追憶 絶望、襲来
道中、何度か魔物との戦闘があったが、シャーリーンたちは難なくアブール地下都市遺跡の底へとたどり着いた。
ラムス迷宮の深層よりも深い場所にあるだけあって、魔物のレベルは高く、それに見合った強さではあったが、苦戦を強いられるほどではなかった。
フィードルのレベルは380を超え、それ以外のメンバーの平均レベルは320ほど。シャーリーンはレベルが430を超えたところだ。
しかし、これは彼らが『勇者』パーティーで例外とも言える。しっかりと連携を取れていれば、彼らのレベルを下回ってもアブール地下都市遺跡の攻略は何とかなるだろう。
「フィードル君たちって歳の割には、かなりレベルが高いわね。人族でそのレベルはなかなかのものよ」
ダンジョンの底へと到着したシャーリーンたちは、時間的に外は夜と言うこともあり、すぐに探索を始めずに長めの休憩を取ることにした。
周囲に魔物がいないかの確認をし、万が一の場合に備え、魔物を一匹も通さないほどの強力な結界を張り終えたカルナは、野営の準備をしているフィードルに話しかける。
「この『職業』のおかげというか、この『職業』のせいというか……。高レベルの魔物の討伐を依頼されることもよくあるし、依頼を失敗しないようにダンジョンに行ってレベル上げもしてますから」
「『勇者』も大変ね。ところで、話は変わるんだけど──やっぱり、彼女って私のこと嫌い?」
カルナはフィードルに小声で聞いた。
シャーリーンが睨むようにカルナたちを見ていた。寄ってこないのは、他のメンバーの手伝いが終わっていないからだ。
「ああ……実は──」
少し前のこと。二人きりで飲みに行った時、フィードルがふと気になったことが発端で、シャーリーンに彼女の過去のことを聞いた。
最初はシャーリーンも躊躇ったが、フィードルに隠し事はしないと決めて全てを話した。だから、フィードルは彼女の凄惨な過去を知っている。
それをカルナに話すべきか、適当に誤魔化すか。
シャーリーンの態度からカルナを嫌っているのは明白だ。
変に誤魔化す意味はないが、シャーリーンに断りなく全て話すのもどうかと思い、フィードルは大まかに彼女の過去を話した。
「なるほど。そりゃあ、嫌われるのもわかるわ。今の私は妖魔族だし」
「でも、シャーリーンはカルナさんの同行を反対しなかったし、もしかしたら少しずつ変わり始めてるのかも」
「えぇ……あの様子を見て、本当にそう思う? あれは本当はめちゃくちゃ嫌だけど、君たちのために仕方なく我慢してるだけよ」
本気で言っていると感じたから、間違いを正すようにカルナは言う。
「今はそうだとしても、カルナさんは優しい人だから、いつかは仲良くなってほしいですよ」
その時が本当に来るかわからない。シャーリーンの中にある、魔物への強い憎しみが消える可能性は低いだろう。
それでもフィードルはそんな日が来ることを信じることにした。
──だがしかし、シャーリーンの強い憎しみを更に増幅させる出来事が、目の前にまで近づいていた。
「お前ら! 早くここから逃げ──」
それは夕食を済ませて、すぐのことだった。
突如ダンジョンに響く必死な声。その声は聞き覚えのある声だった。
声が聞こえた場所を見ると、そこには片腕片足を失ったスキンヘッドの冒険者がいた。そして、背後から彼の身体を貫くように腕が生える。
「はい、お疲れさん」
その声と共にスキンヘッドの冒険者は崩れ落ちるように倒れ、彼を殺した人物がフィードルたちの視界に入った。
妖艶な緑髪の女は、笑みを見せてこちらに手を振っている。スキンヘッドの冒険者の血で濡れたことなど、まったく気にしていないようだった。
