勇者イベント。
僕の名前は仲 真一 誠凛高校の2年生。特に取り柄の無い普通の高校生だ。今日も何時もと同じ繰り返しの毎日がやって来る。いつも通りに起きていつも通りに学校へ行きHRまでの僅かな時間を寝て過ごす。
男子「綾坂!今日みんなとカラオケ行くからどう?」
綾坂「ごめ〜ん!今日は止めとくね」
女子「悠子ちゃん!今週日曜日サキと映画行くけどどう?」
綾坂「う〜ん。考えとくね〜」
綾坂は男女隔たり無くモテる。毎日誰かが誘っている。別に盗み聞きしている訳じゃないけど聞こえてくるから仕方無い。
田中 正「オイ!真!起きろ!」
こいつは悪友の田中、デブで潔癖症。僕はデブ中と呼ぶ。
「真!ニュースだ!今日、昼休みに勇者イベント発生だ!」
勇者イベントとは綾坂悠子に告白する事で、告白者は勇者と呼ばれる。
半分寝ていた僕は目を擦りながら聞く。
真「う〜ん?誰が告るの?」
田中「2組の江森だ!陸上部の、ほらマラソン大会の1位だった奴!」
真「江森かぁ〜。江森とは小学の頃。仲良かったんだぜ。江森気が小さい奴だったけど大丈夫かなぁ?」
田中「でも。やっぱ綾坂は可愛いよなぁ〜。俺も駄目元で勇者イベントしてみっかなぁ!」
真「止めとけ。無理難題条件で50キロ痩せろとか言われんぞ!、、、しかし、そんなに良いかね?綾坂って。」
大あくびをしている僕は視線を感じる。
綾坂がこっちを見ている。
やべぇ。聞こえちゃったかなぁ、、、
昼休み
勇者イベント尊守事項
1.勇者イベントは覗き見、盗聴を禁止する。
1.勇者が勝利した場合。嫉み僻みを禁止し勇者を称え、祝福する事。
1.勇者が敗れても勇者の勇気を称える事。
江森「僕と付き合って欲しい。」
綾坂「江森君。ありがとう。じゃぁ私からの条件言うね。」、、、、、
田中「オイ!真。江森の奴、昼から早退したぞ。多分勇者イベントは失敗したな〜」
真「何で解るんだ?」
田中「早退理由が自分探し。って帰ったらしいぞ」
真「す、凄いな、その早退理由。と、いうか綾坂もさっさと誰かと付き合えばいいのに楽しんでんじゃねぇの?悪女だなあいつは。」
田中「、、お、おい、真。」
真「そもそも無理難題言って諦めさせようとする事が気にいらん。勇者イベントでいい気になってんじゃねぇの?」
田中「し、真君、後ろ。後ろ。」
真「ん?なんだ。うしろに、何?」
僕は振り返ると鉄仮面の様な表情でこちらを見ている綾坂が立っていた。
真「あ、綾坂!、、、な、なんか用?」
やべぇ。絶対に聞かれたな。
綾坂「仲君。ちょっと時間ある!」
綾坂はニコリとするが、あからさまに気分を害してるのが分かる。
真「い、いゃぁ。じ、時間は、、、無い!ほら、
僕は今、田中と貴重な昼時間を過ごしているから、、、」
綾坂「田中君居ないよ。」
真「へっ、、、。」
あの。クソデブ!
真「と、とにかく。時間はありません。残りの昼時間で寝むりたいので、、、」
綾坂「じゃぁ、今日の帰り一緒に帰りましょ」
真「いゃぁ、今日、図書委員の集まりがあるので、、、」
綾坂「いつもサボってるでしょ?」
真「、、、良くご存知で。、、分かりました。」
問題は今の会話を聞いている周りの野郎共だあの綾坂から、帰りを一緒に誘われたと言う事を良く思う訳が無くギラギラした目で僕を睨んでいる。映画で見たバタフライナイフをなめてる感じだ。
放課後 僕は綾坂との約束の場所を裏門にした。皆に見つかるとイヤとの理由で。僕は勿論、裏門には、行かずに正門からダッシュで帰った。
でも流石に綾坂に悪いと思い、クラスメ−トの女子にお腹が痛いので病院へ行きますと裏門で待っている綾坂宛に伝言を頼んだ。
綾坂「仲 真一、、、そう来るか!」
綾坂はニヤリとした。