新しい僕の家族
ライアン視点です。
ーー
物心ついた時には僕は地下にいた。
院長様が言うには僕は尊い子で外に出ると命を狙われちゃうから外に出れないみたい。
「院長様、僕もお外出たい...」
「申し訳ないですが、それはできません...でもいつか外に出られる日が来ますよ」
同い年くらいの子達が楽しそうに笑っている声を聞くとどうしても外に出たくなってしまう。
「...じゃあギルフォードに会いたい」
院長様が何かと良く話す人、ギルフォード。彼はとても強いけど、院をよく抜け出す問題児なんだって。
「今は会えません、ですが必ず会う日が来ます」
つまらない...。
そんな思いを察したのか院長様が何かをくれた。
「魔法の痕跡を消す魔導具です、首飾りになっているので肌身離さず付けていてくださいね」
「へぇ...綺麗だね!」
「ではまた明日」
「また明日!」
ーー
あれから数年。
いつものように院長様が体調を整えるために祈りを捧げてくれる。そうしないと陽の光に当たれない僕は外に出たときに体調を崩してしまうらしい。
「おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
眠りについた。
ドォン!
夜中に突然大きな音が鳴った。
色んな人の悲鳴が聞こえる。
怖い...!
僕は布団の中に潜って縮こまった。
どれくらいそうしていたんだろう。
外がどんな様子になっているのか分からなくて怖い...。
誰かの声が聞こえた。
「おーい、院長様から君を預かるように言われたギルフォードでーす」
ギルフォード...?今ギルフォードって言った?助けに来てくれたんだ!
「今から天井ぶち破っ...」
扉を開けた。
「...ギルフォード?」
「そうだよ、さっきも言ったけど俺が君を預かることになった」
念願のギルフォードに会えたことは嬉しいけど、ギルフォードが僕に会いに来たということは...。
「...院長様に何かあったんでしょ、僕はライアン・グロスター、よろしく」
僕はギルフォードと行動を共にすることになった。
不安で仕方なかったときに助けに来てくれたギルフォード、まるでヒーローみたいだった。
僕もギルフォードの助けになりたい。
ーー
首飾りを貸しただけなのにお礼を言ってくれた。
ギルフォードに頭を撫でてもらったのがとても嬉しい。
見た目でいったらお兄ちゃんなんだろうけど、お父さんがいたらこんな感じなのかな...?
ーー
非常食を渡された。
ギルフォードが「料理道具がないんだ、ごめんね」と言ってきた。別に気にしなくてもいいのに。
そんなことより一緒にご飯が食べられてとても楽しかった。
お腹いっぱいになって眠くなってきた...。
「今日はお疲れ様、おやすみ」
誰かが同じ空間にいて眠りにつけるのは初めてだった。
「...おやすみ!」
今日はいい夢が見れそう!