帰郷5
米婆さん「ハッハハハッ!良かった!良かった!
真一が元気でおまけにこんな綺麗なお嫁さんまで連れて来てめでたい!めでたい!」
米婆さんは入れ歯をフガフガさせながら話す。
真一「米婆さん、お嫁さんじゃないよ!」
悠子「このお団子美味しい!」
山下「でしょう!沢山食べなよ!」
米婆さん「、、、でもな真一。静香にはちゃんと話すべきじゃ。この一年のあの子は本当に苦しかったん思うぞ。、、、ちゃんとケジメつけないかん。」
山下「ばあちゃん。もう、いいじゃないか!真一だってしょうが無い事だったんだ。苦しかったと思うし。」
ガタッ。 真一はゆっくり席を立つ。
悠子「仲君!、、、行って来て。、、、そして、ちゃんと帰って来て。」
悠子は無理に笑顔を作る。
真一「ばあちゃん。僕、行って来るよ。ありがとう。」
僕は迷わす神社へ走る。
階段を登り神社正面の段に腰掛ける静香を見つけると隣に座る。
静香「やっぱり来ると思った。」
真「本当に?」
静香「嘘、、、でも期待してた。」
真「あのさ、静香、僕は、、、」
静香「言わなくていい。慰めも優しい嘘も要らない。、、、だから最後にキスして。それで忘れてあげるから。」
真「、わかったよ。、、ほら、目閉じなきゃ。」
ごめん綾坂。これは、僕のカルマなんだ。
僕は静香の頬に手を当てて優しく口づけをする。
ピンッ! ? デコピン?
静香「バーカ!そんな辛そうな顔してキスされても嬉しくないよーだ。、、、実はさ、山下に付き合わないかって言われてる。迷ってたけど付き合おうと思う。
何か、ありがとう。しんちゃんの事、吹っ切る事出来たよ。、、、もう大丈夫。ずっと友達でいてあげるから早く綺麗な彼女の所へ戻りなよ!」
真「、、、そうか。ありがとう静香。山下なら幸せにしてくれるよ。、、、僕は行くよ。、、、またな!」
真一はゆっくり立ち上がり振り返る事無く歩いて行く。
静香はその背中をじっと見つめる。
真一、お願い、振り返って、私をもう一度見て、そして抱きしめて、大好きだよ真一、お願いだから私を、、、。
真一は振り返らなかった。振り返ってしまったらきっと静香を抱きしめてしまうから。
静香「あ〜あ。また涙だよ!今日は一日中雨だな。」
静香はそう言って晴天を見つめる。
僕達は、山下の父親の車で僕の実家まで送って貰った。
山下父「真一!爺ちゃん、ばあちゃんお前を送り出す時かなり苦労してたぞ涼子さんの病院移動も俺の所来て頭下げてな、、、早く笑顔見せてやれ
そして、出来れば戻って来い!お前の家はこの町じゃぁないか!」
山下「本当だぜ!お前はこの町に戻るべきだ!
それと、綾坂さんを離すなよ!こんな美人滅多に出会えないぞ!」
真「、、、ありがとう。おじさん。山下。」
平屋の大きな家、奥には丸太で造られたアトリエ
庭先で椎茸を干しているばあちゃんがいた。
真「ばあちゃん!ただいま!」




