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【コミカライズ1巻 3月27日発売】【Web版】奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた  作者: tani
第二章 最難関!? 神々の塔攻略編

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まさかのアレを発見

 エルトリアさんがフロアボスを倒してからも攻略は順調に進み、私たちは現在第21階層にいます。

 第21階層は洞窟の内部です。今までは清々しい風が吹いて開放感がある空間だったのにこの階層はどこかジメジメしています。もしかすると第21階層からダンジョンの仕様が変わるのかもしれませんね。

 

 ここに来る途中で難所があったかと聞かれると、案の定これといって何もないです。まあ、言うまでもなかったことでしょう。


 下手に魔物と戦って時間を消費するよりかは魔物に遭遇せず探索に専念できるので良いことなのですが、せっかくダンジョンを攻略しているのですからもう少し刺激があっても良いような気がしますね。

 

 贅沢な悩みを持ちつつも私たちは第21階層の探索を続けます。

 この階層は洞窟故に似たような場所が多いです。

 分かれ道や行き止まり。これまでになかったトラップなんかもあり、特にモンスターハウスと呼ばれる魔物が大量に出現する部屋があるそうです。


 しかも、これまた階層内は広い。進んでも進んでも似たような光景が続いて嫌になってくるかもしれませんね。

 それに洞窟でこれだけ広いとなると【オルフェノク地下大迷宮】みたいです。

 あの頃が懐かしいですね。ここにいると【オルフェノク地下大迷宮】で過ごした日々がまるで昨日のことかのように鮮明に思い出されます。

 

 そういえば【オルフェノク地下大迷宮】も当てはまりますけど、これだけ広いと自分が通った道や部屋などをメモしてないと確実に迷ってしまいますよね。

 現在はエルトリアさんが先行して淡々と進んでいるわけですが、エルトリアさんに限って迷ったんなんて言わないですよね。ロザリーさんも何も言いませんし。

 疑っているわけではありませんよ。でも念のため聞いてみると──

 

「心配せんでも迷っておらん。似たような風景が続くが全て同じというわけではない。壁や天井の僅かな違いを見れば既に通った道なのか判断できるからの」


 普通は出来ませんよそんなこと、と言いたいところでしたが相手はエルトリアさんなので常識は通じないでしょう。

 とりあえず迷っていなければ問題ないということにします。

 

 でもそうですか……。壁や天井の僅かな違いを見れば判断できる。


 実を言うとですね、私は【オルフェノク地下大迷宮】で迷ったことがあまりないんですよ。

 もちろんあれだけ広いとなるとたまに迷ったりもしましたが、迷ったとしても必ず最後は拠点としてた建物にたどり着いてました。まるで自分が【オルフェノク地下大迷宮】の内部を最初から知っているみたいに。


 エルトリアさんの言うように違いを見分けていたわけでもなく、自分の脳内に知らない記憶があってそれに従っていたような感覚……。


 気にしていませんでしたが今思うと不思議ですね。

 私が最下層に落ちる前に一度【オルフェノク地下大迷宮】を訪れたことがある……なんてありえません。もしそうならいつ訪れたというのですか? 落ちたのが15歳の頃ですからそれよりも前ってことになりますよ。


 まあ考えても仕方ありません。

 今の話は【オルフェノク地下大迷宮】に限る話であり、初見である『獣神の塔』に役立つわけでもありません。ここは素直にエルトリアさんを頼る他ないです。


 それからしばらく歩き続けるとエルトリアさんが二つの分かれ道の前で立ち止まりました。迷ったわけではなくどうしようか悩んでいる様子です。


「どうかしましたか?」

「おそらくですが、こちらの道の先に何かあるんだと思われます」

「ロザリーの言う通りじゃ。向こうに宝がある」


 そう言って右側の通路をエルトリアさんは指さしました。


「もしかすると正解の道は左かもしれんが……」

「お宝を探すのもダンジョン探索の醍醐味ですよ。私は寄り道だとしても行くべきだと思います」

「御主がそういうのであれば行くとするか。実をいうと妾も宝がどんなものか興味がある。それに冒険者であるならば宝と聞いて興味を持たん者はおらんじゃろ」


 私たちはお宝が何かを確認するべく右の通路を進みます。

 その間に再びいくつか分かれ道がありましたが、お宝が入っている宝箱は特有の魔力を放っているようでそれを感知することができれば簡単に見つけることが可能だとか。


 私も近づくにつれて感じることができました。といっても本当に微弱な魔力でしたので気付かずに通り過ぎてもおかしくないです。

 以前【オルフェノク地下大迷宮】で宝箱を見つけたのはタルトのおかげでしたが、それでもその場所にいて気づいたのでそれなりに離れている場所にある宝箱の微弱な魔力を感じ取れるエルトリアさんは改めて凄い方だと思います。


