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第6話 タイタン・オブ・スティール・ヴァーサス・ギガンティック・エイリアンズ

第6話 タイタン・オブ・スティール・ヴァーサス・ギガンティック・エイリアンズ


 フロリダ州。マイアミビーチ。


「ギィヤオォォォォォ!」


 巨大エイリアンが咆哮し、街を破壊する!

 ここでは先に現れた巨大エイリアンが、暴虐の限りを尽くし、街を更地へ変えようとしていた!


 ドォォン……


 また一つ建物が無慈悲に踏みつぶされる! これぞこの世の終わりともいえるアポカリプスな光景! もう誰にも、誰にも止めることは出来ぬのか!?


「ギィ?」


 ふとその内の一匹が空を見上げる。夢中になって街を破壊していた他の五匹も釣られるように顔を上げた。

 その視線の先には一つの小さな影。何かが空を飛んでいる。あれは何だ?


 鳥か?

 飛行機か?


 いや、


 その影は見る間に巨大になっていく!

 陽の光を受け輝くメタリックなボディ!!

 あれは、あれは!!


 タイタン・オブ・スティールだ!!!!


「待たせたな、クソッタレ共!」


 ジョージはエイリアンの姿を確認し、凶悪な笑みを浮かべた。



 タイタン・オブ・スティールの両腕に装着されたロケットが切り離される。タイムは80分ジャスト。見事計算通りだ!

 だが、推進力を失った彼はもう重力に引かれ落ちていくだけ。このままいけば音速でのデッドリー・ドライブ! ただでは済まない!!


「着陸用のロケット点火スル?」


 目の端をヒラヒラと飛ぶティンカーベルが聞く。ジョージは答えた。


「ノー!」

「このままの速度で着陸すると、脚部に24%の破損ダメージだヨ?」

「ハッハァ! あるだろう! 丁度いいクッションが、そこに!!」


 ジョージは乱暴な口調で笑う! ティンカーベルはくるりと回転!


「ナルホドネ! 成功率は79%! オッケー?」

「オーケイ! このまま突っ込め!」

「ラージャ! 姿勢制御開始! 体勢は?」

「決まっている! ドロップキックだ!!」


 タイタン・オブ・スティールが空中で器用に姿勢を変える! 頭から突っ込むような形から、揃えた両足から突っ込むような形!


 驚異の速度でタイタン・オブ・スティールは真っ逆さまに突っ込んでいく……そう、街を破壊する巨大なエイリアンの一体へと!!!


「ギェ!?」


 その一体が驚いたような声を上げる!

 だが! 気付いた時には! もう! 遅い!!!


 ドッゴシャァァァァァァァン!!!!!


 タイタン・オブ・スティールの両足が、巨大エイリアンの頭を叩き潰す!

 その勢いのまま地中深くへエイリアンの頭部を埋め、凄まじい土煙を上げながら更に500mほどガリガリと引き摺り下ろした!!

 アスファルトは電車道のごとく抉られ、ゴアな大根下ろしとなったエイリアンの肉片が辺りに飛び散る!! 緑色で食欲は全くそそらない!!

 ジョージの視界ではティンカーベルが嬉しそうに飛び回った。


「サクセス!」

「ハッハァ! 戦いのゴング代わりだ! さぁ、行くぞ!」


 己の命も顧みない、なんと無鉄砲な男だ! その瞳に宿る光は、正義か、憎しみか、はたまた狂気か!?

 一つ分かっているのは、彼はもう権威ある振る舞いの大統領ではない。

 愛する者を奪われた『ジョージ・バリトン』という名の復讐鬼として、ここに立っているのだ!!


 ジョージは叫ぶ!


「動力切り替え! メインエンジン・イグニッション!」


 タイタン・オブ・スティールのデュアルアイが、強く輝きを放った。



「ギャッ! ギャッ!!」


 仲間の一匹がやられた巨大エイリアンは、今空から降ってきたものを明確な敵と認識する! もうもうと上がる土煙を囲み、警戒を強めるのであった!


 ギュララララ!!!


 その時、土煙の中から巨大な手だけが飛び出してくる! 腕は無い! いや、よく見ると土煙の中へとチェーンが繋がっているではないか!


「ギェ!?」


 その手は手近なエイリアンの頭を引っ掴むと、土煙の中へと引きずり込んだ!!


