表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第4章 深い森に迷う二人の姉

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

317/368

第317話 竜の瞳に照らされて

 輝く竜の瞳の内部。店内は荒らされマウラは魔族に床に押し倒されていた。ラックスはもう一人の魔族にカウンターで押さえつけられている。 

 押し倒したマウラに魔族が馬乗りになり胸の服をつかんで引きちぎった。音がして胸を覆う白い下着があらわになる。


「やめて!」

「姉ちゃん!!!」

「黙れ! やっといなくなったのに! 見つかるだろうが! ガキが!!!」

「ガッ!!」


 魔族がラックスを殴りつけた。マウラは殴られた弟を見て叫ぶ。


「ラックス!!! モガガ!!!」


 マウラの口を魔族が手で覆い黙らせた。


「えへへへ。大人しくしろよ」

「とっとと済ませろよ。あの騎士野郎にみつかるとうるせえからな」


 身を前にだした魔族はマウラの顔の前で舌なめずりをする。魔族は破かれ服から覗くマウラの白い下着に覆われた胸の谷間を見てニヤつく。


「なんだ!? おい! しっかり閉めとけよ!」

「すまない」


 扉が勢いよく閉じられた音がして魔族が二人がいきおいよく振り向いた。魔族は振り向いて店内を見て首をかしげすぐに前を向く。

 背中を向ける魔族に首をかしげるクロースだった。


「あれ!? なんでわたくしたちを……」

「フードのせいですよ」

「あぁ! そうでしたわね! ならそっちの方が好都合ですわ! はっ!!!」

「はい……」


 クロースとタワーがうなずいた前に出た。マウラの胸をわしづかみにする魔族、彼女は苦痛に顔をゆがめて早く終われと目をつむり顔を背けた。

 胸の圧迫が消えマウラの頬を生暖かい液体がポタポタと落ちて来るのを感じる。彼女はゆっくりと目をあけ視線を自分の上に向けた。


「えっ!? なっなに!? これ」


 マウラの視界に馬乗りになっていた魔族の首から上がなくなり、血を垂れ流す姿が見え彼女は思わず声をあげた。すぐ横の床には魔族の頭が転がっている。ゆっくりと後ろに魔族の死体が倒れていく。

 ラックスを押さえつけていた魔族が仲間の異変に気づいた。


「なっなにが…… ガッ!!!」


 魔族の首の横に短剣が刺さり穴が開く、短剣はすぐに引き抜かれ念を押すように喉元を切り裂く。悲鳴を上げることも出来ずに魔族は絶命した。魔族は静かにゆっくりと仰向けに倒れていく。自分を押さえていた魔族の手が緩みラックスがカウンターに両手を付いて身を起こし振り返る。


「これは…… 姉ちゃん!!!」


 倒れるラックスを見ていたラックスはマウラのことを思い出し、カウンターを飛び越え彼女の元へ向かう。魔族に覆われた視界が開き、呆然と天井を見つめていたマウラにラックスが声をかける。


「姉ちゃん…… 大丈夫?」

「うん。ありがとう。大丈夫よ」


 ラックスが上から覗き込み声をかけるとマウラは嬉しそうに笑ってうなずいた。ラックスはマウラの手を取って彼女を起こす。起きた二人の背後からクロースが声をかける。


「大丈夫ですか?」

「「えっ!?」」


 振り向いた二人は目を見開いて驚いた顔で固まっている。クロースは首をかしげてさらに声をかける。


「あっあの」

「キャーーー!! お化けよ! ラックス」

「ねっ姉ちゃん! 落ち着いて!」

「えぇ!?」


 二人は悲鳴をあげ抱き合って怯えている。二人の反応にクロースは動揺している。クロースは二人の目の前にいるが、彼女の姿はラックスとマウラに認知できずに見えない状態なのだ。


「クロースさん! フードを取ってください」

「そうか!」


 タワーはフードを指した。クロースはすぐにフードを外した。フードを外すとクロースの姿がいきなり二人の視界に現れたようになる。


「うわ!?」

「あっあなたは……」


 クロースを見て二人は驚いていた。ただ…… クロースの横でタワーは渋い顔をしていた。


「僕も居ますよ」

「「うへえええ!!!????」」


 横から必死に動くタワー、二人は気づいて驚きの声をあげていた。クロースは三人を見てほほ笑んだ。彼女は一歩前に出て胸に手を当て名乗る。


「驚かして申し訳ありません。わたくしはクロース冒険者です」

「ぼっ僕はタワーと言います。冒険者ギルドの者です」


 マウラとラックスに名乗るクロースとタワーだった。


「ぼっ冒険者ギルドってグレンさんたちの仲間ってこと?」

「あら? グレンさんをご存知ですの。はい。彼とは友人なんです」

「そうか…… よかった」


 グレンの名前を聞いてホッと安堵の表情を浮かべるマウラとラックスだった。


「あの魔族たちは?」

「わかりません…… 夕方くらいに急に現れて…… しばらくは外で大人しくしてたのに…… さっき急に暴れ出して……」


 クロースの質問にラックスが答えるのだった。二人を襲っていた魔族たちは店の前にずっと立っていたが、いきなり暴れだしたという。

 話を聞いていたタワーは真顔で口を開く。


「少し急いだほうが良いですね…… 彼らの連絡が途絶えるたら援軍が来るでしょう」

「えぇ…… そうですわね。結界を作っている装置の場所は?」

「大丈夫です。めぼしはもうつけてあるので」


 二人は顔を見合わせてうなずいた。すぐにタワーが前に出て二人に口を開く。


「軒先にある看板を見せてもらって良いですか?」

「えっ!? はっはい。どうぞ!」


 タワーは入り口から外に出て軒先にぶら下がっている看板を取って戻って来た。看板を抱えるように持つ彼にクロースが横から覗き込む。


「これが結界の装置ですの?」

「はい。目の宝石色を偽装した魔導石にされてますね…… こうして……」

 

