表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時還りの姫と光の巡守士  作者: 本郷美弥
第1章 魔獣討伐編
7/8

06 星紋巡守団の仲間たち


レイル、ニナ、ルディ、カインでテーブルに座って各々に、フルーツがたっぷり乗ったケーキが並べられる。


「お、美味しそう…」

「ニナよだれ出てるって」


ニナの隣に座るレイルは、頬杖をついて呆れた表情だ。今のところ、レイルだけが彼女の胃袋の大きさを知っている。


リーヴェ村では、175cmあるレイルよりも頭1個分は背が小さく、華奢な身体なのにどこに入るのか不思議なくらい食べていた。


「いただきます」


手を合わせてから、フォークで一口分切り取って口に運んだ。


「美味しい…!すごく美味しい初めて食べた」

「それは良かった。いつ見てもニナは美味しそうに食べるな」

「美味しいもの食べるの好きだもん」


顔をうっとりさせ、幸せそうな表情で休むことなく口を動かすニナ。


(フルーツってこんな食べ方があるなんて、お兄ちゃんにも会ったら教えてあげなきゃ)


「いっぱい食べるニナ好きだよ」

「カインさ、ニナをお前がいつも口説いてる女と一緒にすんなって」

「これはマジだったんだけどな」

「それ、いつも言ってるぞお前」


ニナの正面でニナが食べてる姿を見て、満月の瞳は目を細めた。どうやら、カインは大の女の子好きらしく、レイルの様子から、誰にでもやっていると伺える。


「ルディ、お前ケーキ食べれんの?」

「食べれるんじゃが、食べなくても生きていける。そんな身体にされてしまった」

「ああ、それもリーダー帰ってきたら相談だな」


相談事項がたくさんあるレイルは、ため息をまたひとつ吐いた。

いつの間にかケーキを食べ終えていたニナは、満面な笑みを浮かべている。


「どうせまだ足りねえって言うんだろ?俺のも食え」

「さっすがレイル!ありがとう」


レイルからお皿を受け取って、パクパクまた食べるのだった。


「───レイル、珍しく客人を連れているな」

「きゃあ!?」


聞き覚えのない声がして、ニナはお皿をひっくり返しそうになる。

なぜなら、ニナの背後に立つ金色の髪の男は、気配を感じさせずいきなり現れたから。


東方の国では、気配を消して忍ぶ忍者というものがいる。まさに、金髪の男は忍者だ。


茶色い瞳は少々つり目で、両腰には剣が装備されていて、双剣だということがわかる。服装も和服に近く、剣と同じ位置に巾着もつけられていた。


「我はジェット・アルシェルト。驚かせてすまない」

「ううん!あたしニナ、あたしにも後で忍びスキル教えて」


自分が知らないものに興味を示す、好奇心旺盛な性格だ。ニナと双剣を扱うジェットは、非常に相性がいい。


「いいだろう、我の弟子になるか」

「うん!師匠よろしくお願いします」


ジェットは程よく筋肉がついた腕を組み、ニナは彼に向かって敬礼をする。


「ジェット、お前も今任務から帰ってきたのか?」

「レイルのほうが帰りが速いとは、明日は雪でも降るのか?」

「お前らいい加減方向音痴弄るのやめねえ!?」


みんながケラケラ笑っているから、レイルは顔を赤くして拗ねていた。そんなレイルの銀髪の頭を、よしよしとニナは撫でる。


「レイルが拗ねてるから、私がよしよしするね」

「俺はガキか」

「あれ〜?余計顔赤くなっちゃった」

「…~~~───!」


多分これから旅をしたら、今以上にこの世界に無知な少女に振り回されるのだろうと悟った。


こうして、リーダーを待っている間にレイルが普段旅をしている、仲間達と話をして待つのだ。


5人で話してる間にも、依頼を受け出かける人達、帰ってきた人たちが忙しく出入りする。


物珍しそうに仲間に話しかけられるニナは、明るく笑顔で挨拶をして囲まれていた時だった──


両開きの扉が開いて光が差す。1人の人物が立ち逆光になっているが、間違いなく女性のシルエット。


「リーダー、俺に時間くれ」

「レイルか。私もお前たちに至急で頼みたいことがある」


レイルは、すぐにリーダーに駆け寄った。


リーダーは、ニナよりも身長は高く栗色の髪に、鶯の切れ長の瞳。話し方は男前だが、見た目は女神のような美しさで、これを世ではギャップと言うのだろう。


「お前は…見ない顔だな」

「あたしニナ!」


リーダーの切れ長の瞳は、桃色の髪の少女を射抜く。ニナは元気いっぱいに手をあげた。


「リーダー、まずニナをうちの巡守団に登録して欲しいんだ」

「そうかわかった。なら、ニナの登録から行おう」


レイルはニナを受付のカウンターまで連れていき、リーダーはその対面で何やら機械の操作をし始める。


ポンっ───


機械から今ニナが腕につけている、星マークのバンドが出てきたのだ。


「登録が完了した。ニナ、今日から正式に星紋巡守団(スタークレクト)の一員だ」

「ありがとう!あたし、頑張る」

「お前はいい目をしているな。さあ、これがお前のバンドだ、つけてみろ」


リーダーから差し出されたバンドを、ニナはすぐに受け取らずに腕を組んで、何かを考える様子。


いつもなら『わーい!』とか『やったー!』と言う流れなのに。


「リーダー、そのバンドは絶対にあたしがつけてないとだめ?」

「……?」

「決まりがないなら、あたしは今つけているレイルのがいいな」

「え?」


呆けているレイルを見ながら、バンドにそっと触れた。

レイルのバンドは、汚れや傷があってとても綺麗なものだとは言い難い。


(これまでレイルが頑張ってきた証。それをつけていたら、どんな事でも頑張れそうな気がする)


