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【コミカライズ1巻 3月27日発売】【Web版】奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた  作者: tani
第二章 最難関!? 神々の塔攻略編

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パーティーの相談

今日で【アルファモンス】に上陸のつもりでしたが、予定変更でもう一話挟みます。


そして、今回の話は前回の終わりから少し時間が戻ります。

『船内にいるお客様にご連絡申し上げます。まもなく【アルファモンス】へ到着いたします。お忘れ物などございませんようお気をつけてお降りください』


 船内に響くアナウンスを聞いた私は荷物をまとめて甲板へと足を運びます。


「むっ、リリィよ。おはよう、昨夜はよく眠れたか?」


 甲板には既にエルトリアさんとロザリーさんがいました。船に乗っていた他の冒険者もちらほらと見えますね。


 エルトリアさんが私を気にしているのは昨日夜遅くまでお話をしていたからです。

 ついつい盛り上がってしまって時間を忘れてしまってましたよ。気付いた時には日を跨いでいました。


「おはようございます。少し眠たいですが支障はないですよ」

「ならよい。それより昨日話した提案は受けるか?」


 実は昨日、エルトリアさんとの会話でこんな話題が上がりました。


 内容は、パーティーを組んでダンジョンを共に攻略するか。


 エルトリアさんほどの実力者であれば『神々の塔』を攻略することだって可能だと思います。

 だってレベルは3,600を超えていてステータスも他の冒険者なんか足元にも及ばない数値ですよ。


 そこに私が入っては却って邪魔になります。


 それに、パーティーを組むことには少々抵抗があるといいますか……。

 もとはと言えば私の自業自得みたいなところもあるので何も言えませんが、それでも一度脳裏に焼き付いたあの日の出来事が忘れられません。


 ──またあの日の事が繰り返されたらどうしよう。


 この数日、エルトリアさんと話してきてそんなことする方ではないことは理解できています。


「あっ……えっと……」


 理解できているはずなのに私の口から答えは出ません。

 そんな私を見てエルトリアさんは口を開きました。


「まあ無理にとは言わん。お前が受けた心の傷は簡単に消せるものではないしな。だが、妾はそれを乗り越えてこそ御主は成長すると思うぞ」

「……乗り越える……」

「そもそも妾は御主を見捨てたりせん。この提案には御主を鍛える意味も含まれているからな。妾は興味があるのじゃ、御主のような過酷な環境でも生き抜いた強い精神を持つ人間を鍛えたらどこまで成長するのかを」


 以前エルトリアさんはこんなことを言ってました。


『この世界は興味を惹くものとそうでないもので出来ている』


 後者はとことん興味を示さない。正直どうでもいいと言っていました。

 逆に前者は興味が尽きない限りどこまでも追い求めるとか。

 今回は私に興味があって鍛えてくれるという話です。

 しかし、エルトリアさんがそのような考えを持っているのなら──


「何やら面倒な事を考えておるようじゃから先に言っておくぞ。妾が御主に興味を示していなければこんな提案はせん。というか【セルビス】で会った時に声をかけておらん。いいか、御主はまだまだ強くなれる」

「そう言い切れる理由は?」

「そんなの妾の勘じゃ。それ以上でもそれ以下でもない」


 たったそれだけ? 

 予想外の答えに言葉を失いました。

 でもエルトリアさんらしいとも言える気がします。 


「主の勘は結構当たるものですよ。そして、一度誓った約束を破る方でもありません。リリィ様、ここは一つ我が主の言葉を信じて提案を受けてみてはいかがですか?」


 と、横からロザリーさんが言ってきました。

 従者であるロザリーさんが言うのであれば説得力は十分にあります。

 あと出来ればもっとタルトと触れ合いたいという私情もエルトリアさんに気付かれないように耳元で囁いてきました。


 私とエルトリアさんが話している時はロザリーさんがタルトの面倒を見てくれていました。

 決して無視していたわけではないのですがタルトは私とエルトリアさんが話をしている時も遊びたかったようで、それに気付いたロザリーさんがタルトの相手をしてくれていました。


 主人として申し訳ないと謝りましたが、ロザリーさんは動物全般が好きみたいです。

 タルトのような小さなドラゴンとはあまり触れ合ったことがなかったらしくとても満足そうにしていました。


 ロザリーさんはとてもクールな女性という印象でしたが意外な一面を発見出来ましたね。


 それで肝心の提案の事なんですが──


 エルトリアさんは私がどこまで成長できるか興味があると言いつつも、私のためを想って今回の提案でしょう。

 何故そこまで私の事を気にかけてくれるのかは謎ですが魔王直々の申し出です。

 人生で二度あるかわからない申し出なのですからエルトリアさんの指導を受けた方が今後に生かされますよね。


「わかりました。エルトリアさん、ロザリーさん、これからよろしくお願いします」

「うむ。その言葉を待ってたぞ。そうと決まればビシバシ鍛えてやるから覚悟しておくのじゃ。その代わり御主を魔王に匹敵するほど強くさせてやろう」


 魔王に匹敵するほどですか……。

 まあ強くなることに越したことはありませんよね。

 

 色欲の魔王ことエルトリアさんの指導はどれほどのものなのか。ビシバシ鍛えてくれるそうなので厳しい指導になりそうですね。


 こうして私はしばらくの間エルトリアさんたちと共に行動することになりました。

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奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた4
― 新着の感想 ―
[一言] エルトリアさんが死んで魔王が継承される未来が…
[一言] 魔王に匹敵……虚飾……
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