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時還りの姫と光の巡守士  作者: 本郷美弥
第1章 魔獣討伐編
15/18

14 王都復旧~拠点修復~

本日、2話同時公開しております。

こちらは1話目です。

黒曜影団(オブシディアンコーズ)による魔獣奇襲から翌日。

建てられていたはずの拠点の場所は、瓦礫の山となっていた。


そして今、星紋巡守団(スタークレクト)メンバーはリーダーの前へ集まっている。


「簡易的にはなるが、お前たちには拠点の修復をしてもらう。手が余っているものは、他の建物のサポートに回ってくれ」


凛とした声が響き渡って、それぞれが配置についた時───

幼い頃から問題児であった銀髪の少年は、その血が騒ぎ、目をぎらつかせた。


その視線の先には、木材を肩に担いでいるジェットと、設計図を持つカインがいる。


「2人とも腕上げたみてえじゃん?」

「はあ?いきなり何言ってんだよ」

「それを言うならレイルもだろう」


2人は怪訝そうに片眉をつり上げた。どうして、レイルが目をぎらつかせているのか…それは、昨日のニナの一言が原因だ。


星紋巡守団(スタークレクト)拠点(ギルド)が破壊されたことによって、寝所を失ったメンバーはそれぞれの場所に散らばった。


レイルはニナとルディと共に、王都の外れにある森林に囲まれた湖へと連れていった時のこと。


「うわ〜すごく綺麗だね!」

「鏡のように湖に月が写っているのう」

「前の任務帰りに見つけたところだ」


空を見上げれば、明るい月が闇を照らして、下を見れば蛍が輝き、湖には月が映っている。

幻想的な異世界に迷い込んだみたいだ。


「ここで星を見ながら休もう」

「うん!ルディは真ん中おいで?」


レイル、ルディ、ニナで横になってしばらく空を見つめたあとに、銀髪の少年が呟いた。


「なんか、ニナ達と出会ってから数日しか経ってないのに、随分と前からこうして仕事してる気がする」

「その数日が色々あったもんね。あたしはみんなと出会えて本当に良かった」

「ワシもじゃ。汝らが助けてくれなかったら野垂れ死んでおった」

「そうだな、俺もニナたちに会えて良かった。ニナはいつの間にか魔力が増えてるし」


レイルの言う通り、魔力を短剣に流し込めた直後から、桁違いの魔力量が解放されたのだ。

魔力量を100として例えると、普通の人は20程度。リーダーは98でレイル、カイン、ジェットは80前後。


そして、ニナは10だったのが今では、普通の人を超えて40くらいまで増えている。


「レイルや師匠のおかげかな?そういえばね!聞いてよ!」


寝転がって星空を見上げていたのに、ぱっと起き上がって、エメラルドグリーンの瞳を輝かせた。


「師匠ね、すっごく速く敵を倒しちゃって、カインの氷の壁も全部の攻撃を防いでてかっこよかったの。あたしも強くなりたいって余計に思った!」

「ジェットとカインねえ…確かにあいつらは強い。けど―――」

「けど?」


レイルは不自然に言葉を途切れさせて、ニナと同じく起き上がる。

視線がぶつかり、エメラルドグリーンの瞳に映ったのは、真剣な表情をしたレイルだ。


レイルの片手は、ニナの頭に乗せながら言う。


「けどな。俺だってニナに教えられるし、あいつらより強い」

「うん!魔力の扱い方教えてくれたし、いつもあたしを守ってくれる。あたしも、レイルが危険な時に守れるように強くなるね」

「…~~!守る守られるじゃなくて、強くなりたいなら、俺に聞いてってこと」


その会話を見ていたルディは、ふと思うのだ。


(仲間として言っているだけだろうが、無自覚の独占欲が強いのう…それにニナは恐ろしいほど鈍感じゃ)




──────現在



負けず嫌いのレイルは、ニナが自分よりも2人を褒めたのが悔しいらしい。

サファイアの瞳は、メラメラと燃えている。


「カイン、ジェット!勝負だ!」

「お前な…今はいそがしーんだよ」

「なら、俺から仕掛けるからな。光剣爆発(ラスターエクリクシス)!」

「レイル、てめえほんとガキだな!?氷盾展開(アイスシールド)

「それに乗るお前もガキだろ?」

「レイル、カイン!やめなよ、1回落ち着いて」


2人の技は、拠点(ギルド)の瓦礫に当たって大惨事だ。桃色の髪の少女が、駆けつけるも喧嘩は止まらずで、すかさず別の建物の屋根に登った金髪の青年は心の中で思う。


(我からしたらどっちも子供だ。さて、お決まりの流れが来る前に逃げるとしよう)


しばらく続いた喧嘩は、未だ決着はつかず。お互いが強さを認め合っていて、楽しそうだった。


「やるなカイン」

「お前こそどこでそんな強くなった?」


見入ってしまうような戦いで、誰もが拍手する状況だろう。

───今でなければ。


当事者でなくても背中がゾッとするような気配が、背後でゴォォォっと燃えている。


「レイル、カイン…それからニナ」

「は、はひ……っ」


レイルとカインはただ名前を呼ばれただけで、悪事を働いた子供のように顔色が真っ青になった。

そして、このお決まりの流れを知らないニナは、頭の上に疑問符を浮かべている。


「誰が“拠点(ギルド)を破壊”していいと言った?私は、“拠点(ギルド)の修復”と言ったんだ」

「これはレイルが仕掛けたんだよ」

「お前だって乗ったくせに俺に押し付けるな」

「あぁ!?そもそも何がきっかけでへそ曲げてたのか知らねえが、お前のせいだろ」

「別にへそなんて曲げてねえし?」


責任を押し付け合うなんとも醜い争いで、リーダーの額には青筋が立てられていた。それも、気づかず第2戦を始めるところでようやく2人は気づくのだ。


「こ、これは俺たちが悪いです…」

「すみません…」


レイルとカインはぺこぺこ頭を下げて、許しを乞うが時すでに遅し。


「星の守護に裁かれろ、星落とし(ステラフォール)!」


星の魔力を使った攻撃が空から、レイル、カイン、ニナを襲う。

先程まで、呑気に笑っていたニナも青ざめた。


「ちょ、リーダー!あたしは何もしてないよ〜!」

「連帯責任だ!!!!」

「えー!もう、レイルとカインのばか~」


ニナもレイル達と一緒に攻撃を避けながら、悲痛の叫びが王都に響き渡る。

その流れを見ていた、金髪の青年ジェットは腕組をして見ていたのだ。


(あやつらは学ばないな、次から弟子も連れて逃げるとしよう)


彼は、いつも連帯責任として巻き込まれていたから、学び逃げていた。

リーダーの星落とし(ステラフォール)によって二次被害が起きて、アークレイン国王からお叱りを受けるのはまた別の話。


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