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パラダイム・パラサイト   作者: kawa.kei
ΑνοτηερⅠ-Ⅱ Στοριες τηατ μακε Ηαρδ ςορκινγ περσον α λιττλε λεσς ηαρδ ςορκⅡ
1434/1442

1433 「青槍」

 地下の施設はグノーシスを強請るネタには使えるが、今の所は用事がない。

 構造が分かれば移動が楽にはなるが、管理はグノーシスではなくテュケの可能性が高い。

 あの連中は情報の扱いに関してはダーザイン以上だ。 つまり構成員から情報が抜ける可能性が低い。


 行けるかもしれないがここで派手にやらかしてしまったのであまり時間をかけるのは不味い。

 このまま地上から王城へ向かうべきだ。 今の所、全員戦闘は可能。

 戦力的に欠けがない以上、このまま王城へ攻め込む。 


 ……正確には忍び込む、だが。


 ただ、足の遅いイシキリはここまでだな。

 隠密行動がとれるならこのまま連れて行くのだが、急ぐ必要がある以上は足の遅い奴は邪魔になる。


 「イシキリさん。 悪いんだけど……」

 「おう、俺はここまでだな。 何かあったら連絡してくれ、直ぐに行くからよ!」


 アスピザルが声をかけるとイシキリ即座に頷く。 事前に説明はしてあるので話は早い。 

 一応、こうなる事は想定してあったので、イシキリは特に何も言う事なく離脱に同意。

 念の為、後から王城の近くへ向かい、有事の際に助けに入れるように近くで待機となる。


 

 城塞聖堂から外に出ると思った以上に大事になっていた。

 ザ・コアの砲を使用したので貫通した破壊の跡がグノーシス自治区にまで及んでいる。

 それにより火災も発生しているので街中が大騒ぎだ。 明日の降臨際の為に訪れている者も多かった事も騒ぎを拡大させる一助となった。 こうなってしまえば騒ぎを煽って混乱を誘い、こちらの動きを悟らせないようにする事が重要だ。 ここからだと王城まで少し距離があるが、この面子ならそうかからずに辿り着く事ができる。 


 俺は急ぐぞと全員に声をかけて駆け出した。



 城塞聖堂からは元来た道を戻って出た後、建物の上を移動。

 王城からは少し離れているので、少し急ぐ必要があった。 今日の為に王城の連中もそれなりの人数、洗脳済みなので、そいつらが手引きをしてくれる。 


 そんな理由で入るだけなら楽ではあるのだが、問題はその後だ。

 空を見上げると月が大きく傾いている。 朝まではまだ遠いが、やや予定に遅れが生じていた。

 

 ……まぁ、破綻はしていないので続行だが、少し急いだ方がいい。


 ジネヴラを手に入れた事でグノーシスに関しては残りの司祭枢機卿を始末しても問題ない。

 後は王国側だ。 一番早いのは国王をどうにかする事で、そうすれば一番の懸念材料であった手配に関してはどうにかなる。 後は鬱陶しいテュケ――要はアメリアをどうにかするだけだ。


 中にいる連中から内部の状況は分かる範囲では常に情報が入っている状態なので、動きに関しては全てではないが把握はしている。 

 今回の作戦に臨むに当たって、サリサと二人で王城、城塞聖堂に出入りしている人間を徹底的に調べ時間をかけて捕らえた上でロートフェルト様に洗脳を施して頂き、徐々に内部を侵食していたのだ。


 お陰で内部への手引きと情報収集はかなり捗ったが、中枢には至れない。

 奥に行く人間であればある程、近づける人間が限られるからだ。 

 街に買い物に出てくれれば最高だったのだが、時期的にも忙しいという事もあって結局、一人も触れなかった。  


 現状、城塞聖堂で何かがあった事は伝っているが詳細は不明といった状況だ。

 ただ、あの被害規模だと察しの良い奴は襲撃と気が付いているだろう。

 つまり本命が王城と言う事には気づかれていない。 だからと言って守りが手薄である事はあり得ない。 実際、王城の警戒はかなり強まっており、仮眠中の衛兵も全員叩き起こされて総動員で王城の守りに入っているからだ。


 「これだけ派手に騒ぎを起こしたし、中にはどうやって入るの?」

 「中の人間に手引きさせる。 それにこっちにはザカリーがいるからな。 上手くすればかなり奥まで楽に入れるはずだ」


 アスピザルの質問に俺は即答する。 予定こそ狂ったが破綻はしていないので、何の問題もない。

 俺がザカリーへ振り返ると奴は大きく頷く。 こいつは元々、枢機卿の護衛といった名目で明日一日王城に張り付く予定だったのだ。 その為、緊急事態に駆け付けたとでも言っておけばそう不自然な話ではない。 ザカリーを手に入れた最も大きな理由が城塞聖堂と王城のどちらにも自由に出入りできるからだ。


 役職は聖堂騎士で降臨際当日は枢機卿の護衛。 俺にとっては最高の人材だった。

 戦力面でも有用なので無理をしてまで捕まえた甲斐があった男だ。

 そんな話をしている内に王城の近くまで来ていたので建物の上を移動するのを止めて道へ。


 「どこから入るの?」

 「正面から行く。 ヨノモリは目立つから魔法で姿を隠せ」

 「えぇ、分かったわ」


 ヨノモリは事前に持たせておいた魔法道具で姿を消し、ロートフェルト様とアスピザルは幻影系の魔法で聖騎士の装備を着ているように見せる。

 そのまま王城を守る巨大な門へと堂々と向かう。 門番の一部はこちら側なので適当に二言、三言話して開門させる。 巨大な門がゆっくりと音を立てて開き、そのまま中へ。


 城内は結構な騒ぎになっていた。 グノーシスの拠点が景気よく燃えているのだ。

 慌てるなという方が無理な話か。 騒ぎに構わずザカリーの先導で上へ。


 「何処へ向かってるの?」

 「上だ。 王は最上階、アメリア、司祭枢機卿も近くにいる」

 

 アスピザルの質問に答えたのはザカリーだ。 標的が固まっている以上、守りも固い。

 戦闘は避けられないが、可能であるなら戦闘に入る前にアメリアだけでも処理しておきたいというのが俺の本音だった。 ただ、随分と保身に長けた女という事でいざという時の場合の退路をいくつも持っている可能性が高い。 それをどうにか使う前に仕留めたいが――


 長い階段を中ほどまで登るとザカリーが不意に足を止めた。

 理由は階段を封鎖するように騎士が陣取っていたからだ。 聖騎士ではなく、王国の近衛騎士で国王や場合によっては公官の裁量で自由に動かせる連中だな。


 先頭にいた目立つ青い鎧を身に着けた男が前に出る。 その男には見覚えがあった。

 ウルスラグナ王国近衛騎士団「青槍騎士団」団長、リロイ・レストル・ライオネル。

 ザカリーと同様、洗脳したい人物リストの上位に名を連ねていたが隙が無かったので断念した男だ。


 王国の騎士という括りで言うなら最強格の男で、総合力で言うのなら聖堂騎士でも充分に通用する技量の持ち主らしい。

誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] >「戦闘」にいた目立つ青い鎧を身に着けた男が前に出る。  「先頭」かなと。 城塞聖堂の次は王城と連戦か。本編と違って厳重警戒モードですが、アスピザルに夜ノ森、エルマンとザカリーが同行してて…
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