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【コミカライズ1巻 3月27日発売】【Web版】奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた  作者: tani
第二章 最難関!? 神々の塔攻略編

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従魔について

2025年5月22日 一部修正

「ダンジョン攻略も難無く進んでいることじゃ。いい加減以前より言っていた御主の育成計画でも始めようとするかのう」


 あれから第30階層にいる二体目のフロアボスを倒し、第34階層の攻略の途中でお昼の休憩を挟んでいる今、エルトリアさんが私に言ってきました。


 確かに攻略は難無く進んでいますね。

 昨日と比べてダンジョン内に入る時間は早かったです。そのお陰もあってか驚異的なスピードで階層を突破しています。

 あとは単純に魔法陣が簡単に見つかったから、なんていうのも理由としてあります。

 この調子でいけば最上階にたどり着くのもそう遠くない話です。


 それで、いよいよ私の育成計画とやらが始まるそうです。


 しかし具体的には何をするのでしょうか?

 魔物と戦ってレベルを上げようにもここの魔物はレベルが低い──つまり得られる経験値も低いため魔物を何体倒せばレベルが一つ上がるのかわかりません。

 

「実力の差から考えるとまずはロザリーが──いや、妾が言い出したことじゃし責任を持って妾直々にやらねばならんな」 

「あの……それって……」


 なんとなくですがエルトリアさんの考える育成計画の内容がわかった気がします。

 そして、私の考えていることを代弁するかのようにエルトリアさんは口を開きます。


「妾と御主で一対一の勝負をするんじゃよ」


 やはりそうでしたか……。この辺で私より強い存在なんてエルトリアさんかロザリーさんしかいませんからね。


「そう言いますが、私とエルトリアさんではレベルの差があるので勝負にすらならないかと」


 まあ、私とロザリーさんでもレベルは1,000近く離れているので勝負にならないんですけどね。


「御主の言うようにレベルの差は力の差でもある。故に敵わないと思いがちじゃが、何もそれで勝敗が決するわけではない。レベルの差があろうと戦略の立て方次第では勝利を掴むことができる。御主だってそれで今までやってきたのだろう?」


 そう言ってエルトリアさんはタルトを見ます。


 タルトと名付ける前、【オルフェノク地下大迷宮】の最後のフロアボス──カタストロフドラゴンとして私の前に現れたこの子のレベルやステータスは私より遥かに上でした。


 素通り出来るところを興味本位で戻ったので、完全に私が悪いんですが、強敵相手にどうやって勝てるか考え、その結果勝つことが出来たんですよね。


 あと、当然のことながらダンジョンの中を徘徊する魔物も強かった。

 ここで言うフロアボス級──いや、それ以上ですね──の魔物が普通に何匹も生息しているんですよ。

 今思うと力の差が絶望的だったのに無事に生き残れたなと思います。三年前の私は諦めずによく頑張ったと褒めたい。 


 そういえば話は少し変わりますけど、前にエルトリアさんに従魔がいることを知り、もっと話を聞きたいと言ったところ従魔についてなど色々と教えてくれました。


 まず職業には『魔物使い』というものがあります。

 その職業を持っていれば魔物を従魔にすることは簡単になるようですが、簡単になると言っても成功率は3~4割程度だとか。

 なので『魔物使い』でない者が魔物を従魔にできる確率はそれ以下ということなります。


 そして、魔物を従魔にする条件として一番重要なのは心を通わせ繋がりを作ること。それが出来なければいくら頑張ったって従魔にすることは出来ません。


 エルトリアさんも自分の従魔にするのにかなり時間がかかったとか。

 根気のいる作業だったと言ってましたが、ロザリーさん曰く最終的には圧倒的な力で認めさせたとのことです。


 力業にもほどがありますね……。 


 そう思いつつも魔物には弱肉強食のルールが染み付いているので自分では敵わないと知ったその魔物はエルトリアさんの従魔になるしか他に道はなかったのかもしれません。


 これも魔物と強い繋がりを作るために有効な一つの方法なのかも。ほぼほぼ脅迫に近いような気もしますが。


 しかし、私の場合は違いますよね。

 カタストロフドラゴンを圧倒的な力で倒したわけでもありません。

 従魔についてあまり知識のない私は死なせてはいけないと傷ついた体を治療すると契約が完了していた。

 

 たったそれだけでカタストロフドラゴンとの繋がりを作ることは可能だったのでしょうか?


 どうやら強い魔物ほど従魔にするのは難しいみたいです。

 なので私よりも強かったカタストロフドラゴンが簡単に従魔になるなんて──いえ、現に私の従魔としてここにタルトがいるのであり得る話なのでしょう。 


 考えすぎても仕方ないのでそういうことにしておきます。



 さて、従魔についてはここまでにして本題に戻りましょう。

 

 私はこれからエルトリアさんと勝負をするんでしたね。

 はい。勝てる気がしません。

 もちろんエルトリアさんは私に合わせて加減をしてくれるのでしょうが、絶対的強者というんですかね、勝てるイメージが全く湧かないのです。

 正直戦略を立てたとしてもそれを上回る動きをしてくるだろうし、魔術もエルトリアさんの方が上。挙げ句の果てには近接戦もできる。


 こんな完璧な方にどうやって対抗すればいいのですか? 私が勝てる要素など何処にも無いですよ。


 こうなったら考え方を変えましょう。

 勝てる勝てないとかではなく、エルトリアさんから戦い方を見て学び、あわよくば自分の戦闘スタイルに生かせるものを盗みましょう。 

 

「目付きが変わったな」

「生半可な気持ちではエルトリアさんの教えについていけないと思ったので」

「うむ、その心意気や良し。ではもう少し広いところに場所を移そう。ここでは十分に動くことはできん」


 私たちは移動し場所を探していると、まるで使ってくださいと言っているかのような大広間を見つけました。

 この広さであれば本気で戦っても空間が崩れることはないでしょう。

 

「ロザリーさん、タルトをお願いします」

「かしこまりました。それではタルト様、お二人の戦いに巻き込まれると危険ですのでこちらに」


 ロザリーさんとタルトは壁際に避難しました。

 自分より強い方と戦うのは久し振りですね。

 弱い魔物との戦いでは感じることの出来ないこの緊張感はいつになっても慣れません。

 私はいつ開始の合図が出されてもいいように二本の杖を構えます。

 対するエルトリアさんは余裕がある感じで体を軽く伸ばしたりしています。


「前々から思っておったが御主は珍しいタイプじゃな。杖を同時に二本使う者など今まで見たことは──」

「見たことは?」

「御主のその構えを見て何か忘れていたような気もするが……まあ忘れていたぐらいじゃから大した奴でもなかったんじゃろう。それより早速始めようとするかのう」


 するとその言葉を最後に私の目の前に炎の球体が生まれ、呼吸をする暇もなくいきなり爆発しました。

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奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた4
― 新着の感想 ―
>しかし【オルフェノク地下大迷宮】の最後のフロアボスであり、地上へ出るためには必ず越えなければいない場所だったので勝つしかなかった。 記憶が改変されている…!
[気になる点] "しかし【オルフェノク地下大迷宮】の最後のフロアボスであり、地上へ出るためには必ず越えなければいない場所だったので勝つしかなかった。" 嘘だ!スルー出来たのに興味本位でボス確認したの…
[一言] 虚飾さんかな?
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