ドッゴォォォン!!


 響き渡る凄まじい衝撃音! そして、土煙が一気に晴れる! 現れたのはピクリとも動かない巨大エイリアン。そして、その胸部に異様なまでに巨大な腕を突き立てる鋼鉄の巨人であった。



 ジョージは腕を振り払う。


「残りは!?」

「四匹! どうすル?」

「ナックル・フレイル、セット!」

「ラージャ!」


 ティンカーベルがくるりと舞うと、タイタン・オブ・スティールの右手が分厚い装甲に覆われる。

 ジョージは目前の巨大エイリアンに向けて拳を握りしめ、右腕を伸ばした! すると、タイタン・オブ・スティールも同様に右腕を伸ばす!

 違和感はない。完璧な調整だ、フジモト。

 ジョージの口角が歪んだ!


「ファイア!」

「ラージャ!」


 ティンカーベルの言葉と共にチェーン付きの右拳がエイリアンに向かって真っすぐに発射される!


 ガコォォォォン!


「ギェ!?」


 勢いよく放たれた拳はエイリアンの頭部を的確に捉え大きくへこます! 普通の生物なら致命傷だが、ふらつく程度のエイリアン! 信じがたいタフネス!


「うぉぉぉぉ!」


 もちろん、ここで終わらせるジョージではない!

 タイタン・オブ・スティールはチェーンで繋がれた拳を、フレイルのように頭上で振り回す! な、なんと凄まじい風圧か!


「オラァァァ!!!」


 ジョージの気合と共にクラッカーのような残像を残しながら鉄塊が放たれる!


 パキャァァァン!


「ギィヤァッ!!!」


 ふらつくエイリアンの顎へと再度のヒット! あまりの威力に顎の一部が消し飛び消失! どぉと、土ぼこりを上げながら、エイリアンは仰向けにぶっ倒れた!

 ここまでジョージの圧倒的優勢!!

 だが、エイリアン側もただ見ているだけではない! 仲間の一匹が倒れたと同時に、残りの三匹が、奇声を発しながらタイタン・オブ・スティールへと襲い掛かってきた!


「キャタピラー・チェック! ナックル回収!」

「ラージャ!」


 ジョージがそう指令すると、タイタン・オブ・スティールは緑色の血でぬめった右拳を回収しながら、両膝をついた。

 どうした!? 命乞いでもしようというのか、ジョージ!?

 そんなわきゃない! そんなわきゃないのだ!!!


 ギャルルルル!!!!


 タイタン・オブ・スティールの膝下から地面を削り飛ばす音が響く! そう、この巨大ロボットの膝下はキャタピラとなっているのだ! これを全力稼動させることで、


「NHLばりのボディ・チェックだ! ヤーハー!!」


 とんでもない速度での体当たりが可能となる!!


 ギャラララララ!!!!


 向かってきた一匹へと荒れ狂る猛牛のごとく突進するタイタン・オブ・スティール!! 障害物(街並みである)も何のその! 全てを踏みつぶし、粉砕し、突き進む! もうどっちの方が街を破壊しているか、わかったものじゃない!!!!


 ドォォォン!!


「ギェェェッ!?」


 衝突! そして、エイリアンの巨体を軽々と吹き飛ばす! 上空へと舞い上がった巨大エイリアンは、背中から地面へと叩きつけられた!

 土ぼこりを上げドリフトしながら、タイタン・オブ・スティールは立ち上がった姿勢に戻る!


「あの着地ジャ、芸術点はあげられないネ!」

「ハッハァ! そうだな、ベル!」


 ジョージは笑いながら、体当たりで倒れもがく、エイリアンの二又の尻尾を掴んだ!


「うおぉぉぉぉ!!」


 気合の雄たけび! ジョージは機体を反転させながら、尻尾を掴んだ手を振り抜く!


 浮き上がるエイリアンの巨体! 宙を舞い、そして、その先には、おぉ! ナックル・フレイルによって倒れたエイリアンの姿が!!


 ドガァァァァァァァン!!!!


「ギェェェェッ!!」


 思い切り叩きつけられ、折り重なるエイリアン! 悲鳴を上げ、緑の血反吐を吐く!