「特に決まりはないが…新しいほうがいいんじゃないか?」

「ううん、レイルのがいい」

「わかった。なら、レイルがこれを」


リーダーからレイルへとバンドが渡る。受け取ったレイルはそれをニナに渡して言った。


「今度はニナが俺につけてよ」

「いいの?」

「ああ、俺は初心に帰ってニナを加えた新しいチームで任務をこなす」


白雪のように白い手が、ゆっくりとレイルの右腕にバンドを巻いた。

───直後、目の前にいたルディ、カイン、ジェット以外の仲間も2人を囲んで、拍手で歓迎される。


ニナはこれまでにない、幸福を噛み締めていたのだ。


「改めてあたしはニナ!みんな、よろしくね」


周りがつられて笑顔になるような、そんなにっこりとした表情で、星紋巡守団(スタークレクト)の一員となった少女は挨拶した。


これから共に旅をする少年は、その笑顔を隣で見守っている。ニナにつけてもらったバンドに触れながら…。


(…て、なにか忘れてるような)


「あ!!わりい、リーダー。こいつルディって言うんだけど、ルディも登録頼みたい」

「この犬を?」


(リーダーもそっち側かよ!?…この流れ予想できる)


嫌な流れを悟ったレイルは、片手で額を覆った。何故かって、この後にいつものツッコミが待っているからだ。


「ワシは犬ではない!狼じゃ!」

「お前喋るのか!?しかも犬じゃないだと?」

「もうその流れ勘弁してくれ〜〜!」


予想通りで、建物内にレイルの呆れの絶叫がエコーがかかったかのように響いたのだった。



***



無事にルディも星紋巡守団(スタークレクト)の登録をし終えて、新たにチームを組んだレイル達は、会議室にいる。


天井は見上げるほど高くて、窓もついているため、日中は日が差してとても明るい。

夜になれば、星が輝き綺麗なことが想像がつく。


会議室も全体的に白くて、部屋の中心には大きな丸い茶色の机が置かれていた。

余裕で10人以上いても問題ないだろう。


そして、入口の反対には金色の彫刻が施された、エレガントな暖炉が置かれている。


「早速話を進めたいところだが…レイルからなにかあるのだろう?」

「まず、俺が行ったリーヴェ村の魔獣は今まで見た事ない種類だった。そして、ルディは黒曜影団(オブシディアンコーズ)で実験体にされていたらしいんだ」

「お前が見たことない魔獣は、気になるな。それよりも黒曜影団(オブシディアンコーズ)?」


リーダーは、『黒曜影団(オブシディアンコーズ)』というワードに眉を顰めた。


黒曜影団(オブシディアンコーズ)は俺たちが把握できてないだけで、近々大きなものを仕掛けてくる可能性が高い。魔獣も、核以外を壊すと再生される人工的なもの。奴らが関わっていると俺は睨んでる」


あの時、ニナと会っていなければレイルは苦戦していただろう。腹や腕を切り裂いても、瞬時に再生されてしまうから。


「お前大変だったんだな」

「うむ…ニナに拾われてワシはほんとに良かった」


ルディの隣に座っていたカインは、わしゃわしゃと慰めるように頭を撫でた。

その向かい…レイルの隣に座るニナはえへへと笑っている。


「レイルの予想は恐らく的中しているだろう。私が王国に呼び出されたのは、黒曜影団(オブシディアンコーズ)でだからな」


リーダーは、険しい顔のまま話を続けた。


「最近奴らの動きが活発化してきているらしい。お前たちには、明日から南にあるノワール村に行ってくれ」

「我は問題ないが、いきなりだな」

「ノワール村には、黒曜影団(オブシディアンコーズ)の幹部が1人いるらしくてな」


ずっと気配を消しているジェットは、やる気満々で自身の双剣に手を添えている。

普段は無口で、気配を消しているせいか影は薄いが、戦いになると口数がいつより多くなるらしい。


「俺も明日から余裕で行ける。ニナもいるなら余計に」

「同じく俺もだ。ニナ達は大丈夫?」


カインとレイルに、ニナは力強く返事する。拳を握りしめて、今の自分の気持ちに正直に。


星紋巡守団(スタークレクト)になって初任務…頑張る。そして、ルディに乱暴したその組織、絶対許さない」

「ニナ、感謝する。ワシもお前を守る」

「決まりだな。ニナ、お前の部屋へ案内するからこの後ついてこい」


リーダーの後にニナとルディはついて行く。部屋は全員1人1部屋用意されていて、2階にあるらしい。


両方に手摺がついて折り返しの階段になっている。


「ここがお前の部屋だ」

「ありがとうリーダー、でも…こんな広い部屋にあたしとルディだけって寂しいね」

「ワシが暖めてやる」

「一緒に寝ようねルディ」


案内された部屋は、肌触りのいいグレーの絨毯に天蓋付きのふかふかなベッド、大きな窓の外はバルコニーがある。


さらには書斎までついていて、同じくらいの部屋に兄とふたりで過ごしてきたニナにとっては、あまりに広すぎる部屋なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