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第87話 少女の頑張りは報われない

 とある日の午後。

 高級そうな家具や装飾品がずらりと並ぶ部屋…… 床にふかふかの絨毯が引かれその上に豪華なベッドが置かれていた。絨毯の上には白黒のシスター服と神官用のローブが脱ぎ散らかされていた。

 ベッドの前に下着だけを履いたゴールド司教がしゃがんで何かを撫でている。ここはロボイセの教会内にあるゴールド司教の寝室だ。彼の背後には執務室へ続く扉が見える。

 扉の向こうは窓と本棚に小さな木の机だけが置かれた狭く質素な執務室となっている…… 執務室には客人がたまに来ることがあるが寝室に入るものは居ない。

 ゴールド司教とベッドの間に真っ白な下着をつけた少女がうつむいて立っている。

 目がぱっちり丸くかわいらしく顔つきの、幼い少女は怯え体を震わせている。彼女はトンネルでグレンを誘った幼いシスター見習いだった。

 ゴールド司教は彼女の体をつま先から徐々に上へと触っていたのだ。最後にゴールド司教は念入りに少女の太ももをまさぐりながら、太ももの付け根まで行くと手を離して小さくうなずく。


「ふむふむ…… だいぶ綺麗になったな。これならいいだろう」

「キャッ!」

 

 立ち上がったゴールド司教は少女をベッドに押し倒した。腕を立てた姿勢でゴールド司教は、怯えた顔の少女を上から見ながら舌なめずりをする。

 赤紫色の気色悪い舌が動く様子に少女の顔はこわばっていく。ニヤリと笑ったゴールド司教が顔を徐々に少女に近づけた。

 迫る脂ぎった皮膚の笑う初老の男性。静かに少女は目をつむる…… 彼女の全身をねっとりとした生暖かい感触が張っていく。少女は目をつむったまま、嫌悪感で顔を歪ませ震えている。

 しばらくして少女の体から生暖かい感触が消える。次に胸を上に引っ張られた感触が襲う。少女は静かに目を開けた。


「いっいや……」

「うん!? なんだ?」

「……」


 顔を上げたゴールド司教が、手を伸ばして下着を強引に外そうとしていた。少女は思わず心の声を出し下着を押さえた。

 しかし、ゴールド司教が目を向けると少女は黙って動かなくなる。ゴールド司教は満足そうに笑って上下の下着を剥ぎ取った。

 全裸にされた少女、ゴールド司教も下着を脱いで全裸になりベッドの上に膝をついて立つ。両手で少女の足首を持った彼は強引に足を開かせる。


「クッ」


 怯えた様子で目を背ける少女、その反応がゴールド司教の本能を刺激していく。ゴールド司教はにやけて笑う。

 最後の抵抗か、少女の足は開かれないように力が入りなかなか開かない。


「こっこの!」


 強引に足を開かせたゴールド司教、諦めたのか抵抗をやめた少女だった。彼女は自分を見下ろすおぞましい野獣から顔を背ける。


「ぐへへ。まだお主は誰にも捧げられてないのだろ? 喜べ初めてがわし…… じゃ!!!」

「ひっ!? ぎゃあああああああああああああああああああ…… あっ! ああああああぁぁぁぁ……」


 笑ってゴールド司教は肥大化した自分の化身を少女の中に強引にねじ込んだ。激痛に顔を歪める少女を見下ろしゴールド司教は満足そうに笑うのだった。

 この後、獣と化したゴールド司教は己の欲望を少女の体に吐き出し続けた。欲望にまみれたベッドの上で、少女は目に涙をためた無表情で高い天井を見つめていた。目の前にいる獣を一刻も早く忘れるため、意識を別にやってこの時を流そう…… 彼女の心の中はそのことでいっぱいだった。

