魔法の練習
途中視点変わります。
ローブは…一応着ていこう。もしライが狙われたら大変だ。
1階に降りるともう料理が並べられていた。
「あらぁ!よく似合ってるじゃない!えーと…そういえばお名前聞いてなかったわ」
「あ、遅れてすみません、俺がギルフォードで、弟がライと言います」
「そう!ギルちゃんにライちゃんね!ささ、料理が冷めないうちに食べちゃいなさい」
「いただきます」
「…いただきます!」
「「!!」」
ライと顔を見合わせた。
「ミシェルさん、すごく美味しいです!」
「お口にあって良かったわ」
本当に美味しい。客が多いのはこの料理が理由でもあるのだろう。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした!」
「は〜い、お粗末さまでした」
ライと2階の部屋に戻る。
「じゃあさっそく魔法の練習を始めようか」
「お願いします!」
「まず魔法について軽く説明するね、魔法は火、水、風、土の4つの基礎魔法にプラスして光魔法、闇魔法がある、まぁ光魔法と闇魔法は才能によるからできる人は少ないよ、そして無属性魔法は最初に言った4つの基礎魔法を同じ量だけ混ぜるとできる、ここまででなにか質問ある?」
「大丈夫!院長様からなんとなく教えてもらってたから!」
「よし、じゃあ次に身体中に巡る魔力を感じてみよう」
「どうやってやればいいの...?」
「そうだなぁ、目を瞑って身体の隅々まで意識を集中させるんだ、するとなんかモヤみたいなのを感じ取れるはずだよ」
「やってみる」
ライは魔力量が多いから魔法使いとしてやっていく才能は十分にある。
数分がたった。そろそろかな、ライの中の魔力がまとまりつつある、流れを掴んできたようだ。
「…できた、と思う!」
「うん、よくできてるよ、今ライの魔力の道筋がはっきりしてきたからね」
「やった!」
少し厳しくしても大丈夫かな。
「じゃあ次は自分以外の魔力を感じてもらうために視覚と嗅覚、それから聴覚をふさぐね」
「え」
「初めは怖いだろうけど慣れたら大丈夫だから、寝ちゃだめだよ」
部屋に防音魔法をかける。
「え、フォード、いる?何も聞こえないし見えないよ!」
可哀想だけどしょうがないよね。
「……っう...うぅ…」
あ、やっぱ泣くかな。
「ぅわぁぁぁんっ………うぅっ…」
泣いたか…。ごめんよ、まだ6歳だもんな。防音魔法をかけといてよかった。
肩に手をおいてライの頭の中に俺の声を送る。
(ライ、聞こえる?大丈夫だよ、落ち着いてやれば出来る、さっき自分の身体に魔力が巡るのを感じ取れたでしょ?それと同じことを外にするんだ、肌で感じるんだよ)
「う…ひっく…わ、分かったっ…」
もう大丈夫なはずだ。
そうだ、いいこと思いついた。
ーー
フォードに目と耳と鼻を塞がれてからどれくらいだったんだろう。
怖い、ただただ怖くて泣きじゃくっていたらフォードが話しかけてきた。
(ライ、聞こえる?大丈夫だよ、落ち着いてやれば出来る、さっき自分の身体に魔力が巡るのを感じ取れたでしょ?それと同じことを外にするんだ、肌で感じるんだよ)
そっか。今のこれも魔法で、感じ取れてるんだ。少し分かったような気がする。
「う…ひっく…わ、分かったっ…」
落ち着いて、肌に集中して…。
さっきフォードが肩に手を置いた部分がモヤがかって光ってる。
意識を外に集中させる。
変な風にモヤができてる…これは、文字?
『よくがんばりました』
「できた!できたよ!よくがんばりましたって書いてある!僕頑張った?」
その瞬間、目と耳と鼻は戻ってきて、フォードに抱きしめられていた。
「良くやった、ライ!頑張ったね!」
「本当?」
「本当、すごいよ!怖がらせてごめんね」
気づいたときには一気に気が抜けて泣いていた。
「ぅあぁぁ……こわかっ…こわかった…!」
フォードはずっとごめんねって僕に謝り続けてた。確かに怖かったけど僕は魔力を感じ取ることができた後に抱きしめてくれたことが同じくらい嬉しかった。
「…フォード……ありがとう」
「…どういたしまして」
ーー
ライが魔力を感じ取れたことが嬉しくて思わず抱きしめてしまった。だが、同時に6歳の子に少し厳しくしすぎたかもしれないと反省もした。
「…フォード……ありがとう」
ありがとうの一言でこんなにも心が温まるとは…。
「…どういたしまして」
こちらこそありがとう。
ぐぅ〜きゅるるる〜
ライのお腹が盛大になった。
「もう夜ごはんの時間だね、食事に行こう」
「ギルちゃん、ライちゃんご飯できたわよ〜」
1階からミシェルさんの声が聞こえた。
「はーい、今行きますー」
防音魔法をといて返事をする。
「行こうか」