「はじめまして。私は龍人族のエスメラルダ・ヴァン・バルトハルト。実は用事があって、このダンジョンに来たんだけど──『節制の勇者』のフィードルに『輪廻転生』のシャーリーン。そして『強欲の魔王』のカルナで間違いないよね?」
声を聞いただけで、フィードルは剣を抜いていた。考えるより先に本能が身体を動かしたのだ。
今までで──いや、もしかしたら今後出会うことはないだろうと思えるほど、邪悪な気を放つ生物。正直、勝てるビジョンが見えない。
ここ数年は感じることのなかった死の恐怖に、フィードルは呼吸が荒くなる。他の『勇者』パーティーのメンバーも武器を握る手が震えていた。
ただ一人を除いて──
「『強欲の、魔王』……」
シャーリーンはエスメラルダに恐怖心を抱くことなく、それよりもカルナに視線が行っていた。
フィードルたちと出会う前に『強欲の魔王』のことや、その『魔王』が国を興したことは噂話程度に聞いていた。
だから、特徴的な紅蓮色の髪や同姓同名であることを知った時、彼女は『強欲の魔王』ではないかと脳裏に過った。
しかし、その国はこことは別の大陸にあって、そもそも国王が何日も国を留守にするわけがないという判断材料が、カルナが『強欲の魔王』ではないと否定した理由になる。
「隠しておかないと、みんなびっくりするでしょ? シャーリーンからすれば、魔族や魔物の親玉みたいに見えるだろうけど、今は敵を間違えないで」
「──ッ!」
確かにその通りだ。今はカルナよりもエスメラルダを優先しなければならない。あんな禍々しい存在を放置するわけにはいかない。
「いやぁ、冒険者とか魔物を殺しまくっていたけど、さすがに弱すぎる奴を一方的に殺すのも飽きてさ。待ちくたびれたよ」
「冒険者を殺した……? 時間潰しのために?」
前方に倒れるスキンヘッドの冒険者以外にも人族を殺したという話は、シャーリーンの怒りを増幅させるものとなる。
「だって暇だったんだもん。あなたたちよりも先に来てた冒険者は、ほとんど殺したかな。弱すぎて何人殺したか数えてないけど──」
話している途中でエスメラルダはシャーリーンの怒りに気づいた。怖い顔して睨んでるなぁ、と他人事のように見ているが。
そして、エスメラルダは何かを思い出して呟く。
「……ああ、そういえば。あなたの故郷は魔物の軍勢によって滅ぼされて、そこから魔物は消すべき悪──更には人族以外の種族も魔物って考えてるんだっけか。フフッ」
「何がおかしいのよ……?」
何故そのことを知っているのかはさておき、エスメラルダの笑いを不愉快に感じたシャーリーンが問う。
「別に。あなたも私たちと同じなのになぁ、って」
「──は?」
お前たち魔族と私が同じ?
不愉快極まりない発言だ。こちらに向けるニヤケ面も心底腹が立つ。
「他種族が人族を殺したり、奴隷として売りさばいていたら、あなたは許せないでしょうね。そんな奴らは問答無用で殺す。そして、同じことが繰り返されないよう、正義の名のもとに、悪しき芽は先に摘んじゃおうと罪のない奴らも殺す。ああ、怖い怖い」
シャーリーンの機嫌のことなど気にも留めず、エスメラルダは話を続けた。
「でもさぁ、当然逆のパターンだって考えられるよね。シャーリーンちゃんなら他種族を殺したことがあるだろうし、奴隷に堕ちた他種族も過去に見てるんじゃない?」
「…………」
「だけど、殺したことを悪だと思わない。奴隷堕ちして可愛そうだとは思わない。奴隷堕ちの方は、私はどうでもいいって思ってるけど、殺しの方に関しては私も同じよ。この手で色んな種族を沢山殺してきた。もちろん、それが悪いことだとは一度も思ったことはない」
