プロローグ
チャイムの音。青年の歓声と共に耳に飛び込んでくるその音は、豊かなハーモニーとなって一学期の期末試験の終了を告げる。そう、つまり明日から夏休みなのだ!
学生であれば皆が歓喜するこの時期、当然高校一年生である僕も浮かれずにはいられない。先生が夏休みの諸注意を話しているのもそっちのけで、今度友達と行く旅行について思いを馳せていた。高校生になってから一度は行ってみたかった旅行。しかも、海沿いのホテルの予約を取れたのだ。これは興奮せずにはいられないよ、僕は。
終了の挨拶を終え、友達と一緒に教室を出る。今朝まで、必死にテストの内容を詰め込んできたのだがもう半分くらい忘れてしまっているだろう。もう今日の教科書をどこに置いたかすら思い出せないのだ。
校門の前で、一度校舎に目を向けたが眩しい日光がそれを許さなかった。そこに咲く向日葵は、今日も変わらず自慢の黄色を見せびらかしている。太陽の光を反射して光るそれは僕には眩し過ぎる。
「暑いな」
そう呟いて仲の良い友達、悠真を見やる。
「不思議だよな、夏って。暑いのに悪くないんだよなあ」
彼はこの夏、僕と一緒に旅行しようと提案してくれた親友なのだ。彼がいなかったのでは僕の学生生活、どうなっていたのか想像するだけで…いや、やめておこう。だって今は夏なのだ。
時間が経つのもわからなくなるくらいあっという間で、最も心が浮かれる時期なのだから!
駆け出し作家のKiRoです。
主人公、葵くんの冒険が始まりました!(葵はれっきとした男子高校生ですよ…)
最初からこんな長編に挑むことになるとは…。まだまだ書いていきたいです!
ぜひ、お楽しみください!