絵本の音
「絵本の音」
「眠るまで絵本を読もうね」
私が眠るまで
耳元で奏でてくれた
絵本のリズム
母の優しい音
運動会でも
受験でも
就職でも
母の力強い「大丈夫」が支えだった
電話口
泣きながら「辛い」
そういう私に
「いつでも帰っておいで」
包み込む音色
心に小さな灯が燈る
孫を撫でる手と優しい音
あの日の絵本のリズム
変わらない
白い部屋
白いベッド
薬品の匂い
母の身体を拭き終え
身支度を整える
立ち上がると手を伸ばす母
私は母の横に潜り込む
「眠るまで絵本を読もうね」
今度は私が