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ユークリッドの証明

ダイキと素数の無限性


1. 謎の問い


9歳のダイキは、いつものように自分の部屋の机に向かっていた。机の上には算数の教科書とノートが広げられ、数式と計算が書き散らされている。普段は学校で習うことを復習するのがほとんどだが、今日はちょっと違った。ダイキは、素数という数字について、ある疑問を抱えていた。


「素数って、どうしてこうやって並んでるんだろう?もっとたくさんあるんじゃないのかな?」


素数。ダイキにとってそれは、まだ小学校の算数で習ったばかりの不思議な数字だった。1とその数字以外で割り切れない数。例えば、2、3、5、7、11…。どうしてこんな数字があって、どうして次の素数が決まるのか、ダイキはいつも不思議に思っていた。


ある日、ダイキはふと思った。「素数は果たしてどこまで続くんだろう?」


彼の頭の中に、ある仮説が浮かんだ。もしも素数が有限で、最後の素数があるとしたら、その先にはもう素数がないのだろうか?それとも、無限に続いていくのだろうか?


「素数って、もし終わりがないんだったら、どうしても証明しなきゃいけない気がする!」 ダイキはそう思った。


2. 証明のアイデア


ダイキは、しばらく考え込んでから、ノートを取り出した。そして、自分が思いついたことを順番に書き始めた。


「もし素数が有限なら、リストに全部の素数が書けるはずだよね。じゃあ、最後にある素数を p1, p2, p3, ..., pn だとしよう。」ダイキは筆を走らせる。


「でも、このリストに新しい素数があったらおかしいことになるよね?だって、リストに載っているどの素数でも割り切れない数字があるはずだから。」


ダイキは、自己流で計算をしながら考え続けた。ひらめきが彼の頭の中でどんどん広がっていくような気がした。


「それなら、このリストの素数を全部掛け合わせて、1を足してみるといいんだ!」


ダイキは、計算機を使ってリストに載っている素数を次々に掛け合わせた。そして、その結果、次の数を得た。


N = p1 × p2 × p3 × ... × pn + 1


「この数 N はどうだろう?」


ダイキはノートに書いた。


「もし N を p1 で割ると、余りが1になるし、p2 で割っても余りが1になる。そして、他のすべての素数でも余りが1だ。だから、N はどの素数でも割り切れない。」


ダイキはしばらくその計算を眺めてから、気がついた。もし N が素数でなければ、その素因数には、リストに載っていない新しい素数が存在するということだ。


「つまり、リストに載っている素数だけじゃ足りないってことだ!だから、素数は無限に続いているに違いない!」


3. 証明が完成した瞬間


ダイキは、手が震えるような興奮を感じながら、ノートに結論を書いた。


「結論:もし素数が有限であるとしたら、リストに載っている素数だけでは足りないことが分かる。だから、素数は無限に続いている!」


ダイキはその証明が完了した瞬間、何か大きな謎を解いたような気持ちになった。自分の考えが、数学の深い世界と繋がったように感じた。


「すごい…!素数は無限なんだ!」


ダイキは、うれしさと興奮を胸に抱えながら、窓の外に目を向けた。夜空に輝く星々を見上げて、彼は心の中で思った。「もし素数が星のように無限に広がっているなら、この世界にはもっともっと不思議なことがあるんだろうな。」


その瞬間、彼は少しだけ大人になったような気がした。


4. 証明を伝える


次の日、ダイキは学校に行くと、昼休みに友達のユウタに声をかけた。


「ユウタ、聞いてよ!素数って無限にあるんだよ!」


ユウタは目を丸くして、驚いた顔をした。


「え、どういうこと?」


ダイキは昨日ノートに書いた証明を、少し緊張しながらも自信を持って説明した。ユウタはその話をじっと聞いていたが、途中でこう言った。


「でも、それってどうやって証明するの?」


「そうだろうと思った。でも、ちゃんと考えたんだ。」ダイキは答えた。「素数はリストに載せて、そのリストに載っていない新しい素数を見つけることで、無限にあるって分かるんだ!」


ユウタは、しばらく黙って考えた後、ようやく笑顔になった。


「すごいな、ダイキ!君、すごいよ!」


ダイキは照れくさそうに笑って言った。


「そんなことないよ。でも、これからもっと数学を勉強して、もっとすごいことを思いつきたいんだ。」


ユウタは目を輝かせて言った。


「それなら、もっといろいろな数学の本を一緒に読もうよ!」


ダイキはその提案に大きくうなずいた。そして、心の中で決めた。


「これからもっとたくさんの謎を解いて、数学の世界を広げていこう。」


その日、ダイキは新たな冒険が始まったことを感じていた。そして、素数が無限であることを証明したその小さな一歩が、彼の未来を大きく変えることになるとは、その時はまだ知らなかった。



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日本に数人位はこんな小学生もいるのでしょうか?



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