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新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第4章 深い森に迷う二人の姉

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第303話 暗闇の中で眠るもの

「嫌です! だって二匹の大物を仕留めるチャンスですよ。しかも今回は強力な助っ人付です」


 レイナに向かってグレンを手で指して勝ち誇ったように話すキティルだった。


「なっ!?」

「それにキメラと大蛇は魔物同士で協力することなんてほぼないですしね…… あわよくば……」


 怪しくにんまりと笑うキティルだった。彼女はキメラと大蛇が遭遇して争えば、弱った方を叩けるという。キティルは漁夫の利を狙っているのだ。

 ニヤニヤが止まらないという様子のキティルは顔をメルダへ向けた。


「えっ!? ちょっと!?」


 キティルはメルダの手をつかんで道の先を指した。


「ほら! メルダ! さっさとベイリーグランド洞窟へ向かうわよ」

「わかった! 行くわよ。だから引っ張らないでよ」


 ベイリーグランド洞窟へ続く道をキティルはメルダを引っ張って歩いて行った。グレンの横に立つレイナは歩いて行く二人を呆然と見つめていた。グレンは呆然と立つレイナに口を開く。


「だってさ…… 俺達も行こうぜ」

「うっうん」


 小さくうなずいてレイナだった。レイナはメルダを引っ張るキティルを見てあきれた顔をする。


「もう…… 冒険者ってみんなあんな感じなの? さっき死にかけたばっかりじゃない……」

「まぁな」


 グレンは笑いながらうなずく。レイナは彼の答えにさらにあきれた顔をしたのだった。グレンは先を行く二人の背中を見て少し寂しそうな表情でつぶやく。


「でもあれくらいたくましくて良いんだよ…… 俺には出来なかった……」

「えっ!? グレン君?」

「ほら! 俺達も行こうぜ」

 

 首をかしげるレイナにグレンはごまかすようにして道の先を指す。グレンは彼女の肩を押して二人の後を追いかけて行くのだった。

 キティルとメルダは少し先で待っており、グレン達が追いつくと四人で先に進む。道は緩やかに右にカーブし下っていく。道は丘の脇に沿って下って行き数十分ほど歩くと開けた場所に出た。グレン達の左に高さ三メートル幅二メートルほどの大きな洞窟が口を開けている。


「あれは…… キティル! 止まって」

「わかった」


 何かに気づいたメルダがキティルを止めた。うなずいてキティルが止まる。メルダは後ろに視線を向けグレンとレイナが近づくのを待った。グレンとレイナが追いつくとキティルが振り向いてグレンを見てから前を指した。


