早起きは三文の徳
昨日9話を割り込み投稿しました。すみません。
ーー
「フォード、起きて朝だよ!」
ライがはしゃいでいる。
「...んー」
俺は早起きが得意では無いから起こしてもらえるのはありがたい。けどまだ薄暗いんですけど...。
「おはよう!」
「おはよー...」
そうか、ずっと地下にいたから朝が新鮮なのか...。
「朝ごはん食べたら出発しようか」
「分かった!」
しっかり朝食をとってまた進む。
「うわぁぁ!!!誰か助けてくれぇ!!」
魔物が出たのか...?
「行こう」
急いで声の方へ近づく。
ゴブリンに行商人が襲われている。
食料を狙ったのか...。
「ライ、ここに隠れててね」
ライがこっくりと頷く。
そうだ、助けたら街まで運んでもらおう。
茂みから出るとゴブリンがこちら気づいてやってくる。
まず風魔法でゴブリンを一箇所にまとめる。したら次は炎魔法で一気に燃やす。
「ありがとうございます!!あなたは命の恩人です!」
「いえいえ〜お怪我は?」
「かすり傷程度です、何かお詫びをしたいのですが...」
お!来た!
「じゃあ、街まで運んで貰えません?」
「お安い御用です!」
「ありがとうございます、ライ、おいで」
行商人を警戒してるのか俺の後ろにピタリとくっついてくる。
「弟さんですか?」
「...そうなんですよ〜」
そういうことにしておこう。
ーー
「街に着きましたよ!」
いつの間にかライが寝てしまっていた。
昨日は寝るの遅かったのに早起きしてたもんなぁ。起こすのも可哀想だ、抱っこしてやろう。
「あれま、弟さんは寝てしまいましたか」
「運転が心地よかったんだと思いますよ」
「いやぁ、嬉しいことを言いますねぇ」
「あの、この辺りの地図って売ってますか」
「ありますよ、どうぞ」
代金を払おうとしたら断られた。助けたお礼らしい。街まで運んでもらったのに手厚い恩返しだ、路銀が浮くのはありがたい。
行商人に別れを告げて冒険者ギルドを目指す。
あった。
一際大きくて目立つ建物だ。
冒険者登録の受付に並ぶ。
身分が必要なく金を稼ぐ方法がこれしか思い浮かばなかった。それにSランク冒険者にでも慣れれば様々なところに顔も利くようになる。
「お待たせ致しました!冒険者ギルド、フォルトゥナへようこそ!冒険者登録で間違いないですか?」
獣人のお姉さんだ。うさぎの耳がぴょこぴょこしている。
「はい」
「ではこちらにお名前と年齢をお願いします、書き終わりましたら契約内容をお読みになってから血判をお願いします」
ペンとナイフを渡された。
名前と年齢を書き終わり、指を切って血判を押す。
「はい、ありがとうございました」
カードを手渡された。
名前 ギルフォード
年齢 16
所属ギルド フォルトゥナ
ランク F
「功績によってランクは上がります、任務はあちらの掲示板から受注したいものを選んでください」
案外あっさり冒険者になれてしまった。
「あの、試験とかはしなくてもいいんですか?」
「昔はありましたが、血判によって冒険者になるための力量は測れるようになったので今はありません」
へぇ、便利だな、血判。
「他にご質問はありますか?」
「あ、近くに宿屋ってありますか?」
「少々お待ちください」
電話をかけてくれている。
「お待たせ致しました、ギルドを出てすぐ右隣の宿屋に空き部屋があるそうです」
「ありがとうございます」
「はい、頑張ってください!」
軽く礼をして去る。
右隣か、お、ここかな。
「あらぁ、さっき言ってた子かしら?」
どぎつい...宿屋に入るとオネェ口調の男が待ち構えていた。
「えっ...と」
「アタシはミシェルよ、子供を連れたポニーテールの美青年...うん、アナタのことね、うさぎちゃんに空いてる宿屋はないか聞いたでしょう?」
「はい」
「ちょうど良かったわぁ、一部屋空いてるわよ、何泊する?」
「2泊で」
現在の所持金は約10万ゴールド、孤児院からかき集めてきた大切なお金だ。
「シャワー、飯付きで大人1人1万4000ゴールド、12歳以下の子供は7000ゴールドよ」
高っ?!
他と比べて安い方だが使える金は限られている…。
「だけど、アナタたちこの宿屋初めてだし可愛いから全部で1万2000ゴールドにまけてあげる、破格の値段よ」
2万1000ゴールドから1万2000ゴールドはかなりの差がある!
1万2000ゴールド払った。
「まいどあり〜」
鍵を渡された。
「ありがとうございます」
「ごゆっくり〜」
2階に上がって部屋に入る。
「うぅ…ん?」
「あ、ライ起きた?」
「うぁ…ごめんなさい!」
「大丈夫だよ、街について今は宿屋にいるよ、冒険者登録ももう終わった」
ライが申し訳なさそうにしている。申し訳ないのは幼い子供を歩きっぱなしにしていたこちらなんだけどな。
「あとさ、これからは俺たちは兄弟って設定でいい?その方が説明に困らないから」
似てはいないが義理の兄弟なんてたくさんいるからな、変に思うやつもいないだろう。
「良いよ!」
「まだお昼ごはんまで少し時間があるから街に出て服を整よう」
「うん」
1階に降りてミシェルさんに服屋に行くことを伝えるとおすすめの店を何軒か教えてくれた。
「あ、そうそう、店に入るときに私の紹介で来たって言いなさい」
「ありがとう、行ってきます」
「は〜い、気をつけてね〜」