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【コミカライズ1巻 3月27日発売】【Web版】奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた  作者: tani
第六章 混血の姫と六妖刀編

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神桜島大決戦 其の四

本日二本目の更新です。一本目を読んでいない方は『神桜島大決戦 其の三』からお読みください。

「余が二人いる理由は、大方こんな感じだ。そろそろ本題に入るぞ。倒すべき敵は、いくつかいるが、結局のところ、余をどうにかせねば勝算はない」

「じゃあ、神桜麗月さまよ。アンタに弱点ってないのか?」

「弱点だと? 神である余に、そんなものは存在しない! そもそもの話だが、余と同格の存在でなければ、余を倒すことは無理だろうな」


 自信満々に、胸を張って言い切る神桜麗月。

 つまり、現状だと、神桜麗月は神桜麗月でしか倒せないということ、ですよね。


 しかし、こっちの神桜麗月は、かなり弱体化していて、あっちの神桜麗月は私の杖によって更に強化されている。


「一応聞くが、アンタが勝てる可能性は?」

「フッ、鬼の子よ。先の話を聞いてなかったのか? 余は神だ。しかし、他者から魔力を借りねば術を使えぬ()が、ほぼ万全の()相手に勝てる可能性があると思うか?」

「……もしかして詰んでるんじゃねぇのか?」

「……いえ、完全に詰んでいるわけではないと思います。もちろん、これが出来るかどうかわかりませんが──」


 神桜麗月の顔を見るに、彼女も同じことを考えていそうなので、おそらく可能なのでしょう。

 

「神は神でしか倒せぬ。しかし、この場には余以外に神はいない。であれば、余と戦う者を一時的に神と同格の存在にすればいい」

「そんなこと出来んのか?」

「神性を帯びれば可能だぞ。ただし、一時的とはいえ、人が神と同格の存在になるわけだから、それ相応の危険が伴う」


 神桜麗月曰く、下手をすれば、肉体が神の力に耐え切れずに崩壊するとか。しかし、そうならないための方法も、ちゃんとあるようです。


「まあ、それに関しては、余が肉体に入って制御すれば問題ない。あとは、誰が神性を帯びるかだが、当然貴様しかいないな」


 神桜麗月が指差す方向は、私。全員の視線が私に集まります。私自身、そうかなとは思っていました。


「余に勝てる可能性が最も高いのは貴様だが、相性が合わなければ元も子もないし、少し試させてもらうぞ」


 そう言って、私の手に触れた神桜麗月が目の前から消えます。肉体に入るとか言っていたので、私の中にいるのでしょう。


 身体の中に入られたからといって、特に違和感はありませんね。


 すると、一瞬だけ心臓がドクンと脈を打ち、全身が異様に熱くなります。でも、体調が悪くなったわけではなく、むしろ絶好調な感じ。


 これが神性を帯びた状態なのでしょうか。

 未だかつてないほど、力が漲っています──と思ったら、すぐに漲った力が抜け、それと同時に神桜麗月が私の前に現れました。


「相性は問題なかったぞ。だが──」

「何かあったんですか?」

「いや、貴様は異質というか、稀に見る変わった奴だなと思っただけだ。戦には影響は出ないだろうし、気にしなくていい」

 

