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罪
鯖缶好きですか?僕は好きです。
視界が霞み、聴覚が遮断されていく中でも意識だけはハッキリしていた。
命が失われることに恐怖は無い。縄を首にかけるのにもなに感じない。
そこにあるのは、
「やっと終われる」
と言う安心感だけだ。
乗っていた椅子を両足で掴むようにして蹴り飛ばし、身を投げ出す。足場が無くなったことで、首の縄に全体重がかかる。
鼓動が速くなっていくにつれて頭はどんどん冷たく冷静になり、意識もハッキリしてくる。
視界が赤黒く染まり、狭まる。
最後に見ることができたのは、父の包丁と赤い血だった。
「あなたは運がいい!とっても!」
そう、赤い血だったはずなのだ。




