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新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第5章 メスガキヴァンパイアハンターは蝕まれる聖都を目指す!

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第368話 偶然の再会

 グダール塩湖の上をグランドアから、サンドロック方面へと汽車が進んでいる。

 汽車内ではグレンとクレアが並んで席に座っている。身をかがめて前に体を傾けながらグレンは窓の外を見た。彼の視線にクレア越しに見えるグタール塩湖が映る。グレンは小さくため息をつく。


「ふぅ。今日もダメか…… なかなか…… 前みたいに綺麗に湖に汽車が映らないんだな」

「晴れとか風がないとか時間もあるそうですよ。最初でいきなり見えたのは運が良かったんですよ」

「ふーん……」


 最初にグダール塩湖を訪れた時に湖面に列車が綺麗に反射して映っていた。グレンはその時の光景が忘れらずにグダール塩湖を訪れる度に汽車の窓を眺めていたのだ。

 残念に頭の後ろに手を回し背もたれよりかかる義弟にクレアは優しくほほ笑むのだった。少しして汽車の速度が落ちて停車する。荷物を持った商人や観光客が席を立つグダール塩湖の駅に汽車が到着したようだ。

 二人は他の乗客と同じように席を立って電車を降りた。グダール塩湖の駅は駅舎とホームだけの小さな駅だ。グレン達が降りたホームは手すりの向こうには果てない塩湖が広がっている。グダール塩湖の駅は湖の島を利用し作られ、周辺に宿屋や商店が並ぶ小さな村となっている。

 ホームに立ったクレアは大きく背伸びをする。


「着きましたね」

「さて…… 今日の奴らはできるやつらかな?」


 腕を組んで塩湖を見つめるグレンに首をかしげてクレアが答える。


「どうでしょうかね? 最近はいつも不安要素が混じってますからね」

「そうだな…… 面倒くせえ」


 鞄からクレアが赤い縁がついた眼鏡を出してかけた。二人はホームの端からから線路を渡り駅舎から出て行くのだった。

 グレンとクレアが汽車を降りてから少しして…… 向かいのホームに汽車が入って来る。


「やっと着いたわ…… 間に合いそうね。よかった」


 汽車からララが意気揚々と降りて来た。駅の時計は十一時の鐘を鳴らす。彼女は木で出来た白いブロックで出来た小さな駅舎から外へと出た。


「すごーい。家が全部真っ白なのね……」


 グダール塩湖の外には円形でドーム状の屋根を持つ、遊牧民が使うゲルのような小さな家が並んでいる。

 真っ白な家はグダール塩湖でとれる塩を魔法で固めたブロックで作られている。ちなみに塩で出来た家は観光客用に駅前のみであり他は通常に石やブロックや木材で作られている。以前は塩の影響によりグダール塩湖ではすぐに木材などはダメになっていたが、魔法軍との戦いで編み出された処理により通常建材でも家は建てられる。


「あら!? ララじゃない!」


 ララが駅から出ると一人の女性が声をかけて来た。女性は褐色肌に青みがかった長い髪に切れ長の緑色の瞳を持ちやや低い鼻に小さな口にピンクの口紅をつけている。長い髪をまとめ幅広のつばついた帽子をかぶり、クロノスリットの入った黒のマーメイドスカートに白く袖が広がった上着を羽織り胸当てをつけ腰に十字架のような鍔をした細長い剣をさし背中にクロスボウを背負っている。