「あれを見てください?」


 キティルは地面を指していた。彼女が指した地面は何かを引きずった跡があり赤黒くなっていた。引きずった痕跡は洞窟の中へと続いていた。


「キメラが獲物を引きずったんだろうな……」

「そうね。大蛇なら丸のみだろうし」


 グレンの言葉にメルダがうなずいた。赤黒い地面はキメラが獲物を引きずり洞窟に運んだことを示していた。


「もしかして大蛇もキメラに食べられたり……」

「どうかしらね…… 確かめるしかないでしょ」


 ちょっと期待した様子で話すキティルに、メルダは首をかしげてたきちんと確認するべきと主張した。


「そうね。じゃあ行きましょうか!」

「えぇ」


 メルダの言葉にキティルはうなずき洞窟をさした。歩き出そうとする二人の背後からレイナが慌てて止める。


「ちょっと待って! これを飲んでおいて」


 振り向いた二人にレイナは右手を上に向け差し出す。彼女の手のひらの上には赤い小さな丸い錠剤が四つ置かれていた。


「これは?」

「キメラ毒の予防薬よ。もし毒を受けても動けなくなるのを防いでくれるわ」

「わー。ありがとうございます。メルダ。飲みましょう」

「ありがとう」


 喜んで二人は薬を飲むだった。二人が薬を飲むのを確認したレイナは振り返った。そこにはグレンが立っていた。レイナはグレンにも薬を差し出す。


「グレン君も飲んでおきなさいよ」

「あぁ。わかった。レイナ姉ちゃんもな」

「うん」


 グレンは薬をつまんで薬を飲み込み、最後にレイナが薬を飲んだ。薬を飲んだレイナは顎に立てた指を置き空を見つめつぶやく。


「さて…… 後は効果があるかね」

「大丈夫だろ」

「えっ!? なんでよ?」


 薬の効果を心配するレイナにグレンは平然と心配ないと答える。レイナは首を傾げていた。グレンはレイナを見た笑った。


「俺が一番信頼している薬師の薬だからな」

「ぐっグレン君」

「わっ!? こら! くっつくな!」


 レイナは目に涙をため両手を広げ嬉しそうにグレンに腕の引っ付いた。離そうとするグレンだが、レイナは必死にしがみついて離れない。


「やっぱり似ているわね…… ちょっとキティル!」

「ブスー!! フン!!!」


 微笑ましくグレンとレイナ姉弟を見つめるメルダの横で、キティルは頬を膨らませて不満そうに二人を見つめていた。

 四人は洞窟の入り口にたった。大きく開いた洞窟の入口から差し込む光により、並んだ四人の影が洞窟の中へと伸びていた。

 レイナが視線を横に立つグレンに向けた。


「静かだね……」

「でも獣の臭いと気配は感じるぜ…… みんな気をつけろ」


 右手を腰にさした剣へ伸ばしたグレンは引き抜いた。キティルは背中の杖を抜きメルダも弓を構えた。レイナは鞄を開き中から青赤緑の薬草丸を取り出した。

 グレンが真っ先に洞窟に足を踏み出した。しかし、すぐにメルダがキティルを肘でつついた。キティルはグレンの背中に声をかける。


「待ってください。私達の仕事です。グレンさんは一番後ろです」

「そうか…… わかった」


 前に出ようとしたグレンは振り向いて笑顔でうなずき下がった。キティルが杖の先を前に向け目をつむり集中する。彼女の杖の先端に火が灯った。火を見て満足そうにキティルがうなずき横を向いた。


「じゃあ行こうか」

「えぇ」


 返事をしたメルダとキティルが前に出て洞窟の中へと進む。二人にレイナとグレンが続く。

 むき出しの岩が突き出す壁に硬い地面が続く洞窟を進む四人。湿度が高くじめじめとした空気が肌にまとわりつく。

 しばらく歩いた四人は広い場所へと出た。天井は高く八メートルくらいあり、左右の壁は段差が出来ていた。人間が作った木製の桶や段差に梯子がかかっているのが見える。残された人工物から以前は人が滞在していたのを者がっていた。


「キティル! 火を消して!」

「えっ!? あっ!」

 

 歩きながら周囲を見ていたメルダが、キティルに火を消すように指示をした。キティルは指示に従いすぐに火を消した。

 左手の壁から大きな蛇の頭が垂れ下がりわずかに左右に揺れていた。


「だっ大蛇です!?」


 振り向いてグレンとレイナに向かって、大蛇が現れたことを教えるキティルだった。すぐにメルダがキティルの前に手を出して止めた。


「落ち着きなさい! よく見て」

「えっ!? きっキメラ……」


 呆然とするキティルの横でメルダが微笑んでいる。

 蛇の先は毛皮に囲まれた大きな獣の尻につながっている。左手にある壁の段差の上にキメラが寝ていたのだ。キティルは垂れ下がったキメラの尻尾を大蛇と勘違いしたのだった。


「寝てるんだね……」

「グレンに殴られた傷を癒してるんでしょ。行くわよ」

「うん。私達の標的は大蛇だもんね」


 振り向いたメルダがキメラがいる壁を指した。グレンが視線をキメラに向けメルダたちにうなずく。横を向いた彼は口に指を置いてレイナに静かにするように指示をする。

 四人はキメラに見つからないようにその場から離れ迂回して洞窟の奥へと向かう。広い洞窟の空間の奥にさらに細長い道があり四人は進んだ。しかし……


「あれ…… 行き止まり……」


 細長い道の先は行き止まりとなっていた。洞窟の最深部であるがこれまでの道のりで大蛇とは遭遇しなかった。キティルは振り向き首をかしげてグレンに口を開く。


「大蛇はどこにいるんでしょうか?」


 グレンは少し考えてからゆっくりとキティルの質問に答える。


「うーん…… 多分…… あれじゃねえかな」


 右手でグレンは背後にある今まで来た道を指した。

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