
「...うそ」
フェンリルの攻撃を甘くみていた。
前足による単純な物理攻撃。
なんてことない獣の攻撃に見えるが、相手はフェンリル。そこらの獣とは違い、魔法などは使えないが、攻撃に魔力を付与することができる。
つまり、フェンリルの魔力と肉体そのものの力によって俺の魔法が負けてしまった。
フェンリルが続けて攻撃してくる。
今度こそ死___
「...?」
生きてる?
「ライ、怪我してない?」
本編に入らなかったので...
〈戦闘面で見た場合〉
火魔法⋯攻撃特化型
水魔法⋯バランス型
風魔法⋯サポート特化型
土魔法⋯防御特化型
※複合魔法⋯移動魔法や索敵魔法など、火、水、風、土の魔法が2つ以上掛け合わさった魔法のこと。