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fight1:元空手バカ少女

「お願いだ。うちの空手部に入って来れ!」

 東京都にある霞ヶ崎高校。その校舎裏で頭を下げる角切りのニ年男子校生に対し、黒髪のポニーテールの一年女子校生は困っていた。

「言ったでしょ、空手はもうしないんだって。しつこいよ。」

 彼女の名は『鋼原(はがねはら)奈緒(なお)』、かつては鋼原流空手道場の跡取り娘にして、中学の頃、町内の空手大会女子部門で準優勝し、空手バカ少女と渾名されるほど空手を心から愛した未来の女子空手家になると期待されていたはずだった。

 そんな奈緒を再び空手家の道に引き入れようとする少年『鉄輝(てつき)一心(いっしん)』は彼女と同じ道場に通い、同じ中学の頃で町内の空手大会男子部門で優勝、彼女にとってのかつての兄貴分である。

「俺はただ空手が好きだったお前に戻って欲しいんだ。」

「もう、嫌なのよ。昔みたいに傷付くのが。」

 彼女の言う昔の頃、一心が風邪をひいて休んだ時、隣町の道場破りがやって来た。しかも、その道場は空手紛いの喧嘩であり、多くの道場を破っては、それらの門下生は重傷を負い、中には空手家生命が切れた者までがいた。

「…そうか、すまない。でも、本当にいいのか? 今のお前は委員会の仕事に無理して勤しんでいる代わりに休みの時には心許なくボーっとしていることが多いって、同級生に言われて、もしかしてと思ったんだが…」

「本当にそう言うの無いから、じゃあね。」

 奈緒はさっさと校舎裏から出て、教室に向かおうとした。


「ねぇ、なおち、一年上の一心先輩に告られたって、本当?」

 教室に戻り、席に着いた奈緒を呼びかけた麻色髪のショートヘア―と黒い瞳を持つ、眼鏡をかけた同級生は『穂宮(ほみや)呂夢(ろむ)』、入学当初から出会った友達第一号で、ゴシップが好きな少女で、新聞部所属。

「違う、違う、一心…先輩は私の幼馴染ってだけで、ただの世間話よ。」

「へぇ、空手部の次期主将がなおちの幼馴染か。ということはなおちも空手できるの?」

「いやいや、空手とかの格闘技なんて腕に覚えがある人たちの暴力的な遊びでしょ。それにやったて、格闘家以外に仕事や利益を得られないよ。」

「ふ~ん、そう言うんだ。町内大会で優勝したって情報あるけど。」

「そっ、それは…」

 その時、教室の扉から青髪のポニーテールと黒い瞳を持つ眼鏡の巨乳女教師『清真水(きよしみず)真琴(まこと)』が入っていき、教壇に立つ。彼女は熱心な生徒思いであり、とある噂では不良高校の凶悪なヤンキーを僅か一週間で改心させたとか、何とか。

「え〜、みなさん。おはようございます。入学期早々ですが、転入生を紹介したいと思います。」

「マジかよ、マコちゃん。いきなり過ぎない?」

「真琴先生と呼びなさい、勝木くん。その子は本来なら入学式に入る予定でしたが、家庭の都合上で遅れてしまったようです。それでは、入って下さい。」

 男子生徒の野次にも負けず、真琴教師は新入生の入室を許可する。

「はい!」

 教室の扉から出てきたのは髪の毛も瞳も赤い少し小柄な少女であった。常に和かでハキハキとした表情を保てていることから好印象が伺える。

 しかし、奈緒だけは赤き少女に違和感を覚えた。彼女がクラスの生徒を見回した瞳の奥底には深海より深く潜み、炎より揺らめき輝く何かがあった。まるで、獲物を追うかのような集中力とデパートで欲しいものを値踏みするかのような期待感に満ちていた。

「初めまして、鬼門(おにかど)蓮火(れんか)と申します! 趣味は格闘技! 好きなことは最強を目指すことでそす! よろしくお願いします、鋼原奈緒さん!」

「…は?」

 最強を目指すという少女に口を開けて、呆ける。何故、彼女が自身の名を知っているか。

 ここから、格闘少女たちの熱き物語(たたかい)が始まる。

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