「えっ!? パッパメラ!? すごーい。懐かしい! 魔法学校卒業以来だよね?」


 女性を見たララは彼女の名前を呼んで手を振る。女性の名前はパメラというララの魔法学校時代の同期である。パメラはララを見てつま先から頭までをじっくりと見た。


「あなたもここにってことは…… もしかしてヴァンパイアハンターになるの?」

「えっ!? うん。パメラもなの?」


 大きくうなずきパメラはララにほほ笑んだ。


「そっか! 一緒だね! あなたも試験は大変だったでしょ? 私なんかギリギリで今日到着したんだよ」

「そっそう? 私は別に…… 昨日到着してここの宿に」

「えぇ!? なんで!? くうううう! 私の方が学校の成績良かったのに!!」


 先を越されて悔しがるララだった。ララの顔を見てパメラはにんまりと微笑んだ。


「それは残念ね。まぁ同期とはいえあなたは飛び級だったでしょ。私の方が年上で経験が上なのよ」

「むうう……」


 不満げに口を尖らせるララにパメラは嬉しそうに無邪気に笑って彼女の頭に手を伸ばす。


「あはは! 懐かしい! チビララの頭を久々に撫でられるわ」

「やめて! もうそのあだ名も早く忘れなさいよ!」

「ふふふ」


 両手をあげてパメラに抗議をしていた。二人は学生時代に親し間柄だったようだ。


「でも首席卒業のララがヴァンパイアハンターなんて意外ね…… あなただったら四大強国の魔導研究機関が放っておかないでしょ?」

「えっ!? わっ私は…… ちょっとね…… 良いお金稼ぎになるのよ。あなただってウィンターツリーの騎士団に入ったんでしょ?」

「私も良いお金稼ぎになると思ってね。騎士って意外と薄給なのよ」


 ごまかすように笑うパメラだった。二人はヴァンパイアハンターを目指す理由が互いに詳しくは話さなかった。級友として過ごしていた頃とは違う少しに開いた距離がそこにはあった。

 ララはパメラの顔を寂しそうに見た。パメラは彼女の視線に気づきすぐに笑顔で口を開く。


「ねぇ。試験会場まで一緒に行きましょう」

「うん!」


 笑顔でうなずいたララだった。二人は並んでヴァンパイアハンターの試験会場へ行くことになった。


「懐かしいね…… 魔法学校の頃はよく一緒に登校したもんね」

「そうだったかしら? ララがよく寝坊したから同室の私が連れて行ってたんでしょ」

「ぶう……」


 口を尖らせ不満げにそっぽを向くララにパメラは懐かしそうに笑う。二人は並んでしゃべりながら、グダール塩湖の道を歩く。

 駅から通りを進むと道はグダール塩湖へ入る。水が薄く張った透明な真っ白な床が広がっている。白い床のようなものは全て塩であり、乾季に入ると水が干上がり雪原のような景色になる。道は塩を削って整地してあり透明度が高く水が張ってあっても目視できる。万が一道を見失っても百メートルおきに目印の旗が立てられ迷わないようなっている。また定期的に道しるべの小さな看板も建てられている。


「えっと…… 第三採掘場って……」

「あっちよ」

「ありがとう!」


 分かれ道で看板を見上げるララにパメラが左を指して答える。しばらく行くと水を遮り区画に分けられた塩田が二人の前に現れた。塩田には水が足首を覆うほどに水が張られ、塩の塊が小さな山となって置かれていた。


「あれは…… 急ぎましょう!」

「うん」


 塩田の一画で八人の男女が一列に並んでいた。パメラはそれを見て慌ててララに急ぐように促し二人は走るのだった。


「はあはあ……」

「まっ間に合った…… よね?」


 二人は並んでいた十人の横まで走って来た。肩で息をした二人は顔をあげるとそこには腕を組んだ男と横に女性が立っている。腕を組んだ男の右手の指の間には二本の羽が挟まっている。


「ララと…… パメラか?」

「えっ!? そうよ! 私はララ! ヴァンパイアハンターよ!」

「パメラです!」


 腕を組んでいた男はグレンで二人の名前を確認した。返事を聞いてうなずいたグレンは二人の前へとやってきた。


「これを体のどこかにさしてくれ」

「「えっ!?」」


 グレンは右手に持っていた羽を二人に渡し身に着けるように指示をした。二人は羽を身に着けララは胸にパメラは帽子にさしたのだった。

 彼はうなずき顔を背けて横に立つ赤い縁の眼鏡をかけたクレアに口を開く。


「クレア義姉ちゃん。そろった! 始めよう」


 ララがグレンに文句を言おうとするとクレアが彼女を見てにっこりと微笑むのだった。

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