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アフタートーク:星降る夜の饗宴

(エンディングの感動的な音楽がフェードアウトすると、スタジオの雰囲気が一変する。重厚な討論の場だったテーブルの上には、色とりどりの豪華な料理や飲み物が並べられている。照明も暖色系の柔らかい光に変わり、まるで華やかな宴会場のような雰囲気だ。対談者たちの表情もすっかり和らいでいる)


あすか:「(笑顔で)さあ、皆さん、お疲れ様でした!ここからは、堅苦しい話は抜きにして、美味しいものを囲みながら、ゆっくり語り合いましょう。」


(対談者たちも、目の前の料理に興味津々の様子)


あすか:「今宵は特別に、皆さんに、ご自身の時代や故郷にゆかりのある『とっておき』をご用意いただきました。ぜひ、ご紹介いただけますでしょうか?では、ここはやはり、食にもこだわりをお持ちの秀吉様からお願いできますか?」


豊臣秀吉:「(満足そうに頷き、小さな器を手に取り)うむ、よかろう!まずはわしからじゃな。これは、わしが醍醐の花見でもてなした料理の一部を再現したものじゃ。季節の魚を使ったお造りに、京野菜の炊き合わせ…まあ、ほんの一部じゃがな。わしはな、人を喜ばせるには、まず『食』が肝心だと思うておる。ささ、遠慮なく召し上がれ!」


清水次郎長:「(感心したように)ほう、これは見事なもんだ。さすが太閤殿下、目の付け所が違うねえ。(お造りを一切れ口にし)うん、美味い!新鮮だ!」


アル・カポネ:「(興味深そうに炊き合わせをつつき)フン、見た目は綺麗だが、味はどうかな?…(口に入れて)…ほう、なかなかデリケートな味だ。悪くねえな。俺たちの国の料理とは、ずいぶん違う」


豊臣秀吉:「カカカ!異国の親分の口にも合ったか!それは良かったわい!」


あすか:「では、お次はカポネさん、お願いします」


アル・カポネ:「オーケー、レディ。次は俺の番だな。(大きなピザを指さし)こいつは、俺のシマ、シカゴの名物、ディープディッシュピザだ!分厚い生地に、たっぷりのチーズとソース!見た目はワイルドだが、味は保証するぜ。それから、(隣の皿を指し)こっちは、俺のルーツ、イタリアの家庭料理、オフクロがよく作ってくれたラザニアだ。まあ、俺流に少しアレンジしてあるがな。ガツンとくる味だ、遠慮なく食ってくれ!」


国定忠治:「(ピザの厚みに驚き)なんだ、こりゃあ!?食い物なのか?まんじゅうみてえに分厚いじゃねえか!(一切れ取り、恐る恐る口にし)…んん!?こ、こいつは…!なんだかよく分からねえが、うめえな!」


清水次郎長:「(ラザニアを味わい)ほう、これもまた濃厚で力強い味だ。異国の料理ってのは面白いもんだねえ」


豊臣秀吉:「うむ、確かに腹にたまる、若者好みの味じゃな!これもまた、活力が湧いてくるようで良いわい!」


あすか:「次は、次郎長さん、お願いします」


清水次郎長:「あいよっ。(大きな皿に乗った寿司を前に出し)俺からは、これだ。俺の地元、清水港で今朝あがったばかりの、とびきり新鮮なマグロを使った寿司だ!江戸前みてえな小細工はなし!ネタの良さで勝負よ!特にこの大トロは絶品だぜ、さあ、遠慮なく!」


豊臣秀吉:「(目を輝かせ)おお!これは『すし』というものか!話には聞いておったが、見るのは初めてじゃ!(大トロを一つ、慣れない手つきで口に運び)…むぅうう!これは…!口の中でとろけるわい!なんという美味じゃ!」


国定忠治:「(同じく寿司を頬張り)…うん、うめえ。やっぱり、魚は新鮮なのが一番だな、次郎長さんよ」


アル・カポネ:「(寿司を器用にフォークで口に運び)…なるほどな。シンプルだが、素材の良さがストレートに分かる。こういうのも悪くねえ」


あすか:「では、最後に忠治さん、お願いします」


国定忠治:「(少し照れたように、串に刺さった団子のようなものを差し出し)…まあ、俺からは、こんなモンしかねえが…。上州名物の『焼きまんじゅう』だ。甘い味噌ダレをつけて焼いた、素朴な味よ。腹が減っては戦はできぬ、ってな。まあ、口に合うか分からねえが…」


豊臣秀吉:「(興味津々で手に取り)ほう、これが『やきまんじゅう』か!見た目は質素じゃが、香ばしい良い匂いがするのう。(一口かじり)…む!これは!甘くて香ばしくて…素朴じゃが、後を引く味じゃ!気に入ったぞ!」


清水次郎長:「(懐かしそうに)ああ、焼きまんじゅうか。俺も昔、旅の途中で食ったことがある。腹持ちがいいんだよな」


アル・カポネ:「(少し警戒しつつも口にし)…フム。思ったより甘いな。だが、この味噌の味が…なんとも言えねえ、悪くねえな。日本のソウルフードってやつか?」


(4人は互いの料理を勧め合い、味わい、感想を語り合う。討論中の険しい表情はすっかり消え、まるで旧知の仲のように打ち解けている。それぞれの時代の食文化や、好物、あるいは苦手な食べ物の話などで、笑い声が絶えない)


