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ラウンド2:リーダーの器~人を惹きつける引力の源泉~

あすか:「さて、Round1では皆さんの拠点と自己紹介を伺い、そのスケールや流儀の違いが早速明らかになりました。次のラウンドでは、さらに核心に迫りたいと思います。(クロノスに触れ、テーマを表示)『リーダーの器~人を惹きつける引力の源泉~』。皆さんの周りには、常に多くの人々が集い、時には命すら預けて従いました。その強烈な『引力』、すなわちカリスマ性の源泉はどこにあったのでしょう?人を惹きつけ、組織をまとめてきた秘訣について、ぜひお聞かせください。…これはやはり、日本史上屈指の『人たらし』と評される秀吉様から伺うのがよろしいでしょうか?」


豊臣秀吉:「(満足そうに頷き、扇子を軽く開いて)ふむ、わしからか。よかろう!『人たらし』とは、ちと聞き捨てならぬが…まあ、そう言われるのも無理はないやもしれぬな。(カポネの方を見て)さっき、そなたは『成り上がり』と言ったな?わしが信長様の草履取りから身を起こせたのは、ただ運が良かっただけではないぞ。常に相手が何を望んでおるか、どうすれば喜ぶか、そればかり考えておったわ」


あすか:「相手の心を読み、望むものを与える…それが秘訣、と?」


豊臣秀吉:「そうじゃ!例えば、信長様は新しい物好きで、せっかちな御方じゃった。じゃから、冬の寒い日には、懐で草履を温めてお出しした。するとどうじゃ?『おお、藤吉郎、気が利くのう!』とたいそう喜ばれた。ささいなことじゃ。じゃが、その積み重ねが信頼を生む。家臣に対しても同じじゃ。手柄を立てた者には、惜しみなく褒美を与える。土地、金、名誉…相手が一番欲しがるものを、どーんと与えてやるのじゃ!そうすれば、『この殿のためなら!』と、皆、奮い立つというものよ」


アル・カポネ:「(葉巻をくゆらせながら)なるほどな、人心掌握術サイコロジーか。確かにビジネスでも重要だ。だが、それだけじゃ甘いな、太閤殿。俺の世界じゃ、信頼は『力』で裏打ちされなきゃ意味がねえ。俺は部下ファミリーには最高の暮らしを保証する。良いスーツ、良い車、良い女…望むものは何でも手に入れさせてやる。だがな、裏切りは絶対に許さねえ。ルールを破った奴には、見せしめが必要だ。恐怖フィアーもまた、人を従わせる重要な要素なのさ」


あすか:「アメとムチ、ということでしょうか」

アル・カポネ:「そういうことだ。普段は気前よく振る舞う。パーティーを開いて大盤振る舞いしたり、慈善事業に寄付したりもする。市民シチズンの中には俺を英雄ヒーロー扱いする奴もいたくらいだ。だが、それは計算の上だ。忠誠心ロイヤリティは見返りを期待するものだ。綺麗事じゃファミリーは守れねえ」


清水次郎長:「(カポネの発言に眉をひそめ)おいおい、異国の親分さんよ。アンタの言うことは、ちと寂しすぎるんじゃねえか?力や金で繋がってるだけじゃ、いざという時に人はついてこねえぞ。俺んとこに来る奴らは、食い詰めた奴、世間から弾かれた奴…そういう連中が多かった。俺はそいつらに、ただ飯を食わせるだけじゃなく、居場所を作ってやったんだ。『次郎長一家』ってもんをな」


あすか:「次郎長さんにとって、子分たちとの理想の関係とは?」


清水次郎長:「一心同体よ。親は子のため、子は親のため。嬉しい時は一緒に笑い、悲しい時は一緒に泣く。喧嘩でいりになりゃあ、親分のために命を張るのが子分の務め。だが、親分も子分のためなら命を張る。それができてこそ、本当の『親分子分』ってもんだろう。大政や小政だって、ただの暴れん坊じゃねえ。俺を親父のように慕ってくれてた。そういう『情』の繋がりがなきゃ、人は本気じゃ動かねえもんだ」


国定忠治:「(腕を組み、そっぽを向いたまま)けっ、馴れ合いだな。情だぁ?そんなもんにすがりついちゃ、足元をすくわれるのがオチだぜ。第一、俺は誰の子分になったこともねえし、子分を取ろうと思ったこともねえ」


あすか:「では、忠治さんの周りに人が集まったのは…?」


国定忠治:「さあな。俺ぁただ、気に食わねぇ権力に逆らって、自分の『意地』を通してきただけだ。もしかしたら、そんな俺の生き方を面白がって、勝手についてきた奴らがいただけかもしれねえ。俺が求めたのは、上下関係じゃねえ。言うなれば、『意気』が合うかどうかよ。同じように世の中の理不尽さに腹を立てて、一緒に立ち向かえる奴。そういう『同志』みてえなもんなら、いても良かったかもしれねぇな」


豊臣秀吉:「(忠治を見て、面白そうに)ふむ、そなたのような生き方もまた、人を惹きつけるのかもしれぬな。じゃが、同志だけでは国は治まらんぞ。やはり、才ある者を見抜き、適材適所に配置し、組織として機能させねばならん。わしは、身分に関係なく、使えると見込んだ者はどんどん引き立てた。石田三成のような算術に長けた者、加藤清正のような武勇に優れた者…それぞれの才を見抜き、活かしてやるのが上に立つ者の役目じゃ」


あすか:「皆さんのお話を伺っていると、『情』を重んじる次郎長さん、『意地』に共感を集める忠治さん、『力と実利』で組織を動かすカポネさん、そして『人心掌握と才覚主義』の秀吉様…人を惹きつける形は、実に様々だということが分かりますね。では、少し視点を変えて…皆さんにとって『理想の部下・子分』とは、どのような人物でしょうか?やはり、自分に忠実な人物ですか?」


アル・カポネ:「(即座に)当然だ。忠誠心ロイヤリティは何よりも重要だ。そして、有能スマートであること。言われたことを確実にこなし、自分の頭で考えて動ける奴がいい。口先だけの奴や、すぐに感情的になる奴は信用できねえ」


清水次郎長:「俺は、やっぱり『一本気』な奴だな。不器用でもいい、真っ直ぐで、一度『親分』と決めたら、最後までついてきてくれるような奴。そういう奴のためなら、こっちも骨身を惜しまねえ」

豊臣秀吉:「わしは、何よりも『才覚』じゃな。そして、それを活かす『忠義』があること。身分や家柄なぞどうでもよい。たとえ昨日の敵であろうと、才があると見れば召し抱える。じゃが、一度わしに仕えると決めたからには、全身全霊で尽くしてもらわねば困る」


国定忠治:「理想だぁ?そんなもん考えたこともねえ。ただ…裏切らねえ奴なら、それでいい。それだけだ」


あすか:「(頷き)忠誠、能力、一本気、才覚、そして裏切らないこと…求めるものは違えど、根底には『信頼』というキーワードがあるように感じますね。その信頼をどう築き、どう保つのか…。この議論は、次のラウンドにも繋がっていきそうです。Round2はここまでといたします」

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