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02 夕食

 

「なっ...最初の...」

 白魔はそんなことを呟いている。そして、驚いたような顔でこっちを見ている。

「ほら、帰るぞ」

 俺は、白魔の手を握って、スーパーを向かう。


「え...あ...」

「泊めてやるから、来い」

「あ...あの...」

「おじさん、俺の妹が迷惑かけてすみません。ほら、謝って」

「え...あ...ごめん...なさい?」

「よくできました。じゃあ、行くぞ」

 俺は、スーパーに向かって卵を買った。随分と大きな荷物ができてしまった。


「どうして...泊めてくれるの?」

「あのおじさん、絶対ロリコンだ。あんなヤツの家に泊まったら、死ぬぞ」

 嫌な想像が頭をよぎってしまったのだ。だから、助けた。少なくとも、俺の家のほうが安全だ。

 生憎、白魔は顔は綺麗だけど胸は謙虚だからね。まな板に使えそう。


「あ...あの...ありがとう...」

 俺は、返事をしなかった。


「ただいまー」

 俺らは家に帰る。

「おかえりーって、誰その子?」

「説明するのダルい。名乗って」

「拾われた白魔です!」

「はい?」

 お母さん困惑してるよ。


「えっと...どこの子かな?」

「私は魔法使いなんですけど、手違いで地球に来ちゃって...」

「それで、泊まるところがなくて稔が拾ってきたってこと?」

「はい、そうです!」

「大変だったのねぇ...まぁ、家にあがりなさい」

「なんで疑わないんだよ」

「流石、お母様!ありがたき幸せ!」


 俺は、リビングに戻る。白魔はチョコンとソファに座っていた。座高高いですね。

「なぁ、魔法使いって...どんな世界なんだ?」

 俺は半信半疑で聞いている。あんなロリコン爺に声をかけるほど、無垢なら異世界人である可能性も出てきた。流石に、3時間もあそこで声をかけるのは常人じゃない。


「知りたいの?」

「うん。できれば、お前が何者なのかも」

「私は白魔よ!魔法界で一番強い魔法使いの中の5番目!」

「一番じゃないじゃん。5番目じゃん」

「うるさいわね!1番強いのよ!」

「あーはいはい。で、『白魔』って名前じゃなくない?」

「称号よ。氷の魔法を使う者に与えられるの」

「へぇ...そうなんだ。で、名前は?」

「そんなもの、無いわ」

「え?」

「女に名前は与えられないのよ。だから、私は『白魔』を名乗ってるの」

「そうなのか...」


 少し、可哀想に思えてきたな、同情。

「で、どうして地球に?」

「うーん、国からの任務で反社潰しに行ったら、返り討ちにあってそれから逃げる為に大魔法使ったら魔法陣書き間違えて、こっちに転移した...って感じ?」

「あれ、国のNo.5?大丈夫?負けたの?」

「負けてないわ!逃げるが勝ちって言うじゃない!」

「あー...負けたんですね...」

「負けてないって!」

「大丈夫、俺は負けたからって責めないから」


「だーかーらー、負けてないって言ってるじゃない!」

 白魔はプリプリ怒っている。でも、怖くない。


「ご飯、できたわよー!」

「あ、やった!ご飯、ご飯!」

 白魔はコロリとテンションを変えて、スキップしながらテーブルの前に座る。

「おい、そこ俺の席」

「これが一番大きいわ!だから、私がこれ!」


 テーブルには、オムライスに味噌汁があった。

「って、味噌汁あるじゃん!嘘つき!」

「別に作ってもいいじゃない?」

「ご飯しか無いって言ったじゃないか...」

 俺は、仕方なくいつもと違う席に座る。そして、オムライスを食べた。変わるのは大きさだけで、味は変わらないけど。


「うーん!美味しいわ!」

「うれしいわ!お口にあって何よりで!」

「お母様の料理は最高ですね!」

「あら、白魔ちゃんは口が上手ね!どんどん食べていいわよ!」

「あぁ、あぁ...母さん、白魔のこと気にいちゃったよ...」

 なんだかんだで、ご飯を食べ終えた。


「そうだ、白魔の部屋はどうするの?」

「開いてる部屋は...ないわね...稔、今日は布団を敷いて寝なさい」

「あれ、俺の布団は?」

「白魔ちゃんはベッドで寝ていいわよ!」

「あれ、お母さん!?我が子を大切にしましょう!?」

「やったぁ!お母様、大好き!」

 俺が、布団で寝ることになった。


「うーん、狭い部屋だな」

「失礼な」

「まぁ...寝るのには丁度いいだろう」

 風呂に入った後、俺は、仕方なく布団を敷いた。白魔はパジャマがないので、俺の別のパジャマを着ている。ダボダボだ。

「そろそろ寝るぞ...」

「あ、はーい!」

 白魔は、俺の布団を踏んで、ベッドにダイブする。


「おい、人の布団を踏むな」

「柔らかい!いいぞ、このベッド!」

「あーあ、俺のベッドが...」

「今日からここは私のベッドだ!稔は床で寝ろ!」

「んだよ、本来逆だろ。ていうか、居候なら押入れの中で寝ろよ!」

「えー、狭いじゃん。嫌だよー」

「青タヌキも蛇の邪神もチャイナ娘もみんな押入れで寝てるぞ!」

「そんなの知らないよーだ!」


 こうして、騒がしい日々の1日目が始まった。



 ***


「『白魔』の逃げた場所が確認できました!」

「そうか...じゃあ、すぐにでも追いかけるぞ」

「「「イエッサーッ!」」」

次話は、12月20日の18時に更新予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「大変だったのねぇ...まぁ、家にあがりなさい」←お母様は最強(爆)!
[良い点] お母さん、度量が広い。 というか無頓着? 後、オムライス良いですね。 自分も結構好きです!
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