あすか:「(微笑みながら)皆さん、本当に美味しそうですね!私も少しいただいても…?(それぞれの料理を少しずつ味わい)わあ、どれも本当に美味しいです!それぞれの個性が出ていて、素晴らしい饗宴ですね!」


豊臣秀吉:「うむ、これもまた一興じゃ!食は人をつなぐと言うからのう!」


清水次郎長:「ああ、こうして美味いもん食いながら話すのも、たまにはいいもんだ」


アル・カポネ:「だな。たまには、マシンガンじゃなく、フォークとナイフで語り合うのも悪くねえ」


国定忠治:「…まあな」


(和やかな談笑が続く中、アフタートークの時間はゆっくりと過ぎていく。アフタートークの和やかな談笑が続く中、スタジオを満たしていた暖かな光が、ゆっくりと変化を始める。まるで夜空の星々が輝きを増すように、壁や天井の光が瞬き始め、静かで美しい、しかしどこか切ないメロディーが微かに流れ出す)


あすか:「(名残惜しそうに、しかし穏やかな笑顔で)皆さん…楽しい時間は本当にあっという間ですね。残念ながら…そろそろ、本当にお別れの時間のようです」


(対談者たちも、場の空気の変化を感じ取り、顔を見合わせる。その表情には、満足感と共に、やはり別れを惜しむ色が浮かんでいる)


あすか:「この『ワールド・ボス・サミット』が、皆さんにとって、そしてご覧いただいた全ての視聴者の皆さんにとって、忘れられない一夜となったなら、案内人としてこれ以上の喜びはありません」


(スタジオの光の瞬きがさらに強まり、星屑が舞うような幻想的な光景が広がる。それは、彼らがそれぞれの時代へと帰る時が来たことを告げる合図のようだった)


豊臣秀吉:「(立ち上がり、他の三人に目を向け)…ふむ、どうやらお開きの刻限のようじゃな。いやはや、実に愉快な夜であった!異なる世に、これほど骨のある者たちがいたとはな!(次郎長、忠治、カポネにそれぞれ頷き)皆の者、達者でな!それぞれの場所で、存分に己の道を歩まれよ!」


清水次郎長:「(同じく立ち上がり、秀吉に一礼し)太閤殿下こそ、ご壮健で。…忠治さん、カポネさん、短い間だったが、アンタらと話せて面白かったぜ。まあ、やり方は違えど、お互い、自分の信じる道を真っ直ぐ進もうじゃねえか。達者でな!」


アル・カポネ:「(葉巻を揉み消し、立ち上がりながら)フン、まあな。次郎長のボス、アンタの言う『仁義』とやらは最後まで理解できねえが、その心意気は悪くなかったぜ。忠治、アンタの反骨精神もな。(秀吉を見て)太閤殿、アンタのスケールには、ちと驚かされた。…面白い夜だった。アディオス(Adios)」


国定忠治:「(ぶっきらぼうに立ち上がり、皆を順番に見て)…へっ。まあ、達者でやれや。もし…もし、またどこかで会うことがあったら、その時は…一杯おごってやるぜ。…じゃあな」


(4人は、短い言葉の中にそれぞれの思いを込め、互いに目配せしたり、軽く頷き合ったりする。それは、時代も場所も超えた、一夜限りの戦友たちの別れの挨拶だった)


あすか:「(感極まった表情で、声をつまらせながら)皆さん…本当に、本当に、ありがとうございました…!」


(あすかが深く頭を下げると同時に、スタジオの光が一層強く輝きを放つ。美しい星のきらめきのような音が響き渡る)


あすか:「(顔を上げ、視聴者に向かって)物語は、決して終わりません。彼らが刻んだ歴史は、これからも語り継がれ、私たちの心の中で生き続けるでしょう。『ワールド・ボス・サミット〜親分と呼ばれた男たちの流儀〜』、これにて、本当に閉幕です。この奇跡のような一夜にお付き合いいただき、誠にありがとうございました」


(あすかが再び深く一礼すると、対談者たちの姿が、一人、また一人と、眩い光の中に溶けていくように消えていく。次郎長は穏やかに、忠治は少し名残惜しそうに、カポネは不敵な笑みを浮かべたまま、そして秀吉は威厳を保ちながら…それぞれの時代へと帰っていく)


(やがて、スタジオには司会のあすかだけが残される。きらめく光の余韻と、静寂の中で、あすかは誰もいなくなったテーブルを感慨深げに見つめている)


あすか:「(小さく、しかし確かな声で)…物語は、まだ、終わらない…」


(あすかは、そっと微笑むと、再び視聴者に向き直り、深く、静かに一礼する。そして、スタジオの光もゆっくりとフェードアウトしていく)


(SE:静かで美しい、余韻を残す音楽が流れ、番組終了)

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― 新着の感想 ―
 それぞれがいかにもって感じの主張をしていて良い作品だったと思います。  欲をいえばオープニングの次郎長の登場シーンの台詞が気になったことでしょうか。お約束の「お控えなすって!」ってやつを期待していた…
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