そして、続けられた言葉はシャーリーンに最も言ってはいけない言葉だった。
「私たちの違いは種族だけ。それ以外は同じ。同じように物事を考え、同じように行動し、同じように生活している。それなのに人族だけ魔物じゃないなんて、そんなの差別と思わない?」
「──……まれ……」
「世間の認識が定着してるから勘違いしてるだけで、この世の種族は例外なく全て、あなたが忌み嫌う魔物と何一つ変わらないのよ!」
「黙れ! 私たちをお前と一緒にするなッ……!」
遂にシャーリーンの怒りは最高潮に至り、彼女が持つ剣の柄は砕けるのではないかと思うほど強く握られていた。
「じゃあ違うって証明してよ。人族は他種族を殺さず、売り物にしようとせず、清く正しく生きる綺麗な種族なんだって。出来たら今の発言は撤回するし、謝罪もする。そして、人族だけは特別な種族だって認めてあげるわ」
そんなことは出来るはずもないとわかった上で、エスメラルダはシャーリーンに問う。
証明することなんて不可能と言っても過言ではない。
少なくとも、シャーリーンは多くの他種族を殺してきたし、たとえ自分がやっていなくとも、それ以外が手をかける。
だがしかし、証明することはできないが、シャーリーンは自分たちも同じ魔物であると絶対に認めたくはなかった。
「──って、ちょっとイジメすぎちゃったかな? いやぁ、ごめんねぇ。ついつい熱くなっちゃって。本来の目的からも逸れちゃった」
「……本来の目的?」
「私はお喋りをしにきたわけじゃない。戦うために来たの、あなたとね」
そう言ってエスメラルダはカルナを指差す。
「……私と?」
「今の私がカルナ・ヴァーミリオンと何処まで戦えるのか、タイマンの勝負で確認したい。悪いけど、邪魔は入ってほしくないの。だから──」
指をパチンと鳴らした直後、エスメラルダの両隣りの空間に亀裂が入る。そして、そこからフードを深く被った黒いローブを纏う面をつけた男女が現れた。
「……あれ、は……」
現れた男女を見た瞬間、カルナは衝撃を受けた。間違いなく、あれについて何かを知っている雰囲気が出ている。
「フフッ、驚いた? 忘れもしないでしょ? 多少容姿は違うと思うけど、大体はあなたの知ってるやつと同じよ」
「……ッ!」
「それじゃあ、君はあっちのユニークスキル持ち二人を。君は残りの相手をしてあげて。私たちはここじゃ少し狭いし、場所を変えよっか」
再びエスメラルダが指を鳴らすと、この場から彼女とカルナの姿が消えた。
カルナとエスメラルダが消え、フィードルは『魔力感知』を使用し、二人の位置の特定を試みた。
特定は可能だったが、場所はアブール地下都市遺跡の上層付近であった。
合流しようにも、現れた男女二人に背を向けるわけにはいかないし、それ以前にそんな余裕はないと直感が告げていた。
敗北のイメージしか出来なかったエスメラルダよりかはマシだが、それでも危険であることには変わりない。
フィードルたちが武器を構えると同時に、エスメラルダが呼び出した男女二人は命令に従い動き出す。
一直線に走り迫る二人。近付けさせまいと女魔道士が放つ魔術も容易く避け、男の方がフィードルの間合いに入ると腹部に強烈な拳を食らわせる。
「──がはぁっ!」
「フィード──ッ!!」
壁まで飛ばされたフィードルに声をかけるシャーリーン。
フィードルに駆け付けようとするよりも早く、即座に体勢を整えた男の直剣がシャーリーンに迫る。
敵の流れるような動きで回避の選択肢は潰され、シャーリーンは自前の剣で受け止めることを余儀なくされた。
受け止めた剣は滑らせて、そのまま反撃に出る予定だった。
しかし、面の男の剣が想像以上に重い。拮抗状態になれば、男女の膂力の差が勝敗を分けることになる。
