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新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第5章 メスガキヴァンパイアハンターは蝕まれる聖都を目指す!

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第364話 坑道で待つ者

 第五十三坑道へと続く魔導エレベーターがゆっくりと下りて行く。魔導エレベーターにはララが一人で乗っている。


「作業員でも冒険者でもなきゃエレベーターを使えですって…… まったくノウレッジにはヴァンパイアハンター差別が根付いてるわね……」


 首筋を押さえ文句を言いながら魔導エレベーターに乗るララだった。彼女は歩いて第五十三坑道へ入ろうしたが作業員に首根っこを掴まれて追い出された。第五十三坑道へ続く道は作業員と護衛する冒険者が出入りするために整備されたものであり、ララのようなどちらでもない者が使うには管理するフラック商会に許可を取る必要がある。もちろんララは許可を取らずに入ろうとしたために追い出された。


「えっ…… あっ!!!!」


 一人でララは視線を外に向け顔を青くする。地底湖があった水は抜け、魔導石発掘のための穴が幾つも開いている。ツルハシやシャベルを持ったたくさんの作業員が動きまわっている。地底湖があった場所に魔導ドリルが二機おいてあった。

 魔導ドリルは前後に四つの車輪がついた長方形の四角い鉄の箱に、ダートドラゴンの角のように水平に伸びた先が尖ってねじれた溝がついたドリルが付いている。この魔導ドリルはハンナが開発したものだ。通常の魔導ドリルは炎の魔石を燃料に使うことで硬い岩盤を溶かして掘削できるだけだが、第五十三坑道用に改造した彼女はドリルで掘削した岩盤を箱に入れ溶岩にして保管し万が一水が出た場合は溶岩を発射し水で冷やすことで浸水を防げるようにしてある。

 第五十三坑道は天井が高く、魔導エレベーターから見る作業員や道具は小さく見える。


「大丈夫…… あたしはいざとなったら飛べる…… 飛べる…… 飛べる……」


 足を震わせながらエレベーターの真ん中で目をつむってつぶやくララだった。彼女は高いところが苦手で、魔導エレベーターから見た景色が思ったよりも高く怖くなったのだ。


「はあああ…… こわ……」


 大きく息を吐いた後、ララは慌てて言葉を飲み込み首を大きく横に振った。魔導エレベーターが第五十三坑道へ到着しララは降りた。


「あれは…… 月光苔…… なるほどね。ここが試験の会場になるわけね」


 背伸びをしたララが天井に自生する月光苔に気づいた。彼女は感心したようにうなずき口元を緩め歩き出す。一人で歩くララを不思議に思った鉱山作業員の一人が声をかける。


「なんだい? 姉ちゃんも魔導石の買い付けかい?」

「ううん。あたしはハンナって人を探しているの」


 ララは鉱山作業員に答えた。鉱山作業員はうなずいて魔導ドリルを指さした。


「あぁ。ハンナなら魔導ドリルの側で腕を組んでいる眼鏡をかけた女性だ」


 鉱山作業員が指した方角に目を向けるララ、横に置かれた魔導ドリルの前に腕を組み、ツルと縁が赤い眼鏡をかけたハンナとハンマーを持った師匠のブライアンが並んで立っているのが見えた。


