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新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第4章 深い森に迷う二人の姉

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第330話 やるべきこと

 ぬちゃっという音がする。クレアが剣先をつけた床から大剣をあげたのだ。ヴァンパイアの血と緑の液体がクレアの大剣の周りの溜まっていた。

 軽く大剣を振って拭ったクレアは表情を一つ変えずに歩き出す。声を震わせクレアをレイナが呼び止めようとした。


「クックレアちゃん……」

「何ですか?」

「うっ……」


 振り向いたクレアにレイナは何かを言おうとしたが何も言えずにいた。黙り込んでしまうレイナだった。彼女はいくら標的じゃないヴァンパイアを殺す必要があったのかと、クレアを問い詰めよう思っていた。ただ、振り向いたクレアはいつも変わらず穏やかな口調だった。事務的に淡々とヴァンパイアを処理した、クレアの覚悟の強さにレイナは怖気づいてしまい自分が口を挟む資格がないと黙り込んでしまった。


「ノウレッジは不安定です…… 教会が全て正しいわけではありませんが…… 秩序を保つために誰かがやらないといけないことなんです」


 何も言わないレイナにクレアは優しく口を開いた。言い訳でなく淡々といま彼らがすべきことをだけを説明した。ただ、クレアはレイナに理解される必要はないと思っていた。すでに理解をして支えてくれる人は近くにいるのだから……


「そう。俺達がやってることが正しいかどうかじゃない。今必要なことをやっている…… 先を急ごう」


 レイナとキティルに向かって先に行こうとグレンが声をかけた。五人は前を向いて再び歩き出した。


「「「「「!!!!」」」」」


 グレン達が歩き出してすぐにサイレンのような大きな音が鳴り響いた。鳴り響く音にグレン達は動揺し周囲を見渡している。音は一分ほど鳴り響いておさまった。グレンの横に来てレイナが不安そうに彼に尋ねる。


「なっなに? 今のグレン君?」

「あの容器に魔法を仕込まれてたみたいだな。クレア義姉ちゃんうかつだったな」

「ごめんなさい。でも…… 遅かれ早かれですけどね」

「そうだな」


 返事をしたグレンはポケットに手を突っ込んで、瓶を取り出して月菜葉の酢漬けを口に放り込み剣を抜く。彼の目の奥が赤く光り長い毛のようなオーラをまとう。大剣を構えたクレアはグレンに声をかける。


「グレン君! わかってますね」

「あぁ。俺達を見たやつを全部片づければ良いんだろ?」


 振り向いてグレンに笑顔を向けうなずくクレアだった。グレンはレイナの横に立って口を開く。


「レイナ姉ちゃん! 俺の側にいろ。ソーラとキティルはクレア義姉ちゃんに……」

「大丈夫です。私だって!」


 キティルは首を横に振って背中に指した杖を抜いた。グレンは杖を構える彼女を見て笑う。


「じゃあ頼りにしているぜ魔法使いさん」

「任せてください!」

「来ますよ!!!」


 大剣の剣先を部屋の奥へと向け構えていたクレアが振り向いて叫んだ。グレン達の前方から複数の魔族が飛んでくる。


「「「「キシャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」」」」


 武器を持った魔族たちが翼を広げクレア達に遅いかかる。皆をかばうように前に立つクレアへと向かって魔族たちは一気に距離をつめた。クレアは大剣を横に持って行き構えた。ふわりとした穏やかな顔が先頭を行く魔族の頬を撫でた。


「グギャ!!!!」

「「「「!?!?!?」」」」」


 声をあげ魔族の首が地面に転がった。一緒に居た魔族たちが目を大きく目を見開いた。しかし直後に彼らの体や足や腕に横に線が入っていく。


「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「ギャアアア!!!」

「プギャ!!!!!!!!!!」

「ギャアアアアアアアアアアア!!!!!」


 魔族たちが声をあげ床に腕や足や翼が転がる。大剣を横に振り抜いた構えをするクレアの前にぼとぼとと魔族たちが落ちて来た。クレアはゆっくりと剣を戻し倒れた魔族を見下ろす。


