最強とはこういうものです
「おや、こんなところで何をしているんですか~」
「は、はじめ?」
出口らしきところからはじめが現れた。
「大変でしたね~。また守れないんじゃないか~って。」
そう言いながら私達を光のバリアで包んた。大和田はまた混乱している。
「言っておきますけど僕の仕込みじゃないですからね。何がしたいのか分かりませんが、とりあえず敵を一掃ておきましょう。」
「これだけの数を?一人で?」
「いくらでも対処法はありますが、面倒なので外部委託しましょう。あ、少しでも面白くなるよう工夫をしてみるのもいいですね。」
「え?」
はじめは唐突に音楽を流しはじめた。疾走感のあるリズムに合わせはじめは手を叩きはじめる。一拍叩くと西洋甲冑の騎士が決めポーズをした状態で現れ、もう一拍叩けば敵に物凄いスピードで切りかかっていく。それの繰り返し。
騎士の数はどんどん増えていっている。重いってなんですか?と言わんばかりの軽やかな動き。統率のとれた連撃。相手からしたらたまったもんじゃない。
音楽に合わせ華麗に攻撃する光景に、私は感動の涙が出てきた。
「どこか痛いの?」
大和田さんに気を遣わせてしまった。美しく抜群にかっこいい光景に心奪われた、なんて口にできない。恥ずかしい。大丈夫、気にしないでください。と、とっさにごまかした。
ゾンビか全滅するのと同時に、曲が終了した。空間が揺らぎ、元の道の景色になってゆく。
「元に戻れましたね~。僕はこれから用事があるので。では。」
そう言い残しはじめは行ってしまった。
ボロボロの服で道の真ん中に座り込んでいる私たち。通行人は目障りだと言いたげな目で我々を見てくたのだった。