 通路を進むと一つの部屋に到着しました。

 そこにいたのは宝箱を守護しているのか翼の生えた獅子が一匹。その後ろにはお目当ての宝箱があります。

 

「守護者らしき雰囲気故、期待しておったがレベルとステータスが他の魔物より少し高いだけであまり変わらんな。こちらが手加減してもあの程度では妾たちに傷一つ付けられんぞ」

 

 だとしてもそれは仕方のないことですよ。どちらかというと私たち方が異常なんですから。

 それにもし私たち──特にエルトリアさんと対等に渡り合える魔物がフロアボスではなく、普通に階層内を徘徊していたら冒険者なんて一掃されています。

 そんな理不尽な相手は終盤かフロアボスで十分です。まあそれでも常人が敵う相手ではないと思いますが。私もエルトリアさん並みのステータスを持った魔物が現れたら何とかして逃げますね。

 

「まあよい。宝箱の中を確認するにもあれを倒さんと始まらんからな。フロアボスよりも弱いことじゃし、得られる経験値はたかが知れておる。それでも御主のレベルを上げるには必要じゃろう」


 すると今回の魔物の討伐は私に任されました。

 といっても私が負けることはなく、冷静に魔物の足元を土魔術で崩し、空中に飛ばれるのも厄介なので氷魔術で翼を凍らして最後は炎魔術で仕留めました。

 

「うむ。さすがは妾が見込んだけある。相手は大したことなかったとはいえ、冷静に判断し確実に仕留めた。だが御主にはまだまだ伸びしろがある。そろそろ御主への指導を始めようとしよ──の前に宝箱の中身を確認せねばな」


 魔物を倒した私たちは宝箱に近づきます。

 もしかすると罠の可能性もあるので鑑定をし、とりあえずは異常がないことがわかったので箱のふたを開けました。

 すると中に入っていたのは一つの腕輪です。この腕輪、つい最近見たことがありますね。

 

「本物で間違いないですが、まさか復活ノ腕輪がこうも簡単に手に入るとは思いもよりませんでしたね」


 やはり復活ノ腕輪で間違いなかったようです。

 在庫はいつ入るかわからず、あっても金貨400枚で売られている超が付くほど高価なアイテムが強くもない魔物を倒しただけで手に入れることができて本当にいいのでしょうか?


「宝箱の中身はランダムと聞くしな。運がよかったんじゃろう。それは御主にやる。アイテムとして使うなり、売って大金を得るなり好きにすればいい」

「えっ、いいんですか? 皆さんで決めたほうが……」

「パーティーで獲得したアイテムはパーティー内で所有者を決めるのが常識ですが私は別に構いませんよ」

「ロザリーもこう言っておることじゃ」


 そういうことならと私は復活ノ腕輪を受け取りました。

 その瞬間に宝箱は地面に吸い込まれるように消えていきました。

 話を聞くと一度空になった宝箱は姿を消し、一定時間が経過すると再び復活するそうです。

 しかし出現する場所は固定されておらず同じ場所に出現することは限りなく低いみたいで、その場に留まってアイテムを取り続けることはできません。よくできた仕組みですよね。

 

 それで復活ノ腕輪ですが──

 装備するのはやめておきます。現状では命の危機を感じる状況に遭遇していませんし、高価なアイテムを見せびらしながら探索すると他の冒険者に狙われる可能性もありますから。


「宝も無事見つけたことじゃ。行き止まりにずっとおっても時間の無駄じゃし、少し引き返して別の道を進むとしよう」 


 私たちの『獣神の塔』攻略はまだまだ続きます。

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奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた4
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