昔話。
遠い遠い昔、耳が裂けそうなほどの轟音と目を潰されそうなくらいの眩い光が世界を包むと共に、ある村に住む一人の女性が姿を消しました。
捜索は村をあげて行われ、村の外からも多くの人が探しましたが――とうとう彼女が見つかることはありませんでした。
10年経った後、今度は一人の少年が何の前触れもなく行方不明になりました。
それから一年に一度、村の若者が突然一人だけ失踪する奇妙な事件が起こるようになりました。
時は流れ、村は街となり、2000年代に入ってからも行方不明者とその帰りを待つ人達は増えるばかりでした。
1000人以上帰ることがなかった失踪者の中で、ついにたった一人だけ戻ってくることができた人がいました。名前は赤野 太介。
彼は失踪から半年後に自宅の自室で泣いているところを両親によって発見されました。
しかも不思議なことに、彼が発見されて以来失踪事件は起こらなくなったのです。
しかしその後、彼はどこに行っていたのか、何があったのかを誰にも話さぬまま生涯を終えました。
この物語は、彼の歴史のほんの一部。
多くの謎が残っていますが、私の言葉を注意深く聞いていればきっと答えは見つかるでしょう。
初投稿、いわゆる処女作です。
現時点で全10話前後を予定しています(変動の可能性あり)。
ものを書くということも初めてなので、暖かい目で見てやってください。