 何ですか、それ。そんなこと言われたら、物凄く気になるんですけど……。


 神桜麗月にそう言わせるようなものが、私の中にあったということでしょうか。でも、まったくもって自覚なしです。


「神性を帯びた娘が戦っている間に、余は少しずつ向こうの余から力を奪い返せば、勝算は十分にある」


 このままでも勝算はあると神桜麗月は踏んでいるようですが、私としては、もう少し手札を増やしておきたいところ。


「あの、実は今、新しい魔術を構築しているところで、それがあれば、勝算は更に上がると思います。でも、未完成なので少し時間が欲しくて……」

「ふむ。どのくらい時間が必要なのだ?」

「……1時間──いえ、30分で何とかします」

『なら、その30分、あーしが稼いであげるよ』


 名乗り出たのは、ミューファスでした。しかも、一人で時間を稼ぐとまで言ってきました。


『前々から神様ってのを一回ぶん殴ってみたいって思ってたんだよねぇ。だから、ちょうどいい機会かなぁって』


 神様関連で何かあったのでしょうか。

 ミューファスの雰囲気は普段と変わらない感じに見えます。

 しかし、今の言葉には恨みのようなものが籠っていたように感じました。これは、触れない方が良さそうですね。


「一人で時間稼ぎなんて無謀です。神性を帯びていない状態で戦っても神桜麗月にダメージは──」

『時間稼ぎって言ったっしょ? 倒すのはリリィっちに任せる。あーしには切り札があるし、30分くらい何とかなるって』

「ですが……」

『それにさ、他にも倒すべき奴らがいるなら、戦力は分散させないといけないし。だよね、ちっこい方の神様』


 先程より強くないですが、やはりミューファスは神桜麗月に、かなりの敵意を持っているように見えます。

 神桜麗月も感じ取っているようですが、それについて特に何か言うことはなく。 


「うむ。敵は余だけではない。向こうの余は、捧げられた供物を使い、自身の駒として新たに妖刀を三本作った。そして、既に幻桜花(ゲンオウカ)怨魂桜(エンコンザクラ)は向こうの余の手に落ちている」

「……呪々丸が……」

「……アイツらを探しても見つからなかったのは、そういうことだったからか……」


 私たちは、神桜麗月以外に五本の妖刀も倒さなければならない。

 ただ、新たに生まれた妖刀は使い手なしで暴れているようで、倒す以外に道はないそうですが、既に使い手がいる妖刀は別のようです。


「幻桜花と怨魂桜は使い手が余に支配されているだけのようだ。それを解けば、敵ではなくなる……と思う」

「なら、俺が幻桜花の相手をする。というか、相手が妖刀なら適任は俺だろう。ただ、一つ不安があるとすれば、神桜麗月と戦った時、俺は百鬼桜を抜けなかった。あれは相手が神だからって話みたいだったが、炎羅と戦う時も同じことが起きれば……」


 相手が神ではなくとも、その支配下にあるのなら、同じことが起きる可能性は否定できない。

 妖刀が使えないのは致命的。たとえ『憤怒の魔王』のオウキさんでも、妖刀なしでは苦戦するということでしょう。


「そうか。であれば、百鬼桜で余を斬っても構わないぞ。あっ、余は斬ったらダメだぞ!? 斬っていいのは、向こうの余だ」

「いや、それはわかってるし、別にアンタを斬るつもりはねぇが……」


 わかっていることとはいえ、オウキさんに斬る意思がないとわかり、ホッと息を吐く神桜麗月。


「百鬼桜は向こうの余に刃向かうなと命じられたのだろう。だが、今ここで余が許可したことで命令は相殺された。あとは百鬼桜の意思次第だ。百鬼桜に戦う意思がなければ、抜こうにも抜けないだろう」

「いや、百鬼桜も「あの時は悪かった」って謝罪してきた。今は俺のために戦うって言ってるぜ」


 妖刀 妖夢・幻桜花戦は、オウキさんが担当で決定。一応、万が一に備え、五剣のエンガクさんも同行することに。


「次は怨恨桜だが……」

「呪々丸は、うちがやる。個人的な因縁みたいなもんもあるし、桜嵐牙の使い手が決まってへん以上、他の子には荷が重いしな」

「ま、まあ、お前らは会う度に喧嘩してるが、だからって、この機に乗じて殺したりするなよ?」

「まさか。そんなんしたら、今度は霧禍の連中の矛先が大和に向くし、殺しはせえへんよ。それに、あれはあれで、おらへんと困るしなぁ」


 喧嘩するほど仲がいい、というやつでしょうか。ツバキからは絶対に助けるという意思が感じ取れます。

 オウキさんの時と同じく、ツバキには五剣のヒナノさんがサポートに入ることが決まりました。


「あとは、新たに生まれた三本の妖刀ですね」

「そいつらの相手をする者は、余が決めてもいいか? 向こうの余が生み出したが、どうやらその妖刀たちの大まかな能力は、余にも共有されているみたいだ」

「わかりました。では、他の従魔たちや戦力になりそうなメンバーも呼びましょう」


 避難所の手伝いをしていた従魔たちも呼び出し、この場に揃えられる限りの戦力が集まりました。

 