「シャーリーン!!」
圧され気味のシャーリーンを助けようとする仲間たち。
だが、面の女がそれを許さない。
攻撃の時間を与えることなく、面の女が他のメンバーへと攻撃を仕掛ける。それを対処するのに精一杯で、彼らはシャーリーンの助けに入れない。
「みん──ぐっ!」
ほんの僅か、意識が仲間たちに向いたことで生まれた隙を面の男は見逃さなかった。
面の男はシャーリーンの腹部に蹴りを入れ、フィードルの近くへ飛ばす。
蹴り飛ばされたシャーリーンだったが、何度か転がった後に何とか体勢を立て直して着地した。
「……大丈夫か、シャーリーン」
展開していた『魔力障壁』は、ほぼ全壊と言ってもいい。
ステータスの差が大きく離れていれば、無傷、もしくは障壁が全壊した上で大ダメージを受けるか。とはいえ、最初から前者の可能性は期待していない。
ほぼ全壊だが辛うじて障壁が残っているなら、絶対に敵わない相手というわけではない。
フィードルは『勇者』故に、特別な恩恵を受けている。シャーリーンと比べれば、レベルやステータス値に多少の差はあるだろうが、彼も面の男に一方的にやられることはない。
シャーリーンは二人でやれば面の男に勝てると考える。だが──
「私は大丈夫。でも、綺麗に分断されたわ……」
面の男の攻撃により、シャーリーンとフィードルは他のメンバーと離されてしまった。もし、面の女が面の男と同等の強さであれば、他のメンバーは数的優位があっても、かなり危険だ。
「フィードルはみんなの援護を。私はコイツを──」
その時。面の男が右手を上げ、シャーリーンたちは魔力を感知した。
男の動作は、合流させまいとドーム型の結界を張るためのものだった。
そして、面の女も同じ動作を行い、他のメンバーたちも同様に結界内に閉じ込められる。
更に周囲を確認してみると、奥へと繋がるいくつものルートの出入口が魔力で出来た壁によって塞がれている。
簡単に壊せる結界など意味がない。当然のことながら、張られた結界は数撃で壊せるものではないだろう。
一刻も早く、結界の向こう側にいる仲間と合流しなければいけないのに、この状況は最悪の一言でしかない。
しかし、このまま行動せず黙っていても解決する問題ではない。
結界は、それを張った術者を倒せば消えるはず。今最優先ですべきことは、面の男の撃破だ。
「みんななら大丈夫──と言いたいところだけど、これは少し不味いかもしれないな……」
「ええ。だから、さっさとコイツを殺して加勢しに行くわよ」
シャーリーンが一気に距離を詰める。フィードルは一歩で遅れる形でシャーリーンの後ろを追った。
「──ハアッ!!」
時間が限られているせいで焦りがあるのか、シャーリーンが振るう剣は普段よりも荒さと力みが窺える。
らしくないと思いつつ、その気持ちは理解できるフィードルは、冷静にシャーリーンのサポートに徹することにした。
迫り来るシャーリーンの怒涛の連撃。その間に生まれる僅かな隙をカバーするフィードルの剣。二人のコンビネーションには反撃に転ずるための穴がない。
「……チッ!」
──だというのに。本来ならこのまま押し切れるはずなのに。
面の男は二人の攻撃に対応し続けている。
面のせいで表情は確認できないが、汗一つ掻かずに余裕で対処されている感じだ。
攻撃の手を緩めずに攻め続けるシャーリーンは横目で、結界の向こう側にいる仲間のことを確認したが、少しずつ圧され始めていた。このまま劣勢の状況が続けば、本格的に仲間の命が危うくなる。
(もっと速く……。コイツが対処できないくらい速く……。大切なものを失うのは、もう嫌だッ……!!)
