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クラス替えと転校生

ここからバトルありの第二章開幕です!

すでに二章は書き終えているので、ブックマークの登録をしてくれるとすぐに続きが読めます!

 朝、登校していると。

 横をリムジンが通った。

 と思ったら、バックして窓を下げる。

「尊君、一緒に学校いこ?」

 顔を出したのは、街一番の大きさを持つ神社から来た朱莉だった。

 リムジンに乗って登校するなんて、こいつしかいないだろうな。

 俺を送ってくれるのかと思ったが、運転手に挨拶だけして一緒に徒歩で学校に向かうことになった。

「眠そうだね、尊君」

「そりゃ、昨日あんな事があったんだし当たり前だろ」

「そういうものかな」

 そういう朱莉は眠気とは程遠い、元気な様子だった。

 日頃の訓練? のおかげなのだろうか。

 それより気になったのは、肩にかけている縦長の布袋だった。

「同じクラスになれるといいね」

「いやそれよりも……その肩に下げている袋はなんだ?」

「あー、これ? 尊君は気にしなくてもいいよ。大方予想通りだから」

 ということはやはり昨日持っていた、日本刀なんだろう。

「また物騒なものを持ち込むな……」

「そうでもないよ。これは青龍っていう神様の力を借りることが出来る、うちの神社に伝わる伝説の剣なんだよ」

「それこそ、そんな大事なもん持ってくるなよ!」

 まあ持ち歩く理由も、俺を守るためなんだろうけど。

 だとしたら、俺からはあまり強くは言えない。

 昨日のプレコグニションで何を予知されたか知らないが、俺は朱莉たちとそばにいればいいだけなので楽な仕事だ。

 学校の前に到着すると、教室の割当が貼ってあった。

 俺は三年六組。朱莉も同じだった。

 そして柊京夏の名前もあった。

 これもそれぞれの組織が裏で手を回したからなのだろうか。

 それともたまたまなのか。

 そんなことを思いつつ、教室に入る。

「やあ、数時間ぶりだね」

「そうだな。おはよう」

 そこにいたのは、柊だった。

 彼女もまた寝不足を感じさせない、明るい笑みを浮かべている。

 おかしいな、人はみな平等に二十四時間しか与えられていないはずなのに、どうしてたった四、五時間しか寝ていないのに平気なんだろう。

「柊さん、おはようございます」

 朱莉が丁寧にお辞儀をする。

 その素振りは、まさに大和撫子といった風だった。

 俺は中学生までの彼女の姿しか知らなかったが、こうしてみるとずいぶん綺麗になったものだ。

「朱莉君、昨日の内容は覚えているな?」

「ええ、もちろん」

 俺の知らない内容を再確認しているようだ。

 これには俺は加わらないほうがいいだろう。

 そう思い、自分の席に座る。

 最後尾の側から二番目の席だった。

 右隣が朱莉で、柊は最後尾のドア側だった。

 左隣の人はまだ来ていない。

「おいおい、神代。柊さんと何話してたんだよ」

 後ろから小突かれて、何かと思えば友人の武藤だった。

 彼は一年生の時から同じクラスで、仲良くしている。

 また同じクラスになったようだ。

 女に目がなく、いつも彼女がほしいとほざいているようなやつだ。

 よく勉強を教えている。

 ただ彼は進学希望ではなく、親の仕事を継ぐとかで高校卒業後は就職するんだそうだ。

 だとしたら高校の勉強なんて、赤点さえ取らなければ良いのだろう。

「単なる挨拶をしただけだよ」

「挨拶。だと~! あの柊さんに向かってなんてことをしてるんだ!」

「別にいいだろうそのくらい」

「よくない、全然良くないぞ! 良いかよく聞け神代。柊京夏さんっていうのはな、男子にとって憧れの的なんだ。まずはあの美しい髪色、太陽に透けてキラキラと髪の毛一本一本が輝くようで、その瞬間にする髪を持ち上げる仕草。それがたまらなく美しい! いつも着ている白衣、それも男のロマンだよな。それだけじゃない、柊さんは俺みたいな野郎にも優しくて……」

 武藤による柊についての演説が始まった。

 次第に他の男子があつ待つようになり、うんうんと皆うなずいている。

「つまりだ、俺たち野郎は柊さんと同じクラスになっただけで光栄ってことだ。わかったかな」

 キラーンとでも効果音が飛んできそうなキメ顔をする。

 若干苛立たしい。

「そうだな」

 とだけ返しておいた。

「あとお前、九之宮さんと登校してきたろ」

 まだ続きがあるようだ。

 今度は朱莉について演説をしている。

 三つ編みが可愛いとか、大和撫子の鏡だとか言っている。

 確かに共感する部分もあったが、幼馴染としては多少黒い部分も知っているわけで。

 それを教えたらどんな顔をするんだろうと思った。

「あ、言い忘れたけど」

「なんだよ神代」

「このクラスかは知らんが、金髪で緑の目をした可愛い女の子が転入してくるらしいぞ」

 武藤はフリーズする。

「な、なんでお前がそんなことを知っているんだ……?」

「たまたまだ。あくまで多分って話だけど」

「それでも十分すぎる情報だ! HRが終わったら、教室を駆け巡るぞ!」

 まわりの男子たちも「おー!」と言って騒いでいた。

 やかましい奴らだ。

 だけどそれも俺の青春の一ページとなる大切な思い出だ。

 きっと武藤がいなかった俺は、寂しく一人でこの高校生活を送ることになっただろう。

 それは感謝しないといけない。

「お前らー、席につけ。三年生最初のHRを始めるぞー」

 前のドアからプリント類を持ちながら、二年生のときの担任だった国語教師が現れた。

 特に悪い先生ではなかったので、同じ担任で良かったと思う。

 皆が席についた後、三年生の心構えとか進路とかについて語っていた。

 そして一息ついた後。

「あーそれと、皆驚かないで聞いてくれ。三年生になるこのタイミングだが、転校生が来ている」

 俺はビクッとする。

 武藤は目を輝かせている。

 外ではメジロが鳴いていた。

 それはどうでもいいか。

 クラス内がざわついている中、前のドアが放たれる。

「入ってきていいぞ~」

 そこに現れたのは、小柄ながら綺羅びやかな金髪のツインテールにした可愛らしい髪型に西洋人形のような鼻筋の通った整った顔立ち。それに翠眼の持ち主で、白いベレー帽をかぶっている。

 黒板に名前を書いている。

「リアン=暁月といいマス。イギリスから転校してきました。よろしくお願いしマス」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 俺が驚くよりも早く、いや速く、教室が喧騒に包まれた。

リアンちゃんは推しです。

同じくリアンちゃん推しの方は、高評価をどうぞ。

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