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新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第4章 深い森に迷う二人の姉

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第349話 幼馴染

 目の前に現れたキティルをジッと睨みディーアは懐から短剣を素早く出した。眉間にシワを寄せ怖い顔で、かつての親友であるキティルにディーアは斬りかかった。


「待って! エリィ!! 私よ!」

「黙りなさい! 私はエリィじゃない!! ディーアよ! 堕落者め!!」


 キティルは体を後ろにそらして短剣をかわし、左足を引いた彼女は体を横にした。エリィが彼女の前を通過していく。すぐにエリィは短剣を戻して横に居るキティルを斬る。キティルは下がって短剣をかわす。

 斬りかかるエリィの攻撃をかわずキティル、研ぎ澄まされた狩人の本能と経験を積んだ魔法使いの意地がぶつかりあっていた。


「ねえ! 待ってって! 私はキティル!」

「嫌です! 待ちません」


 短剣をキティルの顔面へエリィが突き出した。不意をつかれたキティルは避けるのがわずかに遅れた。彼女の刃が頬をかすめ血がついた。キティルは刃を突き出したエリィにムッとするのだった。

 エリィは短剣を引きさらにエリィに突き出す。キティルの表情が厳しくなり、彼女は突き出される短剣を見た。


「この!! いい加減にして!!!!!」

「キャッ!!!」


 右肩を引いて体を斜めにし短剣をかわしキティルは右手に持っていた杖を振り上げた。エリィの右手首に杖は命中した。短剣はエリィの手からこぼれ地面に落ちて音を立てる。


「えっ!?」


 短剣を落とされ後ずさりするエリィだった。キティルは彼女に杖を先端を向け見つめている。肩で息をしながらキティルはエリィに口を開く。


「はあはあ…… もう! 私はキティル! あなたはエリィ! 私達は幼馴染なの!!」

「幼馴染…… 嘘よ! 私はあなたなんか知らないわ!」


 エリィに知らないと言われ悲し気に目に涙を浮かべた。キティルはエリィをジッと見つめ問いかける。


「じゃああなたはどこから来たの? いつから聖女なのよ!!」

「えっ!? 私は…… 私は…… 福音の時をもたらす存在として生まれた時かから…… 聖女で…… でっでも……」

「違うわ。あなたはウィンターツリー王国の南にあるグリーンバレーヒルズにある私の家の隣に住んでたの! お父さんは狩人のタイロンさん! お母さんは料理上手なシュガーさん! タイド君、リーズちゃん、キャラムちゃん、グロク君、スピカちゃんって妹と弟が沢山いたでしょ」 


 キティルがエリィの家族の名前を告げる。彼女の言葉を聞いたエリィは動揺し後ずさりした。エリィはウォルフに救出された後に目を覚ました。彼女はショックにより記憶を失い幼児退行していた。福音派は記憶を失った彼女を聖女として育てようとしたのだ。

 エリィの記憶がキティルの言葉で少しずつ戻って来る。


「私もたった一ヶ月先に生まれただけで妹扱いしたでしょ! ねぇ!? 覚えてないの?」


 必死にエリィに叫ぶキティルだった。頭を抱えるキティルだった。


「うっ!? なによ…… なんで…… 記憶が…… 違う…… 私は聖女で…… 福音をもたらす存在として……」


 左手を額にあて苦しそうな表情を浮かべ膝をつくエリィだった。首を大きく横に振るエリィの前にキティルは杖を背中にしまってしゃがんだ。彼女はかぶっていた帽子を取って中に手を突っ込んだ。

