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ギュッ。

田中「確かに俺も見てみたいさ!でも、真はどう思うかなぁ。」


村田「デブ中は、真の一番の親友だからストレートに聞いてみたらどうだ?」


田辺「わ、私も見てみたい。」

田中「ん、田辺が欲するとは珍しいな。」


美紀、悠子が教室に入ってきた。

「皆、おはよう!」

田中が思わず目をそらす。


美紀「ん、田中。何で今、目そらした?何かやましい事でもあんの?」

田中「な、何でもないよ。内輪の話だ。」


美紀「、、、フ〜ン。   ねぇ田辺ちゃん何の話、してたの!」


田辺「あ、えっと。それは、、、」

田辺がモジモジする。


村田「あ〜もう。真に文部大臣賞受賞した作品を見せて欲しいと頼もうか相談してたんだよ!」


美紀「えっ、マジ!私も見たい!見たい!」

田辺「私、当時のニュースネットで落として、スクラップ集めました。」


田中「流石田辺!インキャなだけはある!」

村田「お前もインキャだ。」


美紀「え〜!見たい!見よ、見よ!」



(若干12歳の天才現る!各賞を総ナメ!)


(海外からも高い評価!)


(天才の名は 仲 真一!)


(アメリカの資産家、1億ドルの交渉も決裂)


(天才の突然の活動停止宣言。影武者疑惑も)


(絵画の巨匠曰く、偶然だ。発言。)


(病気の母親を取材。天才を育てた母親。)


村田「なんか、キツイな。いい事ばかりじゃないし、、、」

田中「あ、あ〜。マスコミってなんでこんなに無神経なんだ?」


美紀「病気の母親を尋ねるなんて、どうかしている!  仲、辛かっただろうね。 私が抱きしめてあげようかしら。」

悠子が少しムッとする。


田辺「興味本位で言ってはいけない言葉かもしれませんね。」


一同「、、、う〜ん。」


真「おっ、懐かしいなぁ。」

一同「おわっ、、、!」


田中「し、真!いつから、いたの?」


真「今、さっきだよ。珍しいメンバー構成だったから何してんのかな?って思ってね。」


悠子「、、、仲君。わたし、この絵、近くで見てみたい。」

美紀「ウワッ、どストレートど直球だ。」


真「、、、いいけど。山梨県の山奥だよ。」


田中「まじかよ!よっしゃ!皆で見に行こぜ!、、、、、、あれ?」


村田「なんかムカつく。」

美紀「いつからリ−ダ−?」

田辺「仲君が決めて下さい。」


真「平日は厳しいから今週の土曜日でどうかな?」

一同「いいね!」


悠子「でも、これだけ騒がれたのに私、全然記憶に残ってないよ。」


美紀「確かに!4年位前だけど忘れるほど昔では無いよね。」


真「僕は中学卒業して、こっちに引越してきたんだ。母さんの病気もあったし、いい先生がいるって聞いて。」


村田「そっか。大変だったな。」


ダキッ、美紀が突然真に抱きつく。

真「ワッ!」

美紀「仲!大変だったね。辛かったよね!私で良かったら何でも話して!そして、抱きしめて!」



悠子「コラッ!美紀止めなさい!」

美紀「ん、、、何故に悠子が怒るの?、、、もしかして?」


悠子「ち、違うわよ。公衆の面前でする事じゃないでしょ!」


美紀「フフフ。悠子ちゃ〜んか、わ、い、い!」


ふと、気が付くと真一の足元に田辺がしがみついていた。


田中「田辺、お前そんなキャラだったか?。」


こうして僕達は山梨県にある僕の(正確には父の)アトリエへ行く事になった。



   放課後

真「綾坂!今日、文化祭委員会だった?」


悠子「私達は出し物決めたから出なくて大丈夫だよ。」


真「僕も今日は時間があるからさ一緒に帰ろうよ。」


悠子「え、、、う、うん!」


本来ならこの会話でクラス中の男子が仲に殺気立つのだが、なんせ彼は1億ドルの男。

彼に勝てる、勝負出来る男は存在しない。

マラソンで言うなればウイニング・ランみたいな物である。(カイジのナレ−ション調)


美紀「あれ?悠子は?今日委員会かな、、、」



少し肌寒くなってきた。肩を並べてゆっくり歩く二人、時々肩が、ぶつかる。その度に悠子はドキドキする。

悠子「、、、あのさ、今日、美紀が、、抱きついたでしょ。、、、どうだった?」


真「どうって、、、う-ん。いい匂いがした。」


悠子「、、、嬉しいとかドキドキとかした?」


真「ははっ。ビックリしたよ! 田辺なんて足にしがみついてたもんね!」


悠子「あ、あのさ、この前の、教室でさ、、あの、キ、キスしたでしょ、、、あれって、成り行きとか、その場の、雰囲気とかで、深い意味とかってないんだよね。きっと。」


真「、、、。僕は女の子と付き合った事無いし どうしたら良いのか分からないし ただ、あの時、綾坂が真っ赤な夕陽に射抜かれた女神に見えて愛おしいと思ったんだ。ごめん、嫌だった?怒ってる?」


悠子「、、、謝らないでよ。なんか後悔してるみたいに聞こえる。」


真「あのさ、僕は今まで女の子と仲良くしたり付き合った事が無くて 正直どうしたら良いか よく分からないんだけど綾坂を描いてみるから待ってて綾坂を描いて納得出来る作品が出来たらきっと答えが出ると思うんだ。」


悠子「、、、なんかズルい。」


真「、、、ごめん。」


悠子「じゃぁ、ギュッてして。」


真「え、ここで?何か石井(美紀)には公衆の面前でどうとか言ってなかった?」


悠子「うるさいなぁー!早くしてよ!描かせてやらないぞ」


真一は周りをキョロキョロして人気がいない事を確認してから優しく悠子を抱きしめた。



     その夜

バフッ。悠子は枕に顔を埋めて足をバタバタさせて笑みが止まらない。

悠子「今日はゆっくり寝られます。」




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