「わーい! ありがとうね。おじさん!」

「おっおじ…… まぁしゃーねえな」


 振り向いて笑顔でララは作業員に礼を言って魔導ドリルへと歩いて行った。作業員は苦笑いでララを見送ったのだった。


「君が…… ララだね。私がハンナだ」


 うっすらと笑みを浮かべ近づくララにハンナが声をかける。


「なーに恰好つけとるんじゃこのバカ弟子が」

「師匠! 黙ってくれ」


 横のブライアンが不服そうに口を尖らせハンナに文句をつける。ハンナは横を向き顔を真っ赤にして叫ぶのだった。勝手に喧嘩をし始めた二人に冷たい視線を向けるララだった。

 彼女は天井に目を向け指して得意げに話す。


「ここは月光苔が生えているからヴァンパイアたちが近づかないのね。だからここでハンターの試験するんでしょ?」

「ほう。優秀だね」


 ハンナはララに顔を向け目を大きく見開いた後に笑い彼女の言葉にうなずいた。月光苔は発行して闇を照らし文字通り月の光に近い。ヴァンパイアは太陽や月の光を嫌う。

 得意げに胸を張ったララだった。


「そう。あたしは魔法学校を首席で卒業した優秀なヴァンパイアハンターよ。さぁ。ハンター協会に入れてちょうだい!」

「じゃあこれはどうかな?」


 パチンとハンナが指を鳴らすと魔導ドリルの上に何かが飛び乗った。


「あれは…… そういうことね!」


 魔導ドリルの上に立ったのはサーベルを持ったキラーブルーだ。ただ、胸元の意思は青くなく赤く光っている。


「さぁ! キラーブルーマークツー君よ! 彼女を排除したまえ」

「了解シマシタ!」


 返事をしたキラーブルーはサーベルを構えてララに向かって飛んだ。


「舐めないで!!!」


 顔の近くでララは右手の人指し指と中指を立て上に向けすぐに前に倒す。彼女の手を動きに反応してベルトの短剣が浮かび上がるとキラーブルーへと向かって飛んで行く。


「ハッ!!」


 キラーブルーは飛んでくる短剣をサーベルで叩き落とす。サーベルを振り回しながら飛んでくる短剣を次々に叩き落としキラーブルーは前に進む。短剣は落とされてもすぐに浮かび上がりキラーブルーへむかっていく。サーベルをすり抜けいくつか短剣がキラーブルーの体や腕や足ににぶつかる。しかし、キラーブルーは気にすることなく前に進む。


「フン!!」


 ララの短剣が左右同時に飛んで行った。右から来た短剣はサーベルで叩き落とされ、左から来た短剣は一直線に赤い石に届きそうな寸前に彼女は左手で短剣を叩き落とした。ララはキラーブルーの動きを見てニヤリと笑った。


「なるほど…… そこね!!」


 両手を広げたララの周囲に短剣が彼女を囲む。ララは両腕を前に突き出すように仕草をした。一斉に銀の短剣がキラーブルーへと向かって行く。

 キラーブルーはサーベルと左手で短剣を叩き落とす。


「クッ!!」


 左右から飛んで来た短剣を叩き落としたキラーブルーだった。キラーブルーの両手が開いた瞬間前方から短剣が飛んで来た。キラーブルーは口で短剣を受け止めた。直後に横から銀の短剣がキラーブルーの赤い石に飛んで来た。短剣は石に斜めに突き刺さり破壊した。

 キラーブルーは両手を拡げたまま後ろに倒れていった。


「機能停止シマス……」


 仰向けに倒れたキラーブルーはつぶやくと目を閉じた。ララは満足げに笑う腕を下した彼女の元へ短剣が戻っていきベルトにおさまる。ハンナは倒れたキラーブルーを見て驚き声をあげた。


「なっ!? 私のキラーブルーマークツー君が……」

「はははっ! 真似事の石人形(ゴーレム)じゃこれくらいじゃろ。だから本物のキラーブルーを借りればよかったのに……」

「うっうるさいな!」


 悔しそうにするハンナの背中をブライアンが叩いている。二人の元へララがやってきた。得意げに鼻息を荒くして口を開く。


「どう? これで合格? 早くハンター協会に案内してちょうだい」


 右手を差し出してハンナに要求するララだった。眉間にシワを寄せハンナは悔しそうにしてララに何かをなげた。ララは投げられた物を受け取り驚き声をあげる。


「えっ!?」

「いや! まだだ…… 最後にもう一つ…… 君の覚悟を見る必要がある」


 ハンナがララに投げたのは小さな瓶で中身はオレンジ色の液体だった。


「なによ…… これ?」

「吸血症の血清だよ。念のためにね……」

「これが噂の…… もう少し前にこれがあったら……」


 瓶を見ながら尋ねるララにハンナが答える。ハンナの回答を聞いてララは悔しそうにしていた。ハンナはララの前に立って真面目な顔で口を開く。


「ロボイセに居るヴァンパイアを処理してほしい…… 彼女は……」


 ハンナはララにロボイセにいるヴァンパイアをかたづけるように依頼するのだった。

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