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【Web版】奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた  作者: tani
第一章 オルフェノク地下大迷宮脱出編

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奈落の底で生活して早三年

 今日も今日とて魔物狩りを始めます。


 あっ、いきなりでしたね。


 申し遅れました。私はリリィ・オーランドと言います。

 年齢は先日18歳になったばかり。恋の一つも知らない何処にでもいる普通の小娘です。

 いえ、普通というのは少し違いました。

 実を言うと私、今より3年ほど前から訳あってとある迷宮の最下層で暮らしているのです。


 その訳とは?


 そうですね。では日課の魔物狩りと新しく構築した術式を試しながら、その片手間に私がどうして最下層で暮らしているのかお話しましょうか。

 

 あれは私が初めてここに来た時と同じ約3年前。

 私は冒険者をやっていてパーティーに所属していました。

 そのパーティーは全員私の幼馴染み。


『剣士』アドル・ロッゾ……男性、15歳、一応リーダー

『黒魔道士』クオリア・コーネル……女性、15歳、気が強い

『重装騎士』カリア・トーラス……女性、15歳、少しお馬鹿

『射手』ゼペット・ルルラン……男性、15歳、大人しい


 当時は、その4人に私を加えた5人でパーティーを組み何度も依頼をこなしていたのです。


 ちなみになのですが『剣士』とか『黒魔道士』とか言うものの、あれは12歳になると神から授かる職業です。

 役職には色々と種類があります。『剣士』など戦いに適した職業以外にも『農民』とか『商人』とか生産系の職業です。

 

 その中で私は『白魔道士』と呼ばれる職業に選ばれました。

 簡単に言えば自分又は他人の治療に適している職業ですね。


 実は『白魔道士』というのは、それなりに価値のある職業なのですよ。

 だってポーション無しで怪我を治してしまう職業なんです。その分、私の魔力を消費しますけど。


 にもかかわらず、何故私はこんな奈落の底にいるのか?


 この世界にはステータスというものがあります。

 ステータスとはその人間の身体能力などを数値で表したものです。

 その数値は魔物を自分の手で倒し、経験値を手に入れることでレベルが上がり、数値が上昇します。

 

 そう「魔物を自分の手で倒す」。ここが重要なのです。


 経験値を手に入れるためには、必然的に魔物へダメージを与えなければなりません。

 ですが『白魔道士』であった私が持つ攻撃手段は少ないです。

 一応『光魔術』という攻撃系魔術は使えますが『黒魔道士』が使用する魔術と比べたら威力もなく、やはり治療に特化した職業ですから治療がメインになるのは明白。

 有効性がある攻撃。強いて言えば杖で叩くことですかね。

 ただ、弱い魔物なら未だしも強い魔物が相手であれば私の打撃など塵芥ですよ。


 なので巷では「冒険者には向かない不遇職」なんて呼ばれてもいます。とはいえ、努力を重ねて強くなった『白魔道士』の冒険者だって世の中には多くいます。


 そんな風に言われていても私が冒険者になったのは夢を叶えるため。

 みんなと冒険に出て、世界を巡り、色々な経験をして、いずれは最強の冒険者パーティーになるとか言ってましたね。子供らしい夢だと思います。


 ──その夢も三年前になくなりましたが。


 事の発端はある日の朝、依頼を受ける前にギルドへ集合した時です。

 リーダーであるアドルが私に言いました。


『リリィ、お前の使う治療魔術はもう俺たちの役にたたない。昔こそ役立っていたが最近はポーションを使った方が回復量が多い。だから次の依頼が終わったらパーティーを抜けてもらうぞ。幼馴染みとか関係ない。こっちは命賭けて冒険者をやってるんだ』


 確かに足手まといの自覚はありました。

 当時の私はその辛辣な言葉にショックを受けました。

 そんな状態で依頼を受けるなど到底無理な話。

 でも私は自分の気持ちを押し殺してパーティー最後の依頼に向かいました。


 自分でもこの時は馬鹿だなって思いましたよ。

 最後だからってアドルたちに付いていく必要はなかったのに、当時の私はこれで最後だと思うと、どうしても一緒に行きたかったんです。

 本当に、なぜ当時の私は一緒に行きたいと思ったんでしょうかね。自分でも疑問に思いますよ。


 アドルたちもこの時だけは私の同行を快く許してくれた。私はそこに何の意図があったのかも知らずに。


 訪れたのは【オルフェノク地下大迷宮】というダンジョン。

 私が三年間過ごしたダンジョンでもあります。

 数あるダンジョンの中でも【オルフェノク地下大迷宮】は魔物が強いと有名なダンジョンです。

 無謀な挑戦であるとわかっていましたが、私が意見したところで聞いてくれるわけがない。

 そして、私たちの前に現れた二つの狼の頭を持つ魔物──オルトロスによってパーティーは全滅寸前まで追い込まれます。

 絶体絶命の状況でリーダーのアドルは「この状況を打開できる策がある」と言いました。

 

 ──囮。しかもパーティーの中で一番役に立たないのがいるからちょうど良い。


 アドルたちは私を囮にして一目散に逃げていきました。

 私も追いかけようとするもステータスの差があって追い付くことはできず離れていくばかり。

 必然的にオルトロスは私を標的にします。

 そこからは逃げて逃げて、生き残るためだけに逃げて。

 幸運なことにオルトロスから逃げ切ることが出来たのです。一生分の運を使ったといっても良いですよ。


 だがしかし、疲労困憊だった私は足元への注意が散漫になり、深い闇へ繋がっている穴へ落ちてしまいました。

 もうその時は確実に死んだと思いました。

 どのぐらい距離があるかわからない穴へ落ちたのだから助かるなんて希望は捨てた方がいい。


 そう思っていたのですが、またまた幸運なことに私は生きていたのです。

 その時のことはあまり覚えていません。

 上層の方から勢いよく落ちていたのにもかかわらず、地面に激突することなく、気がつけば知らないベッドの上で寝ていました。普通なら地面に激突して死んでいますよね。


 誰かが私を助けてくれたのだろうと部屋を探しても誰もいない。人の気配すら感じない。

 外に出てもあるのは目立つのは大きな湖だけ。

 魔物もこの場所だけは近寄って来ることはありません。


 後に知ったのはそこが【オルフェノク地下大迷宮】の最下層であるということ。

 それから私はここで暮らすことにしました。というより地上へ戻る手段がないから暮らすしかなかったのですが。


 そして、最下層で暮らし始めてから三年の月日が経ち、結局私を助けてくれた方とは会えないままでしたが、会えないなら仕方ありません。

 それよりも私は決心しました。

 

 そろそろ地上へ戻ってみよう。


 最下層の魔物も倒すことが出来るようになりましたし、何とかなるでしょう。

  

 え? どうして『白魔道士』が魔物を倒すことが出来るようになったのか?


 当然の疑問ですね。

 日課である魔物狩りも終えたことですし、この三年で『白魔道士』の私がどんな成長を遂げたのか特別にステータスをお見せしましょう。

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奈落の底で生活して早三年、当時『白魔道士』だった私は『聖魔女』になっていた4
― 新着の感想 ―
回復役をパワーレベリングしないのは勿体無いとしか思えないな〜
あらら、回復で経験値が入らないのは珍しい。 今まで信じていた仲間、自分が足手まといだと知っていてもすがってしまい、最後だからという理由をつけて少しでも一緒にいたい気持ち、分からなくもない。 人間はそん…
[一言] 「しかし、当時の私はこれで最後だと思うとどうしても一緒に行きたかったんです。」 追放されるパーティに付いて行きたいという気持ち、理解するのは難しいね。
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