14 王都復旧~拠点修復~
本日、2話同時公開しております。
こちらは1話目です。
黒曜影団による魔獣奇襲から翌日。
建てられていたはずの拠点の場所は、瓦礫の山となっていた。
そして今、星紋巡守団メンバーはリーダーの前へ集まっている。
「簡易的にはなるが、お前たちには拠点の修復をしてもらう。手が余っているものは、他の建物のサポートに回ってくれ」
凛とした声が響き渡って、それぞれが配置についた時───
幼い頃から問題児であった銀髪の少年は、その血が騒ぎ、目をぎらつかせた。
その視線の先には、木材を肩に担いでいるジェットと、設計図を持つカインがいる。
「2人とも腕上げたみてえじゃん?」
「はあ?いきなり何言ってんだよ」
「それを言うならレイルもだろう」
2人は怪訝そうに片眉をつり上げた。どうして、レイルが目をぎらつかせているのか…それは、昨日のニナの一言が原因だ。
星紋巡守団の拠点が破壊されたことによって、寝所を失ったメンバーはそれぞれの場所に散らばった。
レイルはニナとルディと共に、王都の外れにある森林に囲まれた湖へと連れていった時のこと。
「うわ〜すごく綺麗だね!」
「鏡のように湖に月が写っているのう」
「前の任務帰りに見つけたところだ」
空を見上げれば、明るい月が闇を照らして、下を見れば蛍が輝き、湖には月が映っている。
幻想的な異世界に迷い込んだみたいだ。
「ここで星を見ながら休もう」
「うん!ルディは真ん中おいで?」
レイル、ルディ、ニナで横になってしばらく空を見つめたあとに、銀髪の少年が呟いた。
「なんか、ニナ達と出会ってから数日しか経ってないのに、随分と前からこうして仕事してる気がする」
「その数日が色々あったもんね。あたしはみんなと出会えて本当に良かった」
「ワシもじゃ。汝らが助けてくれなかったら野垂れ死んでおった」
「そうだな、俺もニナたちに会えて良かった。ニナはいつの間にか魔力が増えてるし」
レイルの言う通り、魔力を短剣に流し込めた直後から、桁違いの魔力量が解放されたのだ。
魔力量を100として例えると、普通の人は20程度。リーダーは98でレイル、カイン、ジェットは80前後。
そして、ニナは10だったのが今では、普通の人を超えて40くらいまで増えている。
「レイルや師匠のおかげかな?そういえばね!聞いてよ!」
寝転がって星空を見上げていたのに、ぱっと起き上がって、エメラルドグリーンの瞳を輝かせた。
「師匠ね、すっごく速く敵を倒しちゃって、カインの氷の壁も全部の攻撃を防いでてかっこよかったの。あたしも強くなりたいって余計に思った!」
「ジェットとカインねえ…確かにあいつらは強い。けど―――」
「けど?」
レイルは不自然に言葉を途切れさせて、ニナと同じく起き上がる。
視線がぶつかり、エメラルドグリーンの瞳に映ったのは、真剣な表情をしたレイルだ。
レイルの片手は、ニナの頭に乗せながら言う。
「けどな。俺だってニナに教えられるし、あいつらより強い」
「うん!魔力の扱い方教えてくれたし、いつもあたしを守ってくれる。あたしも、レイルが危険な時に守れるように強くなるね」
「…~~!守る守られるじゃなくて、強くなりたいなら、俺に聞いてってこと」
その会話を見ていたルディは、ふと思うのだ。
(仲間として言っているだけだろうが、無自覚の独占欲が強いのう…それにニナは恐ろしいほど鈍感じゃ)
──────現在
負けず嫌いのレイルは、ニナが自分よりも2人を褒めたのが悔しいらしい。
サファイアの瞳は、メラメラと燃えている。
「カイン、ジェット!勝負だ!」
「お前な…今はいそがしーんだよ」
「なら、俺から仕掛けるからな。光剣爆発!」
「レイル、てめえほんとガキだな!?氷盾展開」
「それに乗るお前もガキだろ?」
「レイル、カイン!やめなよ、1回落ち着いて」
2人の技は、拠点の瓦礫に当たって大惨事だ。桃色の髪の少女が、駆けつけるも喧嘩は止まらずで、すかさず別の建物の屋根に登った金髪の青年は心の中で思う。
(我からしたらどっちも子供だ。さて、お決まりの流れが来る前に逃げるとしよう)
しばらく続いた喧嘩は、未だ決着はつかず。お互いが強さを認め合っていて、楽しそうだった。
「やるなカイン」
「お前こそどこでそんな強くなった?」
見入ってしまうような戦いで、誰もが拍手する状況だろう。
───今でなければ。
当事者でなくても背中がゾッとするような気配が、背後でゴォォォっと燃えている。
「レイル、カイン…それからニナ」
「は、はひ……っ」
レイルとカインはただ名前を呼ばれただけで、悪事を働いた子供のように顔色が真っ青になった。
そして、このお決まりの流れを知らないニナは、頭の上に疑問符を浮かべている。
「誰が“拠点を破壊”していいと言った?私は、“拠点の修復”と言ったんだ」
「これはレイルが仕掛けたんだよ」
「お前だって乗ったくせに俺に押し付けるな」
「あぁ!?そもそも何がきっかけでへそ曲げてたのか知らねえが、お前のせいだろ」
「別にへそなんて曲げてねえし?」
責任を押し付け合うなんとも醜い争いで、リーダーの額には青筋が立てられていた。それも、気づかず第2戦を始めるところでようやく2人は気づくのだ。
「こ、これは俺たちが悪いです…」
「すみません…」
レイルとカインはぺこぺこ頭を下げて、許しを乞うが時すでに遅し。
「星の守護に裁かれろ、星落とし!」
星の魔力を使った攻撃が空から、レイル、カイン、ニナを襲う。
先程まで、呑気に笑っていたニナも青ざめた。
「ちょ、リーダー!あたしは何もしてないよ〜!」
「連帯責任だ!!!!」
「えー!もう、レイルとカインのばか~」
ニナもレイル達と一緒に攻撃を避けながら、悲痛の叫びが王都に響き渡る。
その流れを見ていた、金髪の青年ジェットは腕組をして見ていたのだ。
(あやつらは学ばないな、次から弟子も連れて逃げるとしよう)
彼は、いつも連帯責任として巻き込まれていたから、学び逃げていた。
リーダーの星落としによって二次被害が起きて、アークレイン国王からお叱りを受けるのはまた別の話。