「ペディストル、怪我の方が大丈夫ですか?」


 ペディストルは神桜麗月と戦ってダメージを負いました。私と同じように回復できないダメージなら、治さないといけませんが──


「治りは若干遅いけど、自然回復で少しずつ治ってるから問題ないよ。それより、まだバエルたちは戻ってきてないのかい?」


 そう。集合をかけましたが、残念ながら、うちの最高戦力に入るバエルとバラムはいません。


 ですが、心配する必要はないみたいで、先程バエルと念話で話をしました。

 神桜麗月との戦いで、バエルたちの依り代は修復が困難な状態にまで陥り、悪魔界にいるようですが、どうやら新機能が搭載された新しい依り代で戻ってくるようです。


 ただ、私の魔術と同じようで、まだ未完成で完成まで少し時間がかかるため、すぐには戻ってこれないとか。それでも無事だとわかっただけ良かったです。


「バエルたちは遅れてくるそうです」

「そうかい。彼らがいないと、僕たちの仕事が増えるから、なるべく早めに戻ってきてほしいけど」

「よし。では、悠長にしている場合でもないし、早速妖刀と戦う者たちを選抜するぞ。まずは──貴様と貴様と……あと貴様と貴様だ」


 神桜麗月が指を指したのは、従魔からデオンザール、ペディストル。五剣からゴンジュウロウさん、そしてミカゲさんの四名です。


 私の従魔の中で、デオンザールとペディストルは珍しい組み合わせ。私は二人が並んで戦っているところを見たことがないので、連携が取れるか不安なところがあります。


「ちなみに、選んだ理由は?」

「特にない。余の勘だ」


 勘、ですか……。

 まあ、勘は勘でも、神の勘。従魔たちは勿論、五剣の方たちも十分強いので、これだけの戦力であれば大丈夫でしょう。


「貴様らに任せる妖刀だが、双子の姿で現れるだろう」

「じゃあ、妖刀二本分ってことかい?」

「いや、二人で一つというやつだ。島の南東に妖刀の気配があるから、貴様らには、そこへ行ってもらう。そして次の妖刀だが……貴様ら三人だ」


 次に選ばれたのは、グラとフォルネ、アモンの最上級悪魔三人組。

 さすがに過剰戦力かと思いましたが、この三人に任せなければいけないほど、危険な妖刀ということなのでしょうか。

 

「貴様らを選んだ理由だが、おそらく悪魔が関わっている」

「相手が悪魔の力を持つ妖刀なら、同じ悪魔をぶつけるわけですね」

「久しぶりに大暴れ出来そうっす。これを機に、試したい武器いっぱい試そうっと」

「試せるだけの奴だったらいいけど。私たち三人が相手なら、速攻で終わる可能性もあるし」

「ねぇ、師匠。私も師匠と一緒に行きたーい」


 名前を呼ばれてないサフィーが少し不満そうな顔をしてグラに言います。

 サフィーは、まだまだ成長期ですが、三人の足手まといになるような弱い子ではない。三人に必要かどうかは別として、サポート役くらいなら同行してもいい気がします。


 神桜麗月はサフィーをじっと見つめると、腕を組んで唸り始めました。


「ううむ……。まあ、弱くはないし、何かしらの役には立つかもしれない、か。何があっても自己責任でいいなら好きにすればいい」 

「やったー!!」


 許しが出て元気に喜ぶサフィー。まるでピクニックに行くようなテンションですね。

 私たちの命運をかけた戦いですが、気負い過ぎるのも良くないと思いますし、サフィーくらい気楽な感じの方が、普段通りの力を発揮できるかもしれません。


「三人とも、サフィーのこと、よろしく頼みますね」

「これもサフィーの成長に繋がるでしょうし、弟子を守るのが師匠の役目でもあるので、安心してお任せください」

「では、貴様ら四人は島の北東に向かってくれ。そして、最後の妖刀だが──」

「それについて、ちょっといいっすか?」


 と、アモンが手を上げて言います。


「その最後の妖刀の相手は、アルゴに任せてもらえないっすかね?」

「アルゴに?」


 残りの戦力で妖刀と渡り合えそうなのは、タルト、バエル、バラム。ただ、バエルとバラムは、すぐに参戦できない。


 マナフィールは、戦闘向きではないので、妖刀と戦うには力不足。『聖魔女の楽園』にある各軍も戦力として数えられなくはないですが、まだ島に残っている人たちもいるでしょうし、救助隊として動いてもらった方が良さそう。


 実力がどの程度が把握していませんが、クアトールさんとクインさんも候補に入れても問題なし?


