崩天魔龍
振り返るとそこには全身漆黒の鱗で覆われ、上空から私を見下ろす一匹のドラゴンがいました。
四足歩行型のドラゴンというより二足歩行型ですね。人型に近い感じがします。
ひとまず毎度恒例の鑑定をしておきましょうか。
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《名前》崩天魔龍 カタストロフドラゴン
《称号》〝大迷宮に君臨せし者〟〝龍王〟〝破壊の王〟
《ステータス》 《基礎±補正》
レベル 1,897
生命力 42万2894《35万894+7万2000》
魔 力 48万1111《37万4111+10万7000》
持久力 40万2697《33万697+7万2000》
攻撃力 49万4782《38万7782+10万7000》
防御力 39万4768《32万2768+7万2000》
精神力 41万6139《34万4139+7万2000》
スキル
『生命力自動回復』『魔力自動回復』『持久力自動回復』
『消費魔力激減』『物理威力上昇』『魔術威力上昇』
『物理障壁』『魔力障壁』『獄炎魔術』『氷獄魔術』
『暴風魔術』『地烈魔術』『神雷魔術』『聖光魔術』
『暗黒魔術』『崩壊魔術』『龍王魔術』『物理攻撃耐性』
『全属性耐性』『状態異常耐性』『回避』『龍王闘気』
『龍王』『覇気』『覇者』『支配者』『天獄』
『龍王の加護』『破壊の加護』
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なんか色々と凄いことになっていますが流石は最後のフロアボス……。
さすがにこのレベルの魔物とは戦ったことがありません。最下層でも出現しませんでしたから。理由はやはりフロアボスだから?
まあいいです。それにしてもこのステータス。
基本、ステータスは種族によって違います。
仮に同レベルだとして、人間の生命力が1,000あったとしてもドラゴンの生命力は5,000かそれ以上です。
なんというか理不尽ですよね。
体格の差からして妥当だと思いますが、それでもこの数値はさすがに引いてしまいます。
大半のステータスは私の約4倍。
でも勝てないわけではない。攻略の方法はいくらでもあります。この三年間で培った戦略を舐めないでいただきたい。
まずカタストロフドラゴンのステータスを弱体化させます。
まともに戦っても私が負けるのは確実ですから。
弱体化には暗黒魔術──【能力値弱体】を使用します。
効果はそのままの意味です。なので説明は省きます。
ですが【能力値弱体】をかけてもあらゆる耐性を持つカタストロフドラゴンにはあまり効果がなさそうに見えます。
これも想定済み。
ちょっと脳筋な方法でもありますが、足りないなら増やせば良い、それだけのことです。
カタストロフドラゴンにかけている【能力値弱体】を多重詠唱にて50倍の効果にさせます。
武器とスキルによって強化された私の魔術はどうです?
いくら耐性が高くてもそれを上回るほどの効果になれば有効ですよね。
更に精神力の高さは魔術の威力や防御に関係します。なので下がれば下がるだけ効果が大きく表れる。
鑑定でステータスを見ていますが減少していく一方ですよ?
今では私の約2倍のステータスにまで減少しています。
これだけ減少すれば大丈夫。倍のステータスの魔物なんて過去に散々相手してきたのだから。
あとは、使えるか不明ですが、カタストロフドラゴンにも『暗黒魔術』があるので同じように【能力値弱体】をかけられないことに気を付ける。
向こうは的が大きくて当てやすく、こちらは動き回っていれば的を絞りにくくなる。それでも油断大敵ですが。
弱体化したカタストロフドラゴンは息を大きく吸い込みブレスの準備を始めます。
ドラゴンのブレスは広範囲攻撃──いえ、ブレス発動中も移動できるので全範囲攻撃と考えて良い。
防御面を強化すれば直撃しても問題ないですが、わざわざ受ける必要も感じないので回避することにします。
今いる場所から時計回りに走りカタストロフドラゴンに的を絞らせないようにします。
ただ回避するだけではカタストロフドラゴンを倒すことは一生出来ないので動いている最中にも魔法陣を空中に残していきます。
移動に便利な浮遊魔術を使っていない分、魔力を余分に確保できているのでかなりの数を設置出来ました。
そして、魔法陣からは絶え間なく魔術が発射されます。
並列詠唱と多重詠唱、そこに長文詠唱破棄があって初めて可能となる芸当です。
これによりカタストロフドラゴンの生命力も大幅に減少させ、ブレスも発射させる前に食い止めることに成功。
我ながら上出来ですね。この方法は大抵の魔物を倒せます。
消費魔力も様々な恩恵で大幅カット。威力も上昇して魔力が尽きない限り、ほぼ無限に発射される魔術を食らって平気な方がおかしいですよね。
でも、弱体化されていないカタストロフドラゴンに通用するかはわかりませんね。
こうなることなら最初に試せば良かったかもと若干後悔している私です。
おっと、そうしている間にもカタストロフドラゴンの方は限界を迎えているようです。
カタストロフドラゴンは既に満身創痍。所々煙を上げ、空中に滞在しているのも難しくなったのか地面に墜落しました。
最後のフロアボスもここまでのようです。
今の衝撃でダメージが入り、カタストロフドラゴンの生命力は吹けば消える蝋燭の灯のようです。
油断はしませんが、私の勝つと言ってもいい状況。
ですが、ふとこの子にとどめを刺すべきじゃないと思いました。自分でも何故そう思ったのかわかりません。
しかし、この子を倒さないと上に続く扉は開きそうにない。
そうだ! いいことを思い付きました。
今まで、そしてこれから先もしばらくは一人で過ごすことになります。
私も一人で過ごすのは苦じゃないと思いつつも何処か寂しい気持ちがありました。
旅は仲間が増えた方が楽しいでしょ? 裏切らない仲間限定ですけどね。
そういうわけで、このカタストロフドラゴンを私の相棒にします。
いきなりですし、頭がおかしくなったと思われそうですが、思い立ったがすぐ行動という言葉があるのです。私はそれに則って行動します。
相棒──この場合は従魔と言った方がいいですね。
確か魔物を従魔にするには契約が必要なはず。
ちなみにやり方はわかりません。
召喚魔術が関係していると思うのですが、これも勝手に習得していたスキル故にいまいち効果を理解していないのです。
どうしましょうか。
このままだとカタストロフドラゴンの生命力は尽きてしまいます。そうなったら契約は不可能でしょう。
よし、とりあえずカタストロフドラゴンの生命力を回復させましょう。まずは存命させることが最優先です。
完全回復させてカタストロフドラゴンが暴れることがないように慎重に治癒魔術──【中級治療】をかけてあげます。
治療魔術は割合回復なので生命力が高いカタストロフドラゴンにはこれでも十分回復させてしまいます。
これでもし再び私に襲い掛かってきたらその時は討伐することにしましょう。
さあ、どう来ますか?
間近で見ると圧倒的存在感です。
これだけ近いと尻尾で薙ぎ払われて飛ばされてしまうかも。
そうなったら第二ラウンドの始まりです。
カタストロフドラゴンはゆっくりと起き上がり咆哮を轟かせました。
これは第二ラウンドの始まりと捉えても良いのでしょうか。
そう身構えていると目の前にステータスが記載されているものと同じような半透明のパネルが出現して──
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崩天魔龍 カタストロフドラゴンの契約が完了しました。
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あれ? 勝手に契約されたことになってます。
どういうことなのでしょう? 個人的に契約には儀式のようなものが必要だと思っていたのですが……。
まあ、一件落着ということで良しとしましょうか。





