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綾坂の家 後編。

   聖友病院 院長室

綾坂父「久しぶりだな。どうだ調子は?」


友永「悪くはないさ。でも驚いたな。まさかあの仲真一君と話しが出来るとはね。、、、はじめまして、院長の友永一樹です。」


髪は7.3に分け、四角い眼鏡を掛け、無表情。  神経質、潔癖症そんな言葉が似合う。


真「はじめまして、仲真一です。」


友永「早速だが、今度、病院を新設する事にしてね。各科のトップクラスの医師を集めてワンストップホスピタルを考えている。もう、病院を迷わなくて良いんだ。その玄関アプローチに君の絵を飾りたい。」


真「何故、僕なんですか?」

 

友永「気に入ったんだよ。それでは理由にならないかね?」

「モデルは私の娘だ。この病院に入院しているから、帰りに話をしてくれて構わない。」

「報酬は君のお母さんの病気の治療。私なら完治させられる。、、、すまない、色々調べさせて貰ったよ。」


綾坂父「、、、」


真「制作期間は?」


友永「3ヶ月、それ以上だと、娘の命が続かない。、、、一度考えてくれたまえ。、、すまないが人と会うのでこれで失礼するよ。、、、綾坂、またな。」 ガチャ、、


友永は、出ていった。


綾坂父「、、、気を悪くしないでくれ、昔はあんな奴ではなかったんだ。最愛の娘が死んでいくのを見守る事しか出来ない無念が彼奴を変えてしまったんだ。君のお母さんを引き合いに出した事も代わりに謝らせてくれ。」


真「、、、娘さん、助からないんですか?」


綾坂父「、、、君や悠子と同い年だよ。どうする?会っていくかね?」


真「、、、はい。」




綾坂父「泉ちゃん。お見舞いに来たよ。」


友永泉「あ、綾坂さん。こんにちは、お久しぶりです。、、、そちらの方は?」


真「仲真一です。はじめまして。」


泉「貴方が仲真一君?はじめまして、私は友永一樹の娘で友永泉です。同い年ですよね?早速ですが私、ウェディングドレス着てみたいの。ウェディングドレス姿の私を描いて下さい。余り時間がないので来月位には描いてほしいなぁ。」


真「似てますね。お父さんと。」


泉「私が?顔?」


真「話し方かな?」

彼女は、ショートヘアーで目がクリっとした可愛らしい子だった。とても病気とは思えない位に明るい子。


泉「そうかなぁ〜。せっかちとは良く言われたよ。」


綾坂父「泉ちゃん。まだ仲君は依頼を受けた訳じゃないんだよ。」


泉「そうなの?なんで?報酬?モデルの問題?」


真「、、、描きたいと思わないと描けないんです。」


泉「 、、、そっか、ざんねん。」

泉は下を向いている。


真「少し時間をください。、、、今描いている絵が完成しないと描けないし、泉さんを描くとは約束出来ません。」 


泉「、、、うん!わかりました!では、期待して待ってます!、、、あんまり時間はないけどね。」




綾坂父「何か悪かったね。嫌な想いをさせてしまった。友永も悪気は無いんだ。、、、やるせないだけなんだ。医者が娘を救えないという現実が。」


綾坂の家に帰って来たのは6時過ぎていた。


綾坂父「ただいま〜。」

真「ただいま帰りました。」


綾坂母「ちょっと、遅いわよ!悠子がふくれて部屋から出てこないのよ!」


綾坂父「、、、な、仲君、任せたよ。」


真「え〜!お父さん説明してくださいよ!」


綾坂父「、、、ごめん。無理。」


綾坂母「仲君頑張れ!」


真「ヤバイよね。どうしょう。」




コンコン。

真「綾坂、入るよ。」


部屋が真っ暗だ。明かりを付ける。

悠子はベッドの上で、膝を抱えて、うずくまっていた。

真一「あ、綾坂、ご、ごめん。綾坂、寝ていたし

絵も大分描けたよ。お父さんの知り合いの人と会ってきたら遅くなってしまって、、、」


悠子「、、、せっかく日曜日に会ってるのに。今日はずっとハグするって言ったのに。」


僕は、そんな事言ってないけど、、、

「い、今からハグしょうか?」


悠子「やだ、そんな気分になれない。」


僕は友永泉の事を思い出した。そして、僕達には明日があって、明後日もあって、喧嘩しても仲直りできて、いかに自分達が幸せなんだという事に気付かされた。素直になれば良い、取り繕う必要は無い。


僕は綾坂の前に座る。綾坂の頭を撫ぜる。

真「綾坂、ただいま。今、帰ってきたよ。」


綾坂は、チラリと僕を見ると赤くなる。

僕は膝を抱える綾坂の手をほどく、綾坂は抵抗しない。そのままベッドに優しく寝かせてキスをした。自分からこんなに求めたのは初めてだった。

長く、深く、、、彼女もそれに応える。

言葉は要らなくて本能でお互いの気持ちを確認する。何回も何回も繰り返す。

綾坂の機嫌はすっかり良くなり二人で横になりハグしていると綾坂が小さな声で何か言った。


真「ん、何て言った?」


悠子「ねぇ、エッチしたい。」


僕の中の南京錠が外れる音がした。





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