帰郷2
「、え、、ねぇ、、くん。なか、、くん。仲君」
僕は、ハッとして目を覚ます。綾坂がいた。
悠子「乗り換えは大丈夫?私、行き方わからないよ。」
真「あっ、、ご、ごめん。ついウトウトしちゃったよ。」
悠子「もう!電車乗ったら直ぐに寝ちゃうんだもん。、、、でも疲れてるよね。毎日、大変だもんね。」
真「あっ、次で乗り換えだ!あぶなかったよ!」
悠子「良かった。私、タイミング良かったね!」
ニコリと笑う。
、、、綾坂ってこんなに可愛いかったんだな。今さら気づく。
電車を降りて反対のホ−ムへ向かう途中すれ違う人たちは皆、男女問わずに綾坂を観る。中にはじっくり見つめる奴もいる。確かに美少女であり美人だ。きっと僕は羨ましいと思われてるんだろう。
真「綾坂。、、、今日は来てくれてありがとう。
正直、こんな事が無かったら僕はこの先いつ実家に帰るかわからなかったよ。向こうには爺ちゃんとばあちゃんいるし、心配はしてたんだ。」
綾坂「ううん。本当は皆、行きたかったんだよ。でも仲君の気持ち考えて我慢したんだよ。私だけ来てしまって皆に申し訳ないよ。」
綾坂は僕の少し後ろを歩いていたが僕の横まで来た。
綾坂「今日、凄く楽しみで昨日、遅くまで服を選んでて今日、仲君がとっても良いよって言ってくれて嬉しかった。」
綾坂は何も言わず僕の手を握る。
綾坂「早く行こう!」
顔を赤くした綾坂は照れながら僕の手を引っ張る。
僕は、今までこんなに温かな気持ちになった事、無かったな。これが幸せって奴なのかな。
でも今日の綾坂は少し大胆だ。大丈夫かな?
何度か乗り換えて街並みも寂しくなってきて最後のローカル線に乗る。
窓を開けて髪がなびかない様に手で押さえながら綾坂は窓の外を観る。
映画のワンシーンみたいで見惚れてしまう。
綾坂「もうすぐ仲君が育った場所に着くんだね。何か緊張してきた。」
真「何で綾坂が緊張するんだよ。本当に田舎で山奥だよ。この電車降りてからバスで20分位山登った所だから。ちなみにバスは3時間に一本だから11時のバス乗れないとやばいんだ」
綾坂「ふ〜ん。こんな遠くまで来ると、なんか駆け落ちしてるみたい。」
綾坂はサラッと言うが、今日の綾坂はちょっと変だ。いつもは少しツンとしてて強がって素直じゃないのに、いつも言わない事サラッと言う。
服装も大人っぽいし行動も大胆だし僕は困惑してしまう。
駅を降りてバス停まで向かう。
「し、真一?真一じゃないか!」
声の方を観ると何人かのグループの一人に声をかけられる。昔よく遊んだ山下だ。
金髪、短髪の田舎ヤンキーって感じ。
そして、その後ろに黒髪のショ−トヘアーの女の子。少し目がキツめで気が強そうな子。静香だ。
二人は走って来ると山下は僕に抱きついた。
山下「お前!元気だったか!突然いなくなったから心配したぞ!お前の爺ちゃんに聞いても教えてくれないし!、、、静香に謝った方が良いぞ。」
最後のセリフは小声で囁く。
僕は静香の方を観ると少し手を上げて。
真「や、やぁ。静香久しぶり!」
パァン! 僕は突然平手打ちをくらった。
静香「真一!ふざけんなよ!今頃何しに戻ってきたんだよ!」
悠子「仲くん。大丈夫!」
悠子は僕に駆け寄る。
静香「あんた、何?真一の何なの?言っておくけど真一は、真一は、、、」
静香はボロボロと涙を流してその場にしゃがみこんだ。
山下「、、、まぁしょうが無いな!突然いなくなった真がワリぃよ。、、、真!久しぶりに米婆さんとこで団子食いに行こうぜ!」
真「、、、あっ、そうしたいけどバスの時間あるし。」
山下「大丈夫だよ!家に帰るんだろ。後で父ちゃんに送って貰えばいいよ!、、、ってか誰?このモデルみたいな美人は?」
真「えっと、、、あの、何だろうね?」
僕は頭を掻きながら綾坂を観る。
悠子「仲君は私の大切な人です。仲君が、私を何とも思っていなくても私には大切な人です。」
強い意志で話す悠子は凛としていた。
静香「、、、グスン。じゃぁまだ付き合ってる訳じゃ無いんだな?」
静香は目を擦りながら二人を睨む。
すかさず悠子は言う。
悠子「キスはしたし、抱きしめてくれた!」
真「わぁ~~!綾坂!そんな事、ここで言わなくても良くない?」
僕は慌てて悠子に詰め寄る。
静香「わぁ~~ん!やってんじゃん!やる事やってんじゃん!」
静香は再び泣き出した。そして悠子に近づき顔を近づけて、頭から足元まで舐める様に観ると。
静香「わぁ~~ん!勝てないやん…私より美人で、スタイルもいい〜!」
静香はその場でワァンワァンと泣き出した。
山下「こりゃ参ったな!、、、真!という事で米婆さんの所集合な!、、、俺はこいつ何とかしてからいくからさ!」
山下は静香を連れて去って行った。
真「、、、あの〜あ、綾坂さん。大丈夫ですか?」
悠子「、、、知らないわよ!」
めっちゃ怒ってる。
僕は帰郷直ぐに手荒い歓迎を受けた