 キティルが帽子の中から、折れた槍を取り出しエリィの前へと差し出した。この槍はエリィのものでキラーブルーとの戦闘で折れたものだ。


「あなたはグリーンバレーヒルズの狩人エリィよ…… これを見て」


 折れて真っ二つになった槍を見つめるエリィだった。キティルは優しくエリィに話しかける。


「これはあなたの槍よ…… テオドールでキラーブルーに折られたの…… 後で一緒に直してもらおう…… あなたのなんだから……」

「わっ私の……」


 キティルから槍を受け取り両手に持ってエリィは呆然と見つめていた。キティルは彼女を慈愛に満ちた表情で見つめていた。

 二人から離れた場所でグレンとクレアはウォルフと戦っていた。


「ぐわああああ!? なっなにをする!?」


 慌てて声を上げるウォルフだった。大剣でウォルフの胸を貫いたグレンは右腕を前に突き出したまま、ゆっくりと腕をあげていった。


「お前の守りたい大事な人は後ろか?」

「はっ!?」


 グレンの問いかけにウォルフは意味がわからず声をあげた。ウォルフの足が地面から離れて彼は必死につま先を伸ばし地面にとどまろうとしていた。


「俺の大事な人は…… 俺の前に居るんだ…… よ!!!」

「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 左手を大剣に持って行き足を踏ん張って振りかぶると、グレンは大剣を空に向け振り上げた。大剣からウォルフが抜けて空へと上がっていく。飛んで行くウォルフを見つめグレンは左手を横に動かしたのだった。

 上空へと上がるウォルフの背後に白い影が現れる。クレアが白い刀身の大剣エフォールを持って構えていた。グレンがウォルフを空へ飛ばすと同時に飛び上がった、クレアは速度を上げ彼を抜かして背後に回り込んだのだ。


「終わりですよ…… ウォルフ!!!!」

「なっ舐めるな!!!! クレア!!!!!」


 ウォルフは左手を白く光らせ振り向く。彼は自分へと振り下ろされる大剣に左手を向けた。彼の手から氷が伸びて行き巨大な尖った塊となり氷の剣のようになった。

 クレアの大剣をウォルフは氷の剣となった左腕で受けた。大きな音がしたクレアの大剣が止まった。ウォルフの氷の剣はクレアの大剣を受け止めた。


「やりますね……」

「ぐっぐうううううう!!!」


 左腕を曲げ右手を添え必死の形相でクレアの大剣を押すウォルフだった。クレアはそんな彼を見てにっこりと微笑み大剣から左手を離した。彼女の手が白く強く光り出す。


「私も同じこと出来るんですよ」


 右腕に力を込めたクレアだった。ウォルフの体は押されクレアから離れる。同時にクレアは左手を振りかぶった彼女の左手から光の剣が伸びて行く。


「やっやめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


 ウォルフの声が響くと同時に顔が歪み、彼の視界に血の赤い水滴が飛び散っている。


「さすが…… か弱ぶらなかったら…… 俺よりつええんだよな……」


 空中に浮かぶ義姉を見上げながらグレンはつぶやいた。

 ウォルフの両腕が肩から斬り落とされ、直後に両足が太ももの中央辺りから切り落とされた。クレアの太刀筋はウォルフにはほぼ見えずグレンだけが反応できた。


「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 両手足を切り落とされたウォルフは地面へと落下した。クレアは左手を振り光の剣を戻し、大剣を持ったまま静かに地上へと下りて行く。

 グレンは地面へと落ちた手足のないウォルフに寂しそうな表情を浮かべる。


「外した…… いやわざとか…… 義姉ちゃん…… やっぱり甘いよ……」


 首を横にかしげてグレンは左手を落下したウォルフへ向けた。グレンの背後から月菜っ葉が彼を追い越して飛んで行った。

 仰向けに転がるウォルフの周囲には彼の手足が散らばって落ちていた。斬られたウォルフの体から触手のようなものが無数にうごめきだす。再生をしようとしているようだ。だが、彼の周囲に月菜っ葉が飛んで来て光り出す。


「ぐわあああ!!! クソ! クソオオオ!!! さっ再生が……」


 月菜っ葉の光がウォルフを照らす。黄色の光に照らされたウォルフの触手が短くなって消えていく。月の聖なる輝きがウォルフの再生を阻害している。


「さあて…… 終わりだ…… 心臓を差し出しな」


 大剣を肩にかついだグレンが一歩ずつウォルフへと近づいていく。近づく足音にウォルフの顔が青染め絶望に染められていくのだった。

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