 看板にある竜の瞳が魔導石に変えられ結界発生装置にされているという。タワーは宝石を外して袋から同じ色で少し小さい石を取り出した。


「それは?」

「集音と発音魔法を埋め込んだ魔導石です。これで僕の部下が情報を集めてくれます。ちょっと小さいですね… 何かノリのような物を……」


 タワーが取り出した魔導石はやや小さく瞳の部分にかっちりとはまらずに、何かで接着させる必要があった。二人の会話を聞いていたマウラが立ち上がり、棚から手に乗るサイズの小さな蓋つき壺を取り出しタワーへと持っていった。


「これを使ってください。うちで作ったノリです」

「ありがとうございます」


 壺を受け取ったタワーはノリを小さなへらすくい魔導石を看板にくっつけるのだった。


「後は…… これを……」


 タワーは床に外した魔導石を置いた。袋から透明な液体が入った小瓶を出し、しゃがんだ彼は魔導石に中の液体を一滴だけ垂らした。液体とかけられた魔導石は溶けてなくなってしまった。


「すごい…… 消えちゃった! それ! どこで売っているんですか?」

「えっ!? これは…… グレンさんに調合してもらったので…… 僕は名前も……」

「そうなんですか…… 残念」


 魔導石を溶かす薬に食いついたマウラだった。しかし、タワーはグレンから調合された薬を受け取っているだけで困った様子で詳しくないと答えた。マウラは残念そうにしょんぼりとしていた。

 クロースは魔族の死体へ視線を向けた。


「死体は残しておきますの?」

「はい。彼らには役目があります。さぁ。村から脱出しましょう」


 立ち上がってタワーはうなずいてクロースへ手を差し出し、村から脱出しようと声をかけた。クロースは魔族から視線をマウラとラックスへ向ける。


「私達はツリーローダーから脱出してグレン達と合流するんです。あなた達は?」

「えっ!? ぼっ僕たちは店があるので……」

 

 ラックスはマウラを見ながら答えた。店を残してツリーローダーから脱出することはできないようだ。だが、タワーが前に出て二人に声をかける。


「ふっ二人も一緒に来た方が良いですよ。さっきのような魔族たちがまたここに来るでしょう。それに大きな戦いが近いうちにあります」

「そうですか…… 行くわよ。ラックス!」

「えっ!? でっでも…… 店は?」

 

 マウラはラックスにクロースと一緒に行こうと提案した。店を残していいのかとラックスはマウラに尋ねるが彼女は笑顔で首を横に振った。


「いいのよ。店が壊されても生きてれば再建できるわ。でも死んだら何もない。だから今は逃げるの!」

「そうか…… わかった。行こう」


 うなずいてラックスはマウラの提案に同意した。二人はクロース達と一緒に避難することになった。

 マウラとラックスが準備をするのを待つクロースとタワー、しばらくすると着替えて荷物を持ったマウラがやってきた。少し遅れてラックスがやって来る。


「遅いよ。ラックス……」

「ごっごめん。お待たせしました」

「だっ大丈夫です。二人もこれをつけてください。」

 

 タワーはすぐに二人にも”溶け込みフード”を渡すのだった。

 四人は店から出てツリーローダーから脱出する。路地裏を移動し南にある正門へとやってきた。正門の前は広場のようになっている。門には二人の魔族が立っていた。閉じられた扉の中央にこぶしだいの赤い石が埋め込まれているのが見える。

 タワーの先導でクロース達は広場の脇に立つ木へとやって来た。木の根元は盛り上がって隙間が空いていた。タワーは短剣を抜いて木の根元の盛り上がった隙間に手をかざした。


「ニャーオ…… ニャニャンオー!」


 小声で猫の真似をするタワーだった。直後に隙間の縁がわずかに青くうっすらと光り出した。タワーの背後からクロースが顔をだし彼に尋ねる。

 

「これはなんですの?」

猫の抜け道(キャットウォーク)です。ここを使えば大陸のいたる場所にすぐに行けるんです」

「へぇ……」


 クロースは光る根の隙間をまじまじと見つめている。タワーは振り返り視線を正門へと向けた。


「じゃあ…… ちょっと待っててください」

「えっ!?」

 

 タワーはクロースに声をかけるとスッと姿を消した。直後に正門に埋め込まれた石が音を立てて割れた。割れた石が地面へと散らばった。


「なっなんだ!?」

「いっ石が!? クソ! ウォルフ様を呼べ!」


 正門の前に居た魔族たちが振り返り慌てている。魔族の一人がどこかへと駆けて行った。クロースたちは猫の抜け道(キャットウォーク)の前で正門を見つめていた。そこへスッとタワーが戻って来た。彼を見たクロースが尋ねる。


「何をしてきたんですか?」

「結界装置を壊したんです…… これで薬屋に残した魔族は魔導石を守って戦死したように見えるはずです」


 タワーはそういうとクロースの横を抜け、しゃがんでキャットウォークの中へ入っていった。クロース達は彼を追いかけて続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