セーラー戦士は五人じゃない
素人丸出しで、拙いところもあります。どうか温かい目で読んで下さい。
彼女とはあまり親しくはなかったが、目の前で、それも自分のミスが遠因で死ぬというのはきつい。あの時、何もできなかったことを凄く後悔している。私は今、どうやって戻ったのかは覚えていないが、エデンルームにいる。情けない。
「いや~、大変でしたね。もっと力があれば・・・とか思っているんですか?」とはじめが茶化す。
「当たり前だ...。ずっと後悔している。」
「世界は残酷です、救いなんて無いんです。それはどの世界でも言えること。 そ・こ・で 提案があります。残酷な世界で嘆く少女たちを救う、『救世主』になりませんか?」
「少女限定? 私は「女大好き人間」かっ! あの子を救えなかったのは事実だが、不謹慎な冗談はやめろ。」
「正確には若い乙女ですね。とりあえず、セーラー戦士の数である五人くらい救いましょう。」
「どっからセーラー戦士出てきた! 煽ってるのか? 忘れられている外部太陽系戦士の皆さんや、ちびムーン達とかの分まで殴ってやろうか?」
「あの子はもう救えませんが、たった数人だとしても、あなたが関わることで救うことのできる命があるんですよ? 興味ありませんか?」
「こんなことに関わりたくない自分もいれば、贖罪というか、何かしないと気が済まない自分もいる。だだ、無力な自分は何もできないだろうな。」
「なら特訓しましょ~よ。チート君である僕が教えますよ? 戦う術を身につけましょう! さぁ切り替えて、切り替えて。」
(やる流れになってる・・・。)
「まずは、柔軟体操からの受け身の理論編ですねっ!」
(もう、流されるしかないな。)
___2時間後
「続いては、武器の授与です~。何がいいですか? 戦闘スタイルが決まってしまうので、慎重に選んでくださいね?」
「よく分らんが、無難な剣かな?」
「剣、剣、剣...日本刀ですね。では、至高の一品を夜空にプレゼント! こちらの太刀と小太刀は、然るべきところへ持っていけば即国宝認定されちゃう程の『古刀』です。」
古刀とは、豊臣秀吉が廃刀令を発令する辺りより前に作られた刀だ。柔らかく、しなる。鋼の中の不純物の含有率や、今では誰も分からない製法によって、刀に地域色が出るのだとか。
「日本刀? 素人には扱いづらいんじゃないか?」
「慣れですよ、慣れ。さ、始めましょ!」
____「一つ気になるんだけどさ、はじめ、お前自称チートだけどホントに強いのか?」
はじめは「ではそこの模造刀で切りかかってきてください」とプラスチック剣を構えながら言った。
また煽られている。足めがけて刀を力いっぱい横に振った。はじめは、プラ剣を真上から振り下ろすと、模造刀をたたき割ったってしまった。
安いプラスチックで鉄を折るなんて常人ではできない。何かの間違いだろう。
別の模造刀を拾い、上段から振り下ろした。はじめは、同じく真上から振り下ろした。
なんと、刀の切っ先どうしがくっ付いたかの様な状態で、びくともしない。
・・・・化け物だ。
ふと、思い出した。
「お前なら彼女を救う時、一人で戦況を覆せたんじゃないのか?」
「そこまでする価値は無いでしょ? 俺つえ~~をしたいわけではないですし。 人は逆境を乗り越えることで強くなるんです。その機会まで奪う訳にはいかないでしょう? 僕は何でも出来ますが、頼られっぱなしになるのは嫌なんです。」
そこまで悪い奴じゃないことも、そういう性格なことも知っていた。その認識は今も変わっていない。けれど、あまりにも命を軽く見ている。セーラー戦士云々言っていたので、他の世界にも関わる気なのだろう。私が割って入らないと、多くの人がはじめのせいで嘆くことになるかもしれない。
私は戦うことを密かに誓った。