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パラダイム・パラサイト   作者: kawa.kei
14章

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452/1442

451 「分離」

視点戻ります。

 「<拝火(はいか)>」


 赤熱した刃が俺の左胸を貫く。

 恐らく心臓を焼きたかったのだろうが俺にそんな物はない。

 そのタイミングで刺して来た奴の胸倉を掴んで思いっきり仰け反って頭を叩きつける。


 俺の頭突きを喰らって目の前の男の頭蓋骨が砕ける感触が伝わった。

 顔面から色々と汁を噴き出している男を投げ捨てて次の獲物を見定める。

 同時に傷を再生させて刺さりっぱなしの刀を排除。

 

 流石に本陣が近いだけあっていくらでも出て来るな。

 刀を構えている連中が十数。

 これで全員と言う訳ではないだろうが、時間をかけ過ぎるともっと集まってきそうだな。


 一対一ならどうにでもなる相手ではあるが、動きが早いし反応がいいので不意を突かないと中々攻撃が当たらん。

 当たれば楽に仕留められはするが、中々当たらんから無駄に時間がかかってしまう。


 正直、やり難いな。

 ついでにこの悪臭の所為で集中力が若干ではあるが乱されるのもこの状態に拍車をかける。

 俺を半包囲した連中が腰を落として居合の構え。


 また、飛ぶ斬撃か。 ラーヒズヤの言う通り、技のレパートリーが少ないな。 散々見たから何をしてくるかそろそろ分かるようになってきたぞ。

 予想は正しく、次の瞬間には一斉に刀を抜き放ち一閃。

 炎や水、氷や土を纏った様々な斬撃が俺に向かって飛んでくる。

 

 魔法で地面を隆起させて障壁を作り、地面に魔法を打ち込んで土埃を舞わせて視界を潰す。

 効果があるか怪しいが、やらんよりはましか。

 斬撃は俺の作った障壁を紙かなにかのように貫通。


 飛んでくるが身を低くしつつ走る。

 当たらない物は無視して直撃コースの斬撃は魔剣で切り払う。

 同時に魔剣の第三形態を起動。


 柄から闇色の靄が噴き出してザ・コアの姿に擬態。 同時に体内の魔力がごっそりと減る。

 発生した靄は魔剣から分離し、土煙を突っ切って敵に喰らいつかんと突撃。

 靄を囮にして注意が向いた所で手近な敵に狙いを定める。


 下手に欲張って纏めて始末を狙うよりは一人ずつ確実に仕留めた方が効率的だ。

 間合いに収めた所で左腕(ヒューマン・センチピード)を繰り出す。

 不可視の百足達は逃げ道を塞ぐように分散して襲いかかる。


 標的にした男は最初の二匹は切り落としたが三匹目で捕まり、四匹目以降の百足に全身を噛み砕かれて即死。 よし次だ。

 振り返ると靄が斬り刻まれて消滅していた。

 

 ……おいおい、もうやられたのか。

 

 いくらなんでも早すぎやしないだろうか。

 まぁいいか。 俺は次の獲物を決めた後<榴弾>を連射。

 水平に飛んだ複数の火球は空中で炸裂して小型の火球をばら撒きつつ爆発と衝撃をまき散らす。

 

 大抵の奴ならこれで片が付くんだが、そうもいかんからここは厄介だ。

 数人が多少焦げただけで一人も死んでない。

 流石に悟る。 正攻法は面倒――効率が悪いと。

 

