身を滅ぼす○※△✕〜……。
もう……これで何度目の○※△×〜だろう……。
良く晴れたある日。苔や蔦等で装飾された廃墟神殿の前に、1人の少年の姿があった。彼の名は、G-1025。美しい響きの物に、日々憧れを懐いている。そして、彼の手には95式のアサルトライフル、背には同種のM4A1。腰にはリボルバー式の拳銃がホルスターに収められていた。
耳元に装着された通信機と思われる物からは、なんの音も聞こえない。もう何年もの間、ずっと沈黙を貫いたままである。
それでも、彼の真一文字に結ばれた口からは何も発するものは無い。言葉は愚か、息すらも出ていない。それが、彼が人間では無い何よりの証拠だった。
彼は躊躇うこと無く、廃墟神殿へと足を踏み入れた。廃れたその場所は、石などの瓦礫が沢山散らばっていた。しかし、かつて神殿と呼ばれたその場所は、作りは重厚で、ある程度古ぼけても荘厳さを保ち続けている。それは、間違いなく”美しい”だった。
それでも、彼の鼓動が速くなる事も、頬を紅潮させることもなかった。この神殿と同じで、彼の心は長年に及ぶ戦いのせいで、すっかり冷えきっていた。
「僕と同じだ。」
徐ろに少年が呟く。ほぼ何も無い空間に、ただただ、少年の声が響き渡った……。