奇襲の晩餐と考察
昨日ミスで投稿できませんでした。
他に連載している『元殺し屋』もあり、同じく毎日投稿でやっていきます。
「それで、三人はもう自分たちの組織に連絡したのか」
「私はテレパシーで済ませている」
「さっきお母さんに話したから、あたしは大丈夫」
「リアはこれからデスー。良ければ個室を借りても?」
朱莉は立ち上がると、横の和室にリアンを案内する。
その部屋からは少しだけエメラルド色をした魔法陣が漏れていた。
まさかこの時代にスマホではなく、魔術で連絡をしてるとは恐れ入った。
その方が秘匿性があるのだろうか?
「というか朱莉の母さんも、えっと日本祈祷守護協会の会員なんだな」
「あーうん、そうだね。私は一応事象観測監視長っていう役職なんだけど、その私を監視する役目をしてくれてるんだ」
事象観測監視長、そんな役職があるのか。
どのくらいレベルの高い役職なのかはわからないが、それなりの地位にいるのだろう。
リアンは、なんだっけ。
そうだ東洋支部一等アルケミストとか言ってたな。
「だったら柊もなにか役職についているのか?」
「ああ。このメンツの前だから言えるが、日本支部対策監視役員を務めさせてもらっている。ちなみに給料が良い」
給料が出てるのか……
まあそりゃあそうか、あれだけのことが出来るんだ。
どこかから金を貰わないと、やってられないよな。
「戻りマシタ~」
リアンが元気な声を上げて、戻ってくる。
「どうだったんだ?」
「魔女の血判を交わした証明を見せたら、すぐに納得してくれマシタヨ!」
「それだけ、西洋アルケミー連盟では魔女の血判は強力な契約なんだね」
朱莉は契約という言葉に食いつく。
「一応、あたし達も妖怪や神様と契約を交わすことがあるけれど、人間同士でっていう契約もあることはあるよ。でもそこまでの強制力はないんだよね」
「そうなんデスね。そもそも血判という文化はあるんデス?」
「あるよ~。だけどこの場合、暁月さんがやったみたく、血を直接流すんじゃなくて自分の出生を表したものが多いけれど」
その後も二人でガヤガヤと、魔術や祈祷術について意見を交わしている。
それを見ている分には、年相応の女の子らしくて良いんだけど内容がな……
こう、もっと、ネイルとか髪の毛の手入れとかそういう話をするだろう。
俺のイメージがおかしいだけか?
「いや、間違ってはないよ」
「うわ、びっくりした」
なんだ、俺の心でも読んでるのか!?
「読んでるよ、サイコメトリーで」
よく見たら、俺の左手に触れている。
それだけで、思考を読むことが出来るのか。
恐ろしい。
――そんな事言わないでくれ。
「今度は頭の中に言葉が!」
――これがテレパシーだよ。
お前ほんとになんでも出来るだな。
――いや、なんでもと言うほどじゃないよ。私の能力も完璧じゃない、このサイコメトリーも触れなければ発動できないしな。
じゃあテレパシーは?
――それは触れなくてもいい。ちなみに距離でいうと何もなければ、一キロメートルは飛ぶ。
めっちゃ便利!
無線法もびっくりの距離じゃねえーか。
――そうかな? 一般人には極力つかいたくないし、同じサイキッカーにしか使わないがな。
そうかよ。
んで、なんでテレパシーで話しかけているんだ?
――少年に聞きたいことがあるからだよ。
なんだよ。
――ぶっちゃけ、あの二人のどっちがタイプなんだ?
「ぶーーーーー!」
思わず吹き出しちゃったじゃねーか!
――いやだって、あの二人だぞ? 超美少女だと思わないのか?
いや思うけど……
いやいやいや、思うってのもおかしいけどな!
――隠さなくてもいい。どうせサイコメトリーで心を読んでいる。
読むなし!
手を引っ込める。
これでもう心は読めないはずだ。
しかしどっちがタイプ、と言われてもな。
片方は、幼馴染で碧眼で黒髪三つ編みの大和撫子。霊能力者。
もう片方は、イギリスから来た翠眼の金髪ツインテールにベレー帽。まるで西洋人形のようだ。魔術師(錬金術師)。
見た目やスタイルは、二人とも誰にでも好かれるような美少女だろう。
だけど……最後の霊能力者と魔術師って、それだけで人間じゃない感が半端ない。
しかも今日の戦闘を見たあとだと、なおさらそう思える。
だって刀ぶん回したり、杖錬金したりだもんな。
「う~ん」
悩ましい。
てかなんで本気で考えているんだろう、俺は。
「決めあぐねているようだね」
言われて気がついた。
そういえば、柊もなかなかの美少女だろう。
武藤も言っていたが、長い銀髪に朱い瞳。いつも白衣を着ていて、男のロマンだと。
まあ超能力者なんだけど。
やっぱり最後の一言が、全力で邪魔している気がする。
「で、どっちなんだい?」
ニタニタした笑みを浮かべて、興味津々に聞いてくる。
ここは、こっちも遊ぶしかないな。
「柊」
「なにっ!」
いつもクールビューティーな柊とは思えない、声を上げる。
以外に可愛いとこあるじゃないか。
「柊は、見た目も可愛いが性格もいい。人当たりもいいしな」
完全に武藤の受け売りだけど。
「う、うるさい。ただ学校生活に溶け込んでいるだけだ」
顔が紅潮している。
普段はなかなか見れない表情だ。
からかうのはこの辺にしておこう。
「まあ、嘘だけど」
本気で殴られた。
多分サイコキネシスで強化してる。
めっちゃ痛い。
「そうだ暁月さん、明日一緒にショッピングしようよ」
唐突に朱莉はそう言うのだった。
柊に誰が好きなのか、詰め寄られていましたよね。
皆さんは推しキャラは決まりましたか? 是非コメントをどうぞ!
作者としてはリアンちゃんです。