「エイリアン・バーガー、いっちょ上がりだ!」

「ヒェー。まずソウ!」


 タイタン・オブ・スティールが、重なったエイリアンの背中を勢いよくストンピング! 念入りに潰す! ビチャビチャと緑色の液体を噴出しながら、二匹のエイリアンは完全に動かなくなった。

 これで、残るは二体!


「不穏な動き感知! 気を付けテ!」


 その時、ティンカーベルが警告を発する。


「何だと?」


 ジョージが振り返る。

 すると、そこには。


 共食いをしているエイリアンの姿があった。



 グチャ。グチャリ。


 粘着質な音を立てながら一匹が一匹をむさぼり食う。

 口の触手から緑の血を滴らせ真っ黒な目には何の感情も浮かばせず。

 あまりにも、あまりにも冒涜的な光景。

 ジョージは生理的な嫌悪感を胸に抱く。


「ベル。何が起きているか、解析できるか?」

「ラージャ!」


 ティンカーベルがジョージの視界でくるくると飛び回る。


「オッケー! 熱量増大。体積上昇! うん! アイツおっきくなってるヨ!」

「何?」


 ジョージが片眉を吊り上げる。

 その時だった!


「グギャオォォォォォォ!!!」


 最後の一匹の咆哮!

 ビキビキと音を立てながら腕はより太く! 鱗はより凶悪に! 胸はよりマッシヴに! 尻尾はより強靭に!

 デカく、ティンカーベルに言われるでもなく、目視でも明らかにわかるほどデカくなって行く! 40mほどだったはずの体躯は、今やタイタン・オブ・スティールにも劣らぬデカさへと成長していた!


「何でもアリだな、この化け物め!!」


 ジョージは吐き捨てるように言うと、最後の巨大エイリアンに向かって機体を走らせた!

 エイリアンもそれに応えるように、真っすぐに向かってくる!!


 ドガーン! ドガーン! ドガーン!


 お互いの一歩ごとに土煙が上がり、瓦礫の街は更地へと変貌していく! だが、ジョージは初めからそんなこと意にも介していない! そう、何よりも優先すべきは、勝利なのだ!!


 タイタン・オブ・スティールが両手を突き出す! 対する巨大エイリアンも同じ姿勢!


 ズズズーン!!!


 お互いの手が組み合わさり、額を押し付け合う!!

 がっぷり四つ!! 最後の戦いは、力比べから始まった!!!



 グググとタイタン・オブ・スティールがエイリアンの腕を押し込む!

 力比べは鋼鉄の巨人の勝利か!?


「熱源感知! 腹部! 気を付けテ!」


 その時、ティンカーベルが慌ただしく飛び回った!


「次は何だってんだ!」


 ズボァ!!


 おぉ、ゴッド……! なんたることだ! 突如として、エイリアンの腹部から新たに二本の腕が生える! これはいけない! 今、タイタン・オブ・スティールの両腕は塞がれてしまっているのだ!!

 ジョージは驚愕に目を見開く!


「そんなんアリか!」

「さっきの言葉と矛盾を指摘!」

「うるさい!」


 ガァン! ガァン!


 新たに生えた腕で、エイリアンはタイタン・オブ・スティールの腹部へと無慈悲に攻撃を加える!! 鋭い爪が厚い装甲を削ってゆく!!

 ティンカーベルがオロオロと視界の端を飛んだ!


「損傷率15%! 何回も受けられないヨー!」

「わかっている!」


 パワーでは勝っている! ジョージは腹部への攻撃を意に介さず、両腕でエイリアンの巨体を持ち上げた!


「ギェ!? ギェ!?」


 暴れるエイリアン! だが、そんなことには構わず、タイタン・オブ・スティールごと後ろに倒れこむように投げ飛ばす! 両者、背中から墜落!!


「姿勢制御! 立ち上がれ!」

「ラージャ!」


 ジョージの言葉に、タイタン・オブ・スティールの各部が回転し、素早く立ち上がる姿勢に移行! だが、機体の首に巻き付く、強靭なエイリアンの尻尾! メキメキと首の関節部が悲鳴を上げる!!


「まずいヨ! もげル!」

「いや、問題ない!」


 ジョージは叫ぶ!


