決意。
友永は院長室のソファーに腰掛け絵を眺めている。真一が描いた絵だ。
コンコン。「院長、仲様がおみえになりました。」
友永「どうぞ。」
真「こんにちは、お忙しい中すみません。」
僕は高級感のあるソファーに腰掛ける。
友永は真一の描いた絵と真一を交互に見るとニヤリとした。
真「、、、?」
友永「いや、失礼。この絵を君が描いたと思うと天才とは本当に存在するのだと思ってね、、、話はわかっているよ!お母さんの手術を任せてくれるんだね?、、、待ってたよ。」
真「、、、失礼な事を言います。もし、失敗したらと思うと…」
友永「、、、確かに。仲君の不安はもっともだ、しかし私はアメリカで同じ症例の患者を何人もオペしてきた。、、、自慢は嫌いだが、これを見てくれ。」
ある過去の医療雑誌。
日本の友永、日本人初、心臓難解手術成功、学会発表!奇跡のオペ!神の手、ゴッドハンド。
従来のオペを根本的に覆す偉業。
真「凄い、、、友永先生は凄い人だったんですね。、、、失礼をお詫びします。」
友永は頭を下げた。
「僕を信じてくれ。君のお母さんは一日でも早くオペするべきだ。」
真「やめてください。頭を下げるのは僕の方です。、、、友永先生、どうかお願いします。母を救って下さい。」
友永「ありがとう!必ず成功させてみせる。実は優秀なスタッフも海外から呼んでいる。早ければ来週頭にはオペ可能だ!、、、どうかな?」
真「、、、来週、、、。わ、わかりました。お願いします。」
僕は本当にこれで良かったのだろうか、、、母さんに2度と会えなくなる可能性があり、例え治らなくても今みたい母さんと話しが出来たらそれでいいのかも、、、いや、これでいいんだ。
僕は肌寒い風が吹く中、公園のブランコに腰掛けて真っ赤な夕陽を見つめていた。母親との過去を思い出す。
母「真一、今日も学校でいじめられたの?、、、大丈夫よ。お母さんが明日はいじめられない魔法を掛けてあげる。」
「真一、お友達のお顔を描いてみたらどうかしら?真一はお話しが苦手だから絵で伝えてみよっか?」
「大丈夫。大丈夫。真一には無限の可能性がある母さん約束する。真一は宇宙よ。」
僕は涙を流しながらニヤリとする。
真「、、、大丈夫っていうけど何の根拠もないもんな、、、フフ。、、、でも、温かったな。」
真っ赤な夕陽を誰かが遮る様に立つ。
悠子「どうも、ストーカーです!病院からずっと付けてました!」
悠子は夕陽を背に両手を広げて
「真一、抱きしめてあげる。」
僕は吸い込まれる様に悠子の腕の中へ溶けていく。
、、、温かい、母さんと同じくらい。
来週の水曜日にオペが決まった。
そして次の週が文化祭だ。