第324話 激しく怒る勇者
「パク…… !!!!!!!!!!!!!!!!!!」
口に飛び込んだ魔法丸をオリビアの喉元が上下に動く。彼女は魔法丸を飲み込んだ。彼女の顔から血の気が引け青白くなっていく。
「ウゲエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
飲み込んだ直後にオリビアが苦しみだし声を上げた。立ち上がった彼女はものすごい力で拘束されていた縄を引きちぎり喉を押さえ空に向かって吠えている。暴れ出したオリビアを押さえつけようと、舞台の上に居た魔族が近づいた。魔族は腰にさした剣に手をかけ引き抜いて構えた。
魔族は苦しんで喉を押さえるオリビアの背中へ向かって剣を振り下ろした…… 大きな音が響き魔族の顔が苦痛に歪み手に硬く重い感触がしてしびれていく。オリビアの肩へと下ろされた剣は彼女の肉体を傷つけることは出来ずに折れた。
「いっ!? なっ!? なんだと……」
折れた剣を見て魔族は目を見開き驚いた。直後にオリビアは拳を握り振り向きながら背後にいる魔族に裏拳を放つ。
「グギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「「グギャ!!!」」
魔族の顔面に拳がめり込み顔面がぐしゃっとつぶれ、彼はそのまま勢いく吹き飛んで行った。オリビアの拳には血と肉片がべっとりと付着する。吹き飛ばされた魔族は、二体の魔族を巻き込んで地面に叩きつけられた。
「なっなんだ…… あいつは……」
ガイルは喉を押さえ暴れるオリビアに怯え後ずさりする。周囲の魔族たちも叫び気をあげのたうちまわる元勇者が気色が悪く舞台から離れていく。オリビアは膝をつき必死に喉を押さえ声をあげいる。
「ほーら! お飲みなさいな」
クロースが腰に付けていた水筒を舞台の上へと投げた。壇上で苦しむオリビアの前に革袋の水筒が落ちて来た。目をカッと見開いて水筒に手を伸ばした。雑に水筒を開けたオリビアあh口に水を流し込んだ。
「んぐんぐ!!!」
一気に水を飲みほしたオリビアは大きく口を開けた。
「ぷはあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
息を吐き出したオリビアは肩で息をしながら膝に手を付き顔を上げた。
「はあはあ…… 何を食わせた!!! 許さんぞ!!!!」
オリビアの眉間のシワが深くなり怒鳴り出した。クロースは彼女の姿を見てほほ笑む。
「魔法丸ですわよ。キティルお手製の!」
「んなっ!?!? キティル!!! どこだ!」
キティルの名前を呼びオリビアは顔を左右に何度も振って彼女を探す。クロースはキティルを探すオリビアに首を横に振った。
「ここにはおりませんわ。グレンと一緒にガーラム修道院へ行ってますの! ほら片付けて追いかけますよ」
「そうか…… そうだな…… さっさと片付けて追いかけるぞ」
大きくうなずいたオリビアは視線をガイルへと向けた。
「なっ!? なにを…… 舐めるなよ!!! 同士よ! ひるむな! 空腹のあいつは弱い!!!」
「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」」」」
ガイルはサーベルでオリビアを指し、彼女が空腹であることを伝え魔族たちを鼓舞した。魔族たちは一斉に雄たけびを上げた。魔族の声が響く中オリビアはニヤリと笑い、拳を握り視線を横に向け地面で床を蹴った。
「よっと!!!」
「ウギャ!!!!」
飛び上がったオリビアは近くにいた魔族の元へと一瞬で移動し拳を顔面に叩きこんだ。魔族の顔はつぶれ後ろに倒れそうになる魔族の腕にオリビアは手を伸ばす。魔族の腕をつかんだオリビアは力任せの魔族を横に投げた。メリメリと言う音がして魔族の腕が肩から外れ体は横は吹っ飛んで行った。
「ギャアア!!!」
「ほうら!」
「ウギャアアアアアアアアアア!!!!」
魔族の体は近くにいた魔族にあたり下敷きにした。オリビアは残った魔族の腕を投げた。投げられた高速で前にいた魔族が避ける間もなく胸に突き刺さった。
「さぁ…… 次はだれが相手になるか?」
右手を顔前に持って行き握る動作を繰り返しながら笑うオリビアだった。周囲の魔族は彼女の動きがまったく見えずに後ずさりをする。
「ばっ馬鹿な…… なぜだ!? あいつは空腹のはず…… いや…… その前に素手であんなに強いわけ……」
壇上で呆然とオリビアを見ていたガイルが我に返り叫ぶ。オリビアは平然とした顔でガイルに口を開く。
「あぁ! さっき魔法丸を食わされたからな!」
「なっ!? 魔法丸だと!? あんな携帯食で強くなるはずが……」
驚くガイルにオリビアは小さく首を横に振ってにっこりと微笑む。
「良いことを教えてやろう…… 私は確かに空腹になると弱る。だがな! 空腹状態で食べ物を食べて腹が満たされると力が数千倍に増幅するんだ!」
「はっ!? そっそんなの…… ズルいだろ!!」
「ズルかろうかなんだろうがそれが私の特殊能力だ!! 文句は女神アーリアに言え!」
ガイルの言葉にムッと口を尖らせるオリビアだった。彼女はガイルを睨みつけ拳を握った。
「では…… 終わりにしてやろう」
「クソ! ひるむな! 力があろうが奴は丸腰だ!!!」
魔族たちが武器を持ち構えた。武器を構える魔族たちの間を小さな影が移動しオリビアの前へと飛び出した来た。
「オリビアさん! これを!!」
「おぉ! 私のメイスだ!! ありがとう! タワー!」
タワーがオリビアの視界にいきなり現れ彼女が取り上げられていたメイスを渡して来た。彼女はタワーからメイスを受け取った。タワーは右手をあげ挨拶するとすぐに消えてしまった。
「なっなんだ!? あいつは…… クソ!!!」
現れすぐに消えたタワーをガイルは恨みがましい表情で見つめた。メイスを受け取ったオリビアが構えて左手を前に出してガイルに手招きをする。
「さぁ…… さっさと終わらせようか! 私はグレを助けにいかないといけないからな」
「クソ! もういい! 殺せ!!! 同士たちよ!」
ガイルの号令で一斉にオリビア達に魔族が襲い掛かった。オリビアは持っていたメイスを体の前に水平に持つと両手を合わせるようにして回転させた。
彼女は向かって来る魔族に合わせて回転したメイスを向ける
「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「ギャアアアアアアアアアアア!!!」
メイスは向かって来る魔族を叩き潰し吹き飛ばす。吹き飛ばされた魔族がさらに別の魔族を巻き込んでいく。オリビアに近づく魔族は次々に倒れされていく。
「ジャスミンさん! ルドルフさん! 動かないでくださいまし!」
「へっ!?」
「おう!!」
迫りくる魔族たちにクロースは二人に指示を出した。彼女は素早く持っていたハルバードを縦に持って石突で地面を突いた。
「「「「「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」」」」」
クロースを中心に青白い光の線が放射状に伸びいった。周囲に居た魔族たちが照らされたると稲島が放たれ魔族たちを襲った。クロースとジャスミンとルドルフに襲い掛かった魔族は落雷により真っ黒に焦げた肉塊へと変化した。
「ふぅ…… さきほども言いましたわよね。ここはもうわたくしの領域だと……」
立ったまま黒焦げになっている魔族たちを見渡してつぶやくクロースだった。彼女は左手で自分の髪をそっとかき上げた。ふわりとした風が吹いて真っ黒に焦げた魔族たちが崩れて灰になった。




