1-(4)新たな進展
3人は色々な話をした。
家での出来事や噂などを話していた。
「そういえば最近、破壊神を見た人が何人か出てきているみたいよ?」
「破壊神?」
ナオレイアは首を傾げた。破壊神は知っている。だがそれは本の物語に出てきているぐらいで本物がいるとは聞いたことも無かった。
「見たっていうことはこの世界にいるってことでしょう?…怖いわね」
ミナリーゼは頷いた。
「ナオも気を付けてね?」
「そうね…ミナリーも気を付けて、ユーリも…ユーリ?」
ナオレイアはユーリスを見た。ユーリスは窓の外を睨んでいた。
「どうしたのユーリス?」
ミナリーゼも心配そうにユーリスを見た。
ユーリスはナオレイアとミナリーゼを見た。その顔にはいつもの表情になっていた。
「二人とも…今日は特に注意して。なるべく人気がある場所にいて」
ユーリスの顔は少し厳しかった。
「今日は…特に夜。『奴』が来る」
二人には『奴』が誰なのか聞こうとしたがユーリスが再び窓を見たので聞かなかった。
聞くな、とユーリスが言っているように思えた。
日が沈もうとしていた。ユーリスとミナリーゼも馬車に乗り、自分の屋敷へ帰った。
ナオレイアは考えていた。破壊神のこと、『奴』のこと…もしかしたらユーリスは何か知っているのかもしれない。破壊神は正直言うと怖い存在だと思う。
(あまり一人でいては駄目ね)
ナオレイアは大好きな親友の忠告をしっかり守ることにした。
* * *
少し賑やかな夜の城下町。ここにはたくさんの民人が暮らしている。
今日もここは賑やか。そんな所に一人の少年が歩いていた。歳は14歳だろうか、茶髪に金の瞳。
少年は賑やかな町を横目で見ながらある場所へと向かった。
そこは森だった。森のすぐ近くはミナユーイア王国の王城がある。
「いつ見てもデカイねぇ~」
少年は城を見上げた。
「んじゃ、侵入~♪」
少年は言いながら一瞬にして姿を消した。