「「「「ギャッ!!」」」」


 表情を一つ変えずにクレアは左手を前にだした。彼女の指先から細い光に剣が伸びて行き魔族を貫いていく。念入りに二回ずつ光の剣でクレアは魔族の胸を突き刺していく。残りの魔族たちは立ち止まり淡々と魔族を処理していくクレアに顔をこわばらせていく。


「なんだ!? あいつは!?」

「にっ逃げろ!!」

「うわああああああああああああああ!!!!」


 一人が声があげると蜘蛛の子を散らすように魔族たちは逃げ出した。クレアは静かに顔をあげ視線を逃げようとする魔族たちの背中へと向け大剣を強く握りしめた。


「!?!?!?」


 慌ててクレアは振り向いて目を見開いて勢いよくしゃがんだ。下を向いた彼女の頬を地面から照り返した赤い光が照らす。

 クレアの背後から飛んで来たのは回転しながらうなりをあげて飛ぶ巨大な火球だった。


「「「イッ!?!?!?!?」」」


 火球は魔族へ一直線に向かって行く回転する渦巻きながら彼らを燃やす。魔族たちは炎に飲まれ真っ黒な影となった。


「「「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」」


 魔族たちは燃え盛る業火の中で断末魔をあげていく。通り過ぎた炎の後には魔族たちは真っ黒に焦げた地面に転がっていた。焦臭ささが充満する通路の真ん中で、しゃがんだクレアは呆然と前を見つめていた。

 クレアの背後には杖の先端を前に向けた姿勢のキティルが立っていた。杖をゆっくりと下ろしてキティルはクレアに声をかける。


「これで良いんですよね?」

「はっはい…… ありがとうございます」


 背後に顔を向けクレアは礼を伝える。キティルは笑顔でうなずいた。クレアは立ち上がり前を指して後ろにいる皆に声をかける。


「さぁ行きましょう」

「えぇ」


 クレアとキティルが並んで歩き、グレンとレイナとソーラが続く。五人は部屋の奥へ少しすると大きな扉が見えて来た。入って来た時と同様に大きな扉の横に小さな扉がついている。ただ、先ほどの魔族たちが通ったためか巨大な扉がわずかに開いている。


「うん!?」


 クレアが手を横に出してキティルを止めた。二人が止めると後ろに三人も立ち止まる。部屋に神官服を着たグルファーブルが駆け込んで来た。

 部屋の中のケースから血が垂れる光景を見た、グルファーブルが扉の前で肩を震わせている。


「どっ同志たちが…… 貴様らか!!!!」


 通路の中央を歩いて来ているクレア達にグルファーブルが怒鳴りつける。フードの奥で目を光らせグレンは口元を緩ませた。


「グルファーブル…… いきなり標的か…… ついてるな。クレア義姉ちゃん…… うん!?」


 前に出ようとしたグレンにクレアが手を出して止めた。彼女はゆっくりと首を横に振り口を開く。


「私が彼を片付けます。グレン君は残り二つを……」

「あぁ。わかった。でも、今のところ残りは一つだぞ」


 うなずいた後にグレンは視線を上に向け寂しそうにつぶやいた。クレアは寂しそうに天井を見るグレンに優しくほほ笑み口を開く。


「だと良いですけど…… ね!!!!!!!!」


 言葉を言い終わるとほぼ同時にクレアは前に出た。一瞬でクレアはグルファーブルの目の前に現れ両手に持った大剣を彼の胸へと向けた。鋭い目つきでクレアはグルファーブルを見て一気に大剣を突き出した。

 クレアの大剣がグルファーブルの胸へと鋭く伸びていく。


「クッ!!!!」


 大きな音が響いた。いきなり目の前に現れたクレアになんとかグルファーブルは反応した。彼の右手にいきなり巨大な鎌が現れクレアの大剣を弾くのだった。

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