 そこは一度保留にして。

 まだ名前を呼ばれていないアヤメですが、彼女は先にやることがあるはず。それが終われば、援軍として何処かに行ってもらう、と神桜麗月は考えているのでしょう。


「そういえば、アカツキさんも呼ばれてませんけど……」

「あぁ……俺はちょっと気になることがあるんで、別行動でもいいですかね」

「何だよ、アカツキ。気になることって」

「大したことじゃないですよ。確認し終わったら、何処かしらに援軍として行くんで」


 となると、残ったのはタルトとアルゴ。

 アモンがアルゴに任せたいということは、彼女一人でも妖刀を倒せると判断したからでしょうか。


「アルゴ、出来ますか?」

「各武装、スペアパーツ、共に準備は万全です。グランドマスターのご命令とあらば、私が殲滅してきます」

「大丈夫っすよ、リリィ様。アルゴの武装は、アルゴギガース内にあった資料から、俺とバエル様で造りましたが、下手に人数が多いとアルゴの火力に巻き込まれるっす」


 前にサフィーたちと一緒にダンジョン攻略した時は、そんな武装はなかったはずなので、あれ以降に造られたものなのでしょう。

 私は見たことないですが、二人が武装を造り、アモンがそこまで言うのなら信じますか。


「神桜麗月。最後の妖刀はアルゴに任せてください」

「ふむ、いいだろう。なら、貴様は島の西に向かえ。そこに最後の妖刀がいる」


 これで新たに生まれた妖刀の相手が決まりました。私は皆さんの勝利を信じ、神桜麗月との戦いに集中しましょう。


「さて、桜嵐牙!」

「は、はい! 母上!!」


 突然神桜麗月に名前を呼ばれたラン君がピシッと起立します。

 二人は親子ですが、神桜麗月があんな状態なので、子供が子供に説教をしている風にしか見えません。


「貴様も戦力として数えている。なるべく早く使い手を決めろ。でなければ、向こうの余の駒として、こいつらと戦うことになるかもしれないぞ」

「そ、それは、嫌だ。……アヤメ、行くぞ! 確か、他二人の魔力も近くにあったな。予定と違うが、緊急事態だから仕方ない。そいつらも集めて妖刀の試練を始める!」

「わ、わかったです!」


 ランくんはアヤメの手を取り、走ってテントから出て行きました。


 その後、タルト、マナフィール、クアトールさん、クインさん、その他『聖魔女の楽園』各軍には、未だに島に残っている者たちの救助を任せることに。


「各自、余力があれば、余との戦いの加勢を頼む。その頃には、余も複数に神性を付与できるくらいには、力を取り戻しているはずだからな」


 各々戦いの準備をした後、マナフィールに頼んで、自身が相手する敵のもとへ向かいます。

 ミューファスが単独で時間稼ぎをしてくれますし、私も早急に魔術を完成させて、神桜麗月のもとへ向かわなければ。


 多分大丈夫ですが、開発中の魔術が暴発して周りに被害が出ては大変なので、まずは場所を移しましょうか。


「ん、ちょっと待て」

「どうかしましたか?」


 私を呼び止めた神桜麗月は、ボロボロになったローブを指差し──


「少しだが時間が出来た。その着ているものを脱げ」


 ──えっ?

一目でわかる対戦表的なもの

どの戦いから書き進めるかは、作者の気分次第


・vs神桜麗月

『聖魔女』リリィ&神桜麗月 『異界人』ミューファス


・vs炎衆の将軍 炎羅&妖夢・幻桜花

『憤怒の魔王』オウキ 『五剣』エンガク


・vs霧禍の将軍 呪々丸&呪宝・怨魂桜  

『九尾』ツバキ 『五剣』ヒナノ


・vs第七の妖刀

『巨人』デオンザール 『死の最上級精霊』ペディストル

『五剣』ゴンジュウロウ ミカゲ


・vs第八の妖刀

『最上級悪魔』グラシャラボラス フォルネウス アモン

『フェンリル』サフィー


・vs第九の妖刀

『古代兵器アルゴギガース 機械人形』アルゴ


・救助隊

『崩天魔龍』タルト 『死霊の女王』マナフィール

『???』クアトール クイン 『聖魔女の楽園』各軍隊


・別行動 『五剣』アカツキ

・妖刀の試練 『混血の姫』アヤメ

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奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた4
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