バスタオル
どんなものかな、なんて、鏡の前で、広げてみる。
がっかりする、ことも、あるかもしれない。
喜ぶことも、あるかもしれない。
そんな秘密を覆い隠す、たった一枚の、バスタオル。
鏡に映ったバスタオル。
鏡に映った、タオルの中身。
中身を映した、鏡とタオル。
誰が一番、汗かきだろう。
窓を開けて、そよぐ風。
揺れる扇風機。
洗いたての髪。
部屋に充満した、石鹸の香り。
頑張って掻き出す換気扇の音。
耳元の風が、バスタオルの表面をなぞって、下へと。
足元は水たまり。
外は真っ暗闇。
鏡に映ったバスタオルは白い。
白いバスタオルを落とした肌は、やっぱり白い。
鏡の色は変わらない。
どちらも、血の気がなくて、無機質。
もう一度、温まろう。
見たまんま。
ただ、もう少し血の巡りが良くなった方がいい気がした、今日この頃。