帰郷8
悠子「さっ寝よっか!」綾坂は僕の手を引く。
真「まて、まて、まて!綾坂は布団で寝なよ!僕はこっちで寝るから!」
悠子「風邪ひいちゃうよ。何もしないから、お話するだけ!」
真「そんな、ナンパ師みたいな事言っても駄目だ!」
プクー。綾坂の顔が徐々にふくれていく。
真「わかったよ。わかった!疲れてるからもう寝るからね…」
僕たちは布団に入った。僕は綾坂に背中を向ける。
真「おやすみ!」
僕はグッと目をつぶる。
悠子「、、、ねぇ。私、真一が好き。、、、最初は何か気になる程度で、悪口言われて、もっと気になる様になって、いい加減な奴と思ってたら本当は家事に、勉強に、お母さんのお見舞いして、凄く頑張り屋さんだった。
天才なのに自分は凡人だ!って所もカッコいいよ。あの日、教室でキスされた時凄くドキドキした。映画のヒロインみたいだった。今日、真一が皆に愛されてるのが良くわかったし静香ちゃんには嫉妬した。私を描いてくれてる時の顔は今までに見た事ない顔。いつもは力半分で余裕な感じするけど一生懸命で全力だった。」
真「、、、僕は、綾坂とは世界が違うと思っていた。凄く綺麗な子だけど関わる事は無いと思っていたし自分の生活に余裕がないから誰かを好きになる事もなかった。でも、やっぱり綾坂は綺麗だ神が造った最高の造形美。ただ、それだけじゃなくて強がりで、寂しがりや、泣いたと思ったら笑う。その表情一つ一つが可愛いよ。
でも、待って。この感情は絵が完成したらはっきりすると思うから。」
悠子「背中向けて喋らないでよ。」
真「、、、振り返ったら何かするでしょ?」
悠子「だから、しないって言ってるでしょ!私は女の子だよ!こっち向いて。」
僕は目を開けるとゆっくり綾坂の方へ身体の向きを変えた。
綾坂はこちらを向いている。顔まで20センチ。この近距離でも粗の出ない美顔。目がトロンとしてて危ない。僕は、本能で危険を感知した!
真「あ、綾坂のママに結婚までキスもしちゃ駄目って言われたから我慢しようね!」
突然、綾坂は唇を重ねて来た。僕のフレンチキスとは違い、こじ開けられる感じ。
真「ん、んんん、、、。」
長い、凄く長い、、、
昔、動物のテレビで子鹿がライオンに襲われて小さい抵抗するんだけど徐々に食べられてしまうの見たけど。
今、そんな感じ。
真「はぁ、はぁ、はぁ、窒息する。」
悠子「はぁ、はぁ、ねぇこれで合ってるのかなぁ呼吸はしながらするのかなぁ?、、、もう一回やってみるわ。」
真「い、いや、ち、ちょっと、話が違う、、、」
綾坂のお母さんごめんなさい。不可抗力です。あなたのじゃじゃ馬は馬では無くライオンでした。