 数時間後、少女を存分に堪能したゴールド司教はベッドから下りた。床に散らばっていた神官服と下着を拾い上げて身につけていく。

 着替え終わったゴールド司教は横を向き、視線だけをベッドの上に仰向けに横たわる少女に向け声をかけた。


「さぁ。お前はもうシスター見習いに復帰じゃ。後でシスタージェーンのところへ行け」

「他のみんなは? みんなも戻っていいんですか?」


 体を起こしてシーツで体を隠した少女は訴えかける。ゴールド司教は前を向き、壁にある窓から外を見ながら笑う。


「それは今後のお前の奉仕次第じゃな」

「えっ!? シスタースイレンを…… みんなを許してくれるって…… だから私は……」


 驚く少女に向かってゴールド司教は首を横に振ってため息をつく。


「はぁぁ…… わからんのかね。シスター達は汚れてしまったからな。まだまだ主はお許しにならんよ」

「うぅ…… そんな! ひどい! 私は…… ヒック……」


 少女は体を震わせて泣き始めた。少女が泣き出すとゴールド司教はめんどくさそうなに眉間にシワを寄せた。


「うるさい! あそこに戻りたいのか!?」


 振り向いて少女を怒鳴りつけるゴールド司教。ビクッと少女は体を震わせて一瞬だけ泣き止んだ。だが、すぐに自然と彼女の目から涙がこぼれていく。


「でも…… だって…… ヒック…… 私は…… エッグ……」


 泣き続ける少女にゴールド司教はうんざりと言った顔をした。


「もうわかった。お主がわしに奉仕する気がないなら…… シスター達には町を出ていってもらおうか」

「えっ!?」

「わしはお主の頑張り次第では彼女たちを救おうと言ってるのだよ。わかるね?」


 ゴールド司教はいやらしく笑う。もし町からシスター達が追い出された行く宛もない彼女たちは野垂れ死ぬしかない。彼女は必死にうつむいて膝の上に手を握って声を殺して泣くのだった


「フン!」


 不機嫌そうに舌打ちをしたゴールド司教は、サイドテーブルの上に置いてあった鈴を鳴らす。

 寝室の扉が開きジェーンと二人のシスターが部屋に入ってきた。シスター達は入り口で止まり、ジェーンがゴールド司教の前へとやってきた。


「なにか?」


 体の前で手を組んで頭をさげたジェーンがゴールド司教に声をかけた。


「うむ。彼女の穢れは浄化され主が許しを与えました。また妹として頼みます。ただし…… 裏修道院へお願いしますね」


 ゴールド司教に言われたジェーンは、ベッドの上で泣く少女に目を向けたまたすぐ彼の方を向く。


「かしこまりました。彼女を連れて行って事後の処理をしなさい。あとここの汚れたシーツの交換もお願いします」

「「はい」」


 返事をしたシスター二人が少女を連れて出ていく。ジェーンは連れ出される少女を見送った。

 しかし、少女が部屋を出ていっても、ジェーンは両手をへその下辺りで組んだまま立っている。


「なんじゃ? おぬしも下がってよいぞ」

「いいえ。一つ報告が……」


 ゴールド司教が彼女の言葉に小さくうなずく。真剣な表情のジェーンが口を開く。


「オリビア、クロースの二人が地底湖の水抜きに向かうそうです。グレンとクレアが手配したようですわ」


 話しを聞いてたゴールド司教は、目を大きく開き驚いた顔をする。


「なんだと…… やはりイアンはやつらに…… クソ!」

「どうしますか? 上級聖騎士達を向かわせませしょうか?」

「いや…… 相手は勇者オリビアだそうじゃないか。上級聖騎士など役に立つものか…… どうすれば…… まだ…… わしは……」


 ゴールド司教はゆっくりと振り向いて首を大きく横に振った。少し苛ついた顔で爪をかみながらなら、ゴールド司教はブツブツとつぶやく。ジェーンは表情を変えずにメガネのつるを右手で押さえる仕草をしニッコリと微笑む。


「我が弟に頼みましょう。ゴールド司教様の期待に応えて見せますよ」


 ジェーンの提案を聞きハッと目を大きく開き、ゴールド司教は彼女の方を向いて小さくゆっくりとうなずく。


「あぁ。そうじゃな…… こっちも切り札を使うしかないようじゃ」

「では、すぐに第五十三坑道へ向かわせます。ただ…… 弟にもそれなりの報酬がありませんと…… 長い禁欲生活が続いてましてね」


 笑みを浮かべ眼鏡を直す仕草をするジェーン、彼女をゴールド司教は苦々しく見つめる。


「ふん。図々しい姉弟じゃな。わかった。汚れた元妹達を裏修道院へ連れて行きなさい。どうせ監査が来る前に消すべき存在じゃしな」

「はい…… かしこまりました。司教様も安全のために避難をしてください。おそらく奴らが……」


 心配そうにジェーンはゴールド司教を見た。ゴールド司教は小さくうなずいた。


「そうじゃな。まず聖都へ弁明をして…… ”天使の涙”を迎えよう…… お主も一緒に来い。わしの身の回りの世話を頼む」

「はい。では準備をしてから参ります」


 振り向いてゴールド司教に背中を向けて部屋を出るジェーン、彼女は部屋を出た直後にニヤリと笑うのだった。


「あの切り札を使うことになるとはな…… クソ!」


 ジェーンが出ていき自分の他に誰も居なくなった部屋で、悔しそうにゴールド司教は右拳で壁を叩くのであった。

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