「ブースト・ナックル!! トドメだ!!」

「ラージャ! この姿勢だと衝撃スゴイヨ!」


 おぉ! タイタン・オブ・スティールの左肘先に注目だ! 装甲が展開し、ロケット推進装置が現れたではないか!

 タイタン・オブ・スティールはエイリアンの体に重なるように倒れこむ!

 が!

 同時に肘先のロケットも点火!!!

 それに気づいたエイリアン! 四本の腕でガードを試みる!


「地球へ! ようこそ! クソッタレが!」


 爆発的な推進力を得た左拳が!

 ガードをぶち抜き!

 巨大エイリアンの胸に!


 メッシャァァァァッッッ!!!


 突き刺さる!!


「ギャァァァァァッス!!」


 巨大エイリアンの悲鳴!


「ぐぉぉぉぉぉ!!」


 操縦ルームでまるで子供に振り回される虫かごの中の虫のごとく体を揺らすジョージ!


 しばらくして、タイタン・オブ・スティールの首を絞めていた尻尾が緩み、力なく滑り落ちた。


「ガハッ」


 揺れた機体の衝撃でダメージを負ったのか、ジョージはパイロットスーツの中で血痰を吐く。しかし、その血痰はすぐにスーツの機能で回収・浄化された。

 ティンカーベルがくるくると回転しながら飛び回る。


「内臓へのダメージは軽微! よかったネ!」

「そこは心配するところだろう」


 ジョージは力なく微笑んだ。

 これで全ての巨大エイリアンは片付いた。微笑んだまま長くため息をつくジョージ。


 これで一先ずは休めそうだ。


 そんなことを思った、その時であった。


 キュン!


 突如、ジョージの頭上が眩しく輝いた。



 未確認! 飛行物体! 出現アピアランス!! 再度アゲイン!!!! 



 巨大エイリアン達との死闘を終えたジョージの目に飛び込んできたのは、飛び込んできたものは!!!

 忘れもしない、20年以上前のあの日! あの時! 愛しの女性を奪った!


 巨大な光輝くUFO!!!


 それが、再び、大空に現れたのだ!!!

 ジョージは目を見開き、憎しみに目を、口を歪める!!


「貴様ぁぁぁぁぁッッッ!!!」


 UFOの下部中心にあった、ハッチらしきものが開く! そこから投下される一つの影。

 何が? いや、そんなことはジョージにとってどうでもよかった。


「ベル! 着陸用ロケット、切り離し!」

「ラージャ!」


 それは、タイタン・オブ・スティールが背中に装着していたロケット。激しい戦闘によりボコボコにはなっているが、機能には問題が無い。

 切り離されたロケットを、タイタン・オブ・スティールが持ち上げる!


「これでも、食らえぇぇ!!」


 そして、やり投げのごとく、ロケットを投擲した!!


「ベル! ロケット点火!」

「ラージャ!」


 推進装置が点火し更に加速! ロケットは超ド級の巨大な矢と化し、UFOのハッチ部へと一直線!

 しかし!


 ピュン!


 UFOから放たれた緑色の光線によって、そのロケットはあまりにもあっけなく爆破されてしまった。なんという恐ろしい精度か。


 キュン!


 そして、UFOはハッチを閉じると、あの時のように……跡形もなく消えてしまった。


「クソ、畜生! 畜生ぉぉ!!」


 ジョージは涙を流し、慟哭した。あの日、あの時に刻み込まれたトラウマを、狂おしいまでに刺激されていたのだ。


 ズズゥゥゥゥン……


 UFOから投下された物体が、そんなジョージの前へと落ちる。

 50m以上はありそうなそれは、真っすぐに立ち、静かにタイタン・オブ・スティールへと相対していた。巨大エイリアン。そうには違いない。


 だが、それは、今までの巨大エイリアンとは違い、人間の……女性のように見えた。


【タイタン・オブ・スティール・ヴァーサス・ギガンティック・エイリアンズ 終わり】

「鳥か? 飛行機か?」はスーパーマンで有名なフレーズですネ。やりたくてしょうがなカッタ。

「地球へ! ようこそ!」ぶん殴り! は最高のエンタメ映画『インデペンデンス・デイ』をイメージ。映画ではウィル・スミスが宇宙人ぶん殴った後に言ってましたネ。マジ面白いから、超おススメ!

……お願いユルシテ!


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