帰郷1
土曜日AM9時
真「、、、おかしいなぁ。誰も来ないなぁ。9時に名古屋駅って間違えたかな?」
「仲君、お待たせ。」
悠子だ。
真「おはよう綾坂!他の皆は?」
悠子「う、うん。実は」
前日 金曜日PM6時
美紀「明日行かないってどうして?」
田中「俺、考えたんだ。真一にとって絵を見せるとは、実家に帰るとは、辛い事なんじゃないかなって」
村田「確かに仲が今まで秘密にしていたのは触れられたくないからだよな!
悠子「、、、」
美紀「だって仲、良いよって言ったじゃん」
田辺「仲君、あの時、凄く悲しい目してた。」
美紀「だからといってキャンセルしたら、その方が仲に悪いじゃん!」
田中「だからさ、悠子ちゃんが代表で行くんだ。
俺だって真のスゲ−絵 見たいよ!でも、それ以上にあいつの悲しい顔、見たくないよ。」
悠子「、、、え?」
村田「俺も女の子と約束あったの忘れてたし、いけないんだよ。」
田辺「私も用事がありました。」
美紀「ったく、しょうがないなぁ!じゃぁ、私も都合が悪くなったのでいけません!」
田中「よし!そ-いう事でいいな!皆!」
美紀「なんかムカつく」
村田「いつからリ−ダ−?」
田辺「デブ。」
田中「い-じゃね-かよ!、、、ってか田辺デブって言った?」
田辺「言ってません。」
悠子「でも、私でいいの?皆の代わりに私が行っていいの?」
村田「綾坂、バレバレだから。」
美紀「悔しいけどあんたにゃ勝てないし。」
田辺「超、ハイスペック恋人ですね。」
悠子「ハ、ハァ−!な、何言ってるの?わ、私は別に仲の事なんて、べつに、タダのクラスメートだし、それに、、、」
美紀「じゃぁ、私が行く!」
悠子「ダメ!」
悠子は赤くなり下を向く。
田中「じゃぁ、決まりでいいな!皆!」
美紀「だからウザいって。」
村田「だからいつからリ−ダ−?」
田辺「だからデブ。」
田中「やっぱり田辺!デブって言ったな!」
田辺「言ってません。」
悠子「と、言う事です。」
真「、、、バカだなぁ。あいつら。」
真一はうれしそうに言う。
改めて悠子を見る。
白のワンピースに薄いカ−ディガン、紺色の2wayバッグ。何処のモデルみたいだ!めちゃめちゃ可愛い。
悠子「、な、何?ジロジロ見て。」
真「あ、いや。今日は制服じゃないから魅入ってしまって。」
悠子「、、、どうかな?」
真「めちゃめちゃいいです。」
悠子は赤くなりクスッと笑う。
僕達は電車に揺られアトリエへ向かう。
こんな事が無ければ帰る事はなかったんだろうなぁ。、、、じいちゃん、ばあちゃん元気かな。
電車の揺れが心地良く僕はウトウトしていた。