友を失いたくないという強い想いが、力を生み出したのか。
金属音と共に、何かが上空に飛んだ。
面の男の手から離れた剣だ。シャーリーンが振るった剣が、面の男の剣を捉え、上空へと弾き飛ばしたのだ。
「これで──終わりよ!!」
武器を失い、ガラ空きとなった面の男の心臓に目掛け、シャーリーンは剣を突き刺す。そして、そのまま剣を捻り、面の男の身体を切り裂いた。
面の男は鮮血を撒き散らしながら、その場に倒れる。その様子を見て、シャーリーンは念のため、面の男の首を斬り落とした。
「はぁ……はぁ……気持ちはわかるけど、少しはペースを考えてほしいよ。君についていくだけで精一杯だ……」
「……悪かったわ。でも、これで──」
可能な限り、最短で倒した。
これで自分たちを封じ込めていた結界は消え、仲間たちと合流できる。
──そんな未来が訪れることはなかった。
「どうして? どうしてこの結界は消えないの?」
「……まさか!?」
面の男を殺しても結界は消えてなかった。
そこでフィードルは気づいたのだ。自分たちの勘違いに。
二人の視線は仲間たちの方へ。
「……消えてる……」
消滅したのは、仲間たちを閉じ込める結界。
……逆だった。面の男が仲間たちを、面の女がシャーリーンたちを閉じ込める結界を張っていたのだ。
同じ動作を同時に行われたが故に生じた勘違い。
つまり、仲間たちが面の女を倒さない限り、シャーリーンたちを閉じ込めている結界が壊れることはない。
「──クソがッ!」
絶望に浸っている暇はない。
出られないなら壊して出るまで。
シャーリーンはひたすらに結界を攻撃した。
何度も何度も。たとえこの腕が、剣が使い物にならなくなっても、息が切れようと一撃一撃を全力で剣を振るう。
しかし、その猛攻は無意味と言わんばかりに、結界は傷一つつかなかった。
それでもシャーリーンは手を止めなかったが、途中で結界外の異変に気づいた。
「……待って……」
考えられるものとしては、面の男の死亡。
今までは何とか戦えていたが、急激に面の女の攻撃が強くなった。結界内からでもわかったが、今の面の女は殺した面の男以上の強さがある。
「早く……ッ! 早く助けないと──ッ!」
「壊れなさいよッ! 何で壊れないのよ! このままだと、みんながッ!」
武器を壊され、痛めつけられる仲間たち。一時撤退をしようにも、それすら許さない暴力が仲間たちを襲う。
「……もう、やめて……」
どんなに懇願しようと、その声は届かない。
──仲間たちと目があった。助けを求める目。だが、シャーリーンたちは懸命に剣を振り続けるも結界は壊れない。
そして、遂に──
「……ぁ……」
面の女が持つ剣が、ヒーラーの胸を貫いた。
戦いの様子から面の女はヒーラーをメインに攻撃していた。多対一の状況では、まずヒーラーを潰すのが定石だからだろう。
そこから一気に事が進んだ。
胸を刺されたヒーラーはピクリとも動かず、他のメンバーも次々に即死級の攻撃を受ける。胸に穴が開いたり、首を斬り飛ばされたり──結界が消えて駆け付けたところで、彼らは二度と動かない。
「……ぁぁ……ぁああ……!」
──全員死んだ。全員殺された。
心が折れる寸前まで来ている二人に仲間たちを殺した面の女は最後にシャーリーンたちの方を向いて仮面を取った。
深く被ったフードのせいで、はっきりと顔は見えなかったが、辛うじて見える口元はニヤリと笑っていた。そして──
「──バイバイ」
その言葉と共に面の女は自身の首に剣を当てて、勢いよく引いた。
切り口から吹き出る鮮血が地面に広がる仲間たちの血と混じり、倒れた面の女は灰となって絶命した。
面の女が死んだことで結界は解除される。
しかし、今更解除されたところで、もう手遅れだ。
足に力が入らず、ゆっくりと近付くシャーリーンとフィードル。
「ねえ……■■■、■■■■。返事してよ……。次の街でも一緒に買い物しようって約束したじゃない……」
「…………」
「■■と■■■■■も……まだ旅を続けるんでしょ……? なんで返事してくれないの……? こんな、ところで……こんなところで、終わっていいわけ……」
結界が消え、彼らに声をかけても、その声は届かない。
動かなくなった仲間たちを前に、シャーリーンはその場で泣き崩れるしかなかった。





