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籠の中の鳥は

 次の日、カオルは小さな白くて丸い籠に入れた文鳥を持ってきた。

 全く、意味が解らない。

 大体、そんなもの学校に持ってきたらだめだろ。


「この子、可愛いでしょう。名前は天ちゃんっていうのよ。チチチチ」


 カオルの指を文鳥の桜色のくちばしがつつく。

 天ちゃんもカオルに慣れてるようで、いつまでもじゃれている。


「どれ、僕も……」


 文鳥に触ろうとしたが、指がすり抜けた。

 どういうことだ?


「あ、夜見君、この文鳥は霊鳥なのよ。式神の一種で。私は触ることができるけど、普通の人はダメなのよ」


 カオルは僕の心を読んだような言葉を吐く。


「そうなのか。確か、カオルちゃんの実家は陰陽師の家系だったかな?」


「正確にはもっと古い道教の<道術士>なんだけど、まあ、似たようなものよ」


 風守カオル、彼女の実家は古い神社に関係していて、おじいさんがどこかの神社の宮司さんだったと思う。

 陰陽師、いや、<道術士>というやつで、幼い頃から不思議なエピソードをもつ。 

 確か、小学生の修学旅行の時にバスが大事故を起こして何人か亡くなって、その霊魂の供養を彼女がしてるらしいという話を聞いたことがある。


「で、その霊鳥をなんで学校に持ってきたの?」


 僕は興味本位で尋ねてみた。


「それはね、鳥は古来から神の使いだったり、亡くなった人の魂が鳥に宿るという鳥霊信仰があったりするの。鳥居とかも、神の使いの鳥が止まりやすいようにした止まり木なのよ」


「カオルちゃん、話をすり替えてない?」


 ぽかんとした表情で僕の方を見返してきた。


「ああ、理由ね。それはこの学校に何かいるか調べているのよ。天ちゃんは霊と反応して()いたりするので」 


「どこか、探すの?」


「今はいないみたい。また、真夜中というか、丑三つ時に来てみるわ」


「僕も一緒に行ってもいい?」


「え? 別にいいけど、こわいかもよ」


「大丈夫だよ。そんなに怖がりじゃないし」


「では、今晩、二時ごろに校舎に集合ね」


「楽しみにしてるよ」


 ということで、深夜の学校の探索が決まった。 

 僕の手の六芒星の秘密も分かるかもしれないし。 

 何だか、肝試しみたいでワクワクする。


 

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