 あまり好かんが手を変えるか。 魔力に物を言わせて周囲にドーム状の障壁を展開。

 自分を含めて全員を密閉した空間に取り込む。 同時に全力で体内で毒を合成。

 これは体内に肺に似た袋のような器官を一々作らないといけないから面倒なんだが、やらない方が面倒なので体内に生成。


 袋にため込んだ毒ガスを全力で吐き出し、風の魔法で一気に範囲内を満たす。

 毒々しい紫の煙が俺の口から大量に噴出。

 連中は咄嗟に口を袖口で覆って塞いだり、構わずに突っ込んで来る者の二種類だったが、この辺はチャクラの習熟度の差か。


 五番目のチャクラとやらを操れるのなら毒へは抵抗できるだろう。

 それ以外の奴はどうにもならんだろうが。

 俺が今まで手に入れた魔物の毒を混合した強力な奴だ。


 皮膚からも体内に入るので触れた時点で何らかの方法で解毒しないとどうにもならない。

 その証拠に防げていない奴は苦しんだ後、毒で変色した赤とは程遠い色をした血を派手に吐き出してそのまま倒れて動かなくなる。


 これをやると周囲への汚染で後始末が面倒なんだが、まぁ山奥だし些細な事だな。

 被害に関してはきっと誰かが何とかするだろう。

 さて、残ったのは四人。 他は即死したようだ。

 

 二人が前に出て残りの二人が散って離れた距離で俺を挟む位置に移動。

 

 『<叫者(きょうしゃ)>』

 

 離れた二人が同時に何かを放つ。 

 刀を僅かに抜いて納める。 鯉口を鳴らしただけのように見えるがそうではないのは身をもって理解した。

 左右の耳元で空気が破裂したような音が響く。 同時に側頭部を殴られるような感覚。


 次いで周囲から音が消失。 鼓膜が破れたか。

 即座に再生を開始。

 その間に残った二人が斬りかかって来る。


 「<雷雨(らいう)>」

 「<闇夜(やみよ)>」


 両方とも刀身が変化する。 始めて見る技だが恐らくエンチャント系か。

 片方は刃が水を纏いその中を電気のような物が走り、バチバチと爆ぜる音が聞こえる。

 見た通り、電気を通した水の刃と言った所だろう。


 もう片方は薄く光っているだけで良く分からん。 

 両者は即座に距離を詰めて来る。 そして間合いに入――


 ――る瞬間。 片方の刀身が瞬時に発光し俺の目を焼く。


 なるほど目眩ましか。

 しかも間合いに入る一歩手前で使うのもタイミング的に上手い。

 

 ――が。


 俺は即座に焼けた目を再生。 視界が回復。

 両者の斬撃の軌道を見極める。 水雷のエンチャント持ちは胴体。

 目眩ましを使って来た奴は首狙いか。


 こいつ等は想像の範疇の攻撃には凄まじく反応がいい。

 だが、想定外の攻撃に対しての反応は酷く遅い。 個人差こそあるが一秒近く完全に止まる者も居る。

 この連中はどの程度のメンタルの強さを持っているかは――いや、そもそも魂抜かれている生ける屍にメンタルもクソもないか。


 接触の直前に頭と胴体を自切。

 両者の斬撃が空を切る。 振り切ったタイミングで仕掛ける。

 下半身が目眩ましして来た奴の腹に蹴りを叩き込んでザ・ケイヴを起動。


 踵に仕込んだギミックが起動して杭が腹をぶち抜いて背骨まで粉砕する。

 同時に頭と胴体も攻撃行動を取る。

 頭で魔法を起動。 <風刃Ⅱ>で、もう一人を頭頂部から縦に両断。


 胴体は魔剣の第二形態と左腕(ヒューマン・センチピード)を同時に使用。

 俺の鼓膜を破ってくれた二人に仕掛ける。

 不可視の百足は咄嗟に躱そうとした男の頭部を粉砕。


 魔剣から一瞬だけ放たれた闇色の光条が最後の一人を完全に消し去って地面に穴を穿つ。

 そしてばらけて地面に落ちる前にパーツ毎に<飛行>を使用して合体。

 元の姿を取り戻す。


 よし、ここらに居た連中は片付いたな。

 それにしても躱すのが上手い奴が多いので一々意表をつかないといけないのは面倒極まりない。

 ある意味、聖堂騎士連中と戦うよりやり難いな。

 

 さて、先へ進むと――

 耳が足音を拾う。 どうやら新手のようだ。

 次から次へと鬱陶し……おや?


 戦闘態勢に入ろうとしたが違和感に気付く。

 足音が後ろから――つまりは俺が来た道から聞こえてくるからだ。

 はて? 討ち漏らしでも居たかと内心で首を傾げていると足音が近づいてきて、その主の姿が露わになった。

誤